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イノベーション Research Memo(11):既存事業の更なる成長に向けた取り組み強化、新規事業の育成も推進(2)


■今後の見通し

(4) 「コクリポ」
イノベーション<3970>は今後の国内におけるウェビナー市場の成長を見据えて、2019年6月にウェビナー運営専業のコクリポを子会社化した。前述したとおり、コロナ禍を契機として一気に潜在需要が顕在化した格好だが、今後も更なる成長に向けて、認知度向上に向けたマーケティングの強化並びに機能向上に向けた開発強化に取り組んでいく予定で、2020年7月時点で4名だった社員数も、営業や開発人員を中心に増員していく計画となっている。

利用シーンとしては、営業や社員研修、新卒採用説明会、オンラインセミナー、投資家向け説明会、学会など多岐にわたっており、早期にこれらの市場開拓を進めていく。ウェビナー市場は急成長していることもあって国内外含めたベンダーとの競合も激化しているが、今後も機能強化を進めていくことで、シェア拡大を目指していく。

販売戦略としては、同社の既存事業の顧客に提案を進めていくことに加えて、パートナー戦略によって効率的に顧客企業を開拓していく方針となっている。例えば、地方企業や中小企業等の顧客基盤を有している企業との提携や、HR部門向けでは人事管理システムのクラウドサービスを提供する企業と提携し、同システムと「コクリポ」をAPI連携することで、利用しやすい環境を整備していく。

(5) 新規子会社の育成
2020年に入って、IFA事業とM&A仲介を展開する2つの子会社をグループ化している。いずれもまだ事業規模が小さいため非連結対象会社であるが、今後リソースを投下し事業の拡大を目指している。

IFAとは、どの金融機関にも属さない独立した「金融商品仲介業者」のことで、証券会社と業務委託契約を結び、投資家に対して、投資信託や株式、債券などの金融商品の提案を行うアドバイザーを指す。従来、証券会社では、多くの営業社員を抱えて直接投資家に金融商品を販売していたが、米国ではこうした業務を効率化するため、IFAに委託するスタイルに変わってきており、今では証券会社に属するFAの3倍弱の規模となっている。日本では証券会社のFA在籍数7万人強に対してIFAの数はわずか3千名強にとどまっているが、米国のようにIFA市場が確立されれば、日本でもIFAの数は数万人規模に拡大するものと予想される。同社は自社が持つデジタルマーケティングのノウハウも活用しながら、事業を拡大していく戦略だ。Innovation IFA Consultingは現在、SBI証券、エース証券、あかつき証券などとパートナー契約を締結しており、現在17名のIFA(契約社員含む)をさらに増員していく計画となっている。

一方、M&A仲介を行うInnovation M&A Partnersは、2020年10月に設立した子会社である。同社がM&A仲介事業に参入した背景は、今後、国内ではM&A市場がさらに活性化するなかで、同社が持つ顧客資産やデジタルマーケティングのノウハウを生かして、非効率となっているM&A市場において新たな価値を提供し、事業を拡大していくことが可能と考えたためだ。特に、中小企業のM&Aに関しては潜在的なニーズが大きいと見ている。同事業においてもコンサルタント人材の強化などに取り組んでいく予定にしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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