■要約

品川リフラクトリーズ<5351>は、世界で五指に入る工業用耐火物メーカー。下位企業では容易にできない大型・最新鋭の設備を導入するなど、競争優位性を生み出す積極的な設備投資を行っている。主力の高炉・電炉市場向けでは顧客の操業安定化や環境経営に貢献する製品を提供している。

1. 2020年3月期の連結業績−ほぼ期初予想の範囲内と底堅い展開
2020年3月期の業績は、売上高が前期比0.1%減の118,973百万円、経常利益が同7.6%減の9,844百万円となった。計画比では、売上高が5.0%減、経常利益が1.6%減とほぼ期初予想の範囲内に着地した。耐火物及び関連製品は、売上高が前期比3.4%減、セグメント利益が同10.6%減であった。販売数量の減少が響いた。2019年度の日本の粗鋼生産は、前年度比4.3%減の9,842万トンとリーマンショック以来10年ぶりに1億トンを割った。エンジニアリング事業は、大型工事にも恵まれ、売上高が前期比13.0%増、セグメント利益が同54.3%増と健闘し、全体の落ち込みを抑えた。

2. 2021年3月期−業績予想は未公表
同社は、売上高の8割以上を鉄鋼業界に依存しているが、業績予想の前提となる鉄鋼業界の計画値は入手するのが困難だ。高炉3社は、前期の業績予想を期中に下方修正し、最終的に鉄鋼事業セグメント利益がいずれも赤字に転落した。米中貿易摩擦の長期化で鉄鋼製品の市況が悪化する一方、中国鉄鋼メーカーの高水準の生産による鉄鉱石などの原材料価格の高騰によりメタルスプレッドが縮小し、事業環境が厳しい。そこに新型コロナウイルス感染症の拡大が加わり、合理的な業績予想の算定が困難なことを理由に、2021年3月期の期初予想の公開を見送った。決算発表の5月時点では、国内の自動車分野で一部稼働停止が発生しており、造船、建設機械、産業機械、建築分野の需要が一段と弱まった。海外では、新型コロナウイルス感染症拡大を受け、世界経済が減速し、鋼材需要が落ち込んだ。今期上期に業績の最悪期を迎え、下期から回復に転じるというシナリオになるが、現段階では回復に転じる時期とスピードが不確かだ。

3. 競争力の高い商品が好調
現在の3ヶ年中期経営計画に沿って、大型プレスや各種炉など主要設備の更新・新鋭化を進め、徹底したコストダウンと商品競争力の強化を図ってきた。最初の2期間で、設備投資額が前中期経営計画の金額を上回った。最終年度となる2021年3月期は、省力化・自動化投資を一段と進める。問題解決型製品は、主要ユーザーの評価が高く、採用が他の拠点に広がりつつある。米国市場に投入した連続鋳造用スプレー顆粒モールドパウダーは、国内でも新ラインを設置して、生産能力を増強する。石油系ピッチを含浸することで高靱性を高めたマグネシアカーボン煉瓦は、顧客の操業安定化に貢献する。コークス炉ドアブロックのリサイクルは、顧客の製造現場での環境負荷を軽減する。いずれも、顧客から高評価を得ている。グループ会社は、環境と省エネに資する高温域耐性に優れたアルミナファイバーの需要が堅調なため、大型設備投資を前倒しした。

■Key Points
・2020年3月期は、第3四半期まで堅調に推移し、通期でも底堅い業績
・日本の鉄鋼メーカーの足元の状況は厳しさが増す
・競争力の高い商品の需要が増加中

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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情報提供元:FISCO
記事名:「品川リフラ Research Memo(1):経営環境は厳しいが、競争力の高い商品が好調