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日ダイナミク Research Memo(5):プロジェクト管理・品質管理を徹底


■日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の事業概要

5. 収益特性及び収益変動リスク・季節変動要因
主要な収益特性及び収益変動リスク要因として、IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)は、大型案件などの受注や個別案件ごとの採算性によって、売上や利益が変動する可能性がある。パーキングシステム事業は入札結果や大型案件などによって売上や利益が変動する可能性がある。

一方で、システム開発事業はシステム受託開発後の保守・運用サービス受託拡大によって、サポート&サービス事業は継続受託案件の積み上げによって、パーキングシステム事業は管理現場数・管理台数の積み上げによって、いずれもストック収益型ビジネスとなる。なおパーキングシステム事業の駐輪場利用料収入はストック収益型ビジネスだが、新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛の影響で、2020年3月以降の駐輪場利用料収入が減少しているため、当面の一時的リスク要因となる。

また季節変動要因として、システム開発事業は企業のIT投資予算の執行時期との関係などで、第2四半期(7月−9月)及び第4四半期(1月−3月)の構成比が高い傾向がある。このため一時的な大型案件や不採算案件などの影響を除けば、全体として四半期ベースでは第2四半期と第4四半期の構成比が高く、また半期ベースでは下期(10月−3月)の構成比が高い傾向がある。

6. 対策
収益特性・リスク要因への対策として、IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)の個別案件ごとの採算性に関しては、政策的・戦略的に低採算でも受注する案件もあるが、通常は受注委員会において見積段階から採算をチェックするとともに、受注後も月1回の審議会においてプロジェクト進捗・品質管理状況を厳重にチェックするなど、プロジェクト管理・品質管理を徹底して不採算化防止・採算維持に取り組んでいる。また全社ベースの取り組みとして業務プロセス改善による効率化を推進している。またストック収益型ビジネスの順調な拡大が安定収益源となり、全体の利益率が向上するとともに、売上高、営業利益とも四半期業績の平準化が進展し、季節変動要因の影響は小さくなっている。


業務効率化とストック型収益拡大が収益向上に貢献
7. ストック型収益が拡大
2020年3月期のセグメント別(連結調整前)売上高構成比は、システム開発事業が38.4%、サポート&サービス事業が24.8%、パーキングシステム事業が36.4%だった。

過去5期(2016年3月期−2020年3月期)の推移で見ると、システム開発事業は大型案件によって売上変動しやすいが、全体としてはIT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)が6割強、パーキングシステム事業が3割強で大きな変動はない。

なお2018年3月期のパーキングシステム事業の売上・営業利益については、自治体案件の大型受注も寄与した。また2020年3月期については後述するように、サポート&サービス事業が第1四半期の一部案件のコスト増加の影響を受け、パーキングシステム事業が第4四半期の新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛で駐輪場利用料収入減少の影響を受けた。

2020年3月期のセグメント別(連結調整前)営業利益構成比は、システム開発事業が40.9%、サポート&サービス事業が11.5%、パーキングシステム事業が48.4%だった。

過去5期(2016年3月期−2020年3月期)の推移で見ると、IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)の採算性が向上したため、パーキングシステム事業は営業利益構成比が低下する形になったが、金額は順調に拡大している。

2020年3月期のセグメント別(連結調整前)売上高営業利益率は、システム開発事業が11.3%、サポート&サービス事業が4.9%、パーキングシステム事業が14.1%だった。

過去5期(2016年3月期−2020年3月期)の推移を見ると、2020年3月期はサポート&サービス事業とパーキングシステム事業における一時的要因で低下したが、ストック型収益(IT関連事業の保守・運用、パーキングシステム事業の管理・運用・料金収入など)の拡大や、全社ベースの業務効率化などで、全体として上昇基調である。

システム開発事業は大型案件や個別案件の採算性で営業利益率が変動しやすいが、プロジェクト管理・品質管理の徹底、ストック比率の上昇などで営業利益率向上が進展している。

サポート&サービス事業は、2016年3月期と2017年3月期の営業利益率が低水準だった。他社構築システムのサポート&サービス受託案件にかかる想定以上のコスト増加が利益を圧迫したが、2019年3月期には安定収益化して営業利益率向上に貢献した。また2020年3月期にも、新規案件で第1四半期のコスト増加が利益圧迫要因となり、採算回復が想定より遅れたが、2021年3月期には回復見込みとしている。

パーキングシステム事業の営業利益率は2018年3月期をピークに低下の形となった。2019年3月期は2018年3月期の自治体案件の大型受注の反動、2020年3月期は第4四半期に新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛で駐輪場利用料収入が影響を受けたためである。この一時的要因を除けば、管理現場数・管理台数の積み上げによるストック型収益の拡大で高水準を維持している。

なお2020年3月期のフロー・ストック別売上高構成比は、IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)ではフロー(システム開発・構築等)が25%、ストック(保守・運用等)が75%だった。パーキングシステム事業ではフロー(駐輪場機器販売等)が28%、ストックが72%(駐輪場利用料収入が36%、駐輪場管理・運営等が36%)だった。プロジェクト管理・品質管理の徹底、全社的な業務効率化に加えて、各事業におけるストック型収益の順調な拡大が安定収益源となり、収益力向上につながっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)




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