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ブイキューブ Research Memo(9):「テレキューブ」等の拡販とアップセル施策により収益成長を目指す


■今後の見通し

4. 成長戦略
ブイキューブ<3681>は今後の成長戦略として、競合の少ないブルーオーシャン領域と位置付けられる「テレキューブ」や用途特化型の映像コミュニケーションサービス、オンプレミスサービスでの拡販を進めていくと同時に、競争の激しいレッドオーシャン領域となる汎用Web会議サービス(「V-CUBE」「V-CUBEセミナー」)やテレビ会議システム(「V-CUBE Box」)では、顧客満足度向上による解約率の低減並びに顧客単価アップ施策に取り組み、収益成長を目指していく方針を打ち出している。同社では2020年5月を目標に中期経営計画を発表する方針で、具体的な内容が注目される。

(1) 「テレキューブ」
「テレキューブ」に関しては、既述のとおり2020年12月期に大幅増を見込んでいる。企業向けに関しては、テレワーク用途だけでなく会議室用途としての需要もあり、2人用ブースの販売も増加している。公共空間向けでは、テレキューブサービスを通じてオフィスビルのエントランスや複合施設、私鉄駅構内での設置が進んでおり、2023年12月期までに1,000台の設置を目標としている。また、JR東日本でも「STATION BOOTH」として駅構内での設置を進めているほか、シェアオフィス「STATION DESK」への設置も進めており、2020年度中に新幹線停車駅を含めて30駅、100台の設置を目標としている。

公共空間向け「テレキューブ」が普及するかどうかは、どの程度の稼働率を維持できるかにかかっている。損益分岐点となる稼働率は4割前後と見られるが、今のところ駅構内に設置された「テレキューブ」に関しては同水準を上回る高い稼働率で推移しているもようだ。このため、今後は首都圏を含めた大都市部での主要ターミナル駅を中心に普及が進んでいくものと予想される。オフィスビルや複合施設での展開についても、株主でもある三菱地所の豊富なネットワークを通じての展開が期待される。「テレキューブ」の限界利益率はハードウェアコストの比率が高いため30%前後と、「V-CUBE」サービスと比較すると低いものの、現段階で競合が不在であり、かつ潜在市場が大きいことを考えると、中期的に同社の収益柱として育つ可能性は高いと弊社では見ている。

(2) 用途特化型映像コミュニケーションサービス
用途特化型の映像コミュニケーションサービスとして、製薬業界向けWeb講演会、自治体向け緊急対策・災害対策ソリューション、映像組み込みSDKなどの拡販に注力していく。製薬業界向けについては、既述のとおり製薬企業の営業プロモーションツールとして、Web講演会の活用が今後拡大していくことが見込まれている。同社の操作性の高い各種機能やサポート力は競合となる外資系企業にはない強みであり、今後も高い成長が期待できる。限界利益率も80%前後と高く、利益面での寄与も期待される。

また、緊急対策・災害対策ソリューションについても、自然災害の多発によって、自治体だけでなく消防局や社会インフラ関連企業などからの受注拡大が見込まれる。2020年3月には、さいたま市消防局の警防本部情報システムとして同社の緊急対策ソリューション(「V-CUBE Board」「V-CUBE コラボレーション」)が導入されたことを発表している。政府が2019年度より「防災・減災、国土強靭化のための3ヶ年緊急対策」を推進していることもあり、2021年に向けて更なる売上拡大が期待される。同ソリューションの限界利益率に関しては60%台となる。

(3) 解約率低減、顧客単価アップ施策
「V-CUBEミーティング」など競争の激しいサービスに関しては、解約率の低減と顧客単価アップにつながる施策に取り組むことで収益の維持・拡大を図っていく。解約率については、2014年12月期の19.0%から2019年12月期第4四半期の10.7%まで低下しており、ここ数年取り組んできたサービス品質の改善やサポート体制の強化などの成果が出始めているものと思われる。今後も継続的にこれらの施策に取り組むことで、10%以下の水準を目指していく。

また、既存顧客に関して見ると、利用率が高まる傾向にあることから、アップセル施策にも取り組んでいく。具体的には、ID数増加による月額料金のアップや、利便性向上のための周辺ソフトやデバイスの販売、「V-CUBEセールスプラス」や「Qumu」「テレキューブ」といった他のサービスの販売提案などを行い、顧客のLTV(ライフタイムバリュー)最大化を目指していく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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