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イメージワン Research Memo(2):明確になりつつある新生イメージワンのビジネスモデル


■会社概要

1. スピード感があふれる新生イメージ ワンの歩み
イメージ ワン<2667>は株式会社イメージアンドメジャーメントとして1984年4月に設立、画像処理関連機器及び電子計測機器の輸入販売を開始した。1989年5月にはカナダのMacDonald, Dettwiler and Associates Ltd.と販売総代理店契約を締結し、現在のGEOソリューション事業の基礎となる衛星画像事業に参入、1992年7月には医療診断画像処理機器の輸入販売を開始し、現在の主力事業であるヘルスケアソリューション事業(医療画像事業)に進出した。その後、2000年7月に株式会社イメージ ワンに商号変更し、同年9月には大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場(現JASDAQ市場)への株式上場を果たしている。

また、2016年11月に光通信<9435>の子会社(株)EPARKとの合弁で(株)イメージワン ゼロット(現(株)エンパワープレミアム)を設立し、美容整形分野等の自由診療(保険非適用診療、自費診療)分野の予約・検索サイトの運営事業を立ち上げた。2018年5月にエンパワープレミアム(光通信とRIZAPグループ<2928>の合弁会社、歯科分野における自由診療向けの予約・検索Webサービス事業を展開)がイメージワン ゼロットを吸収合併、現在、エンパワープレミアムは同社が筆頭株主の関連会社となっている。

そして2018年12月開催の定時株主総会において、コーポレートガバナンス手段として新規事業を行うための定款変更と経営陣の刷新を柱とする株主提案議案が提案され可決され、新生イメージ ワンとしての歩みが始まった。「『人の健康と地球環境』の分野において、IT医療と再生可能エネルギー及び環境事業を通じ、健康な長寿社会とクリーンなエネルギー社会の創造に貢献してまいります。」という新たな企業理念のもと、既存事業の再構築に加え、電子カルテ等の医療関連事業や太陽光発電、風力発電等の再生可能エネルギー事業といった新規領域への積極投資がスピード感を持って推進されている。

2. 迅速に進んだ既存事業の再構築
既存事業においては、足元の収益性と将来的な競争環境を冷徹に判断した「選択と集中」が迅速に進み、事業戦略の在り方に早くも目鼻を付けたように見える。

まずは、既存事業における「選択」に関して見ると、「duranta(ウェアラブル心電計)」事業について、新中期経営計画発表の1週間前に(株)ZAITENへの譲渡を公表し、スピーディーな経営判断力を示すことになった。同事業は、2014年12月に高齢化社会の進行に伴い需要が高まっている在宅医療・介護福祉分野向けに「在宅医にも優しい見守りシステム」として市場参入し、2017年秋(出荷開始は2018年1月)からは循環器医療分野では患者負担が小さく有効な検査結果が得やすい「不整脈検出向け長時間心電用データレコーダ」としても需要開拓を続けてきた事業であったわけだが、在宅医療業界の構造変化や他社との価格競争により予算未達と採算割れが継続するなかで、業務提携相手である取引先からの契約内容見直し依頼があったこともあり、「選択と集中」の一環として事業譲渡を決断するに至ったわけだ。その譲渡に当たっては、12百万円の特別損失計上を余儀なくされたが、固定化資金の回収分に調達済み資金の使途変更分(当該事業分51百万円)を加えた60百万円が新規事業への投資原資として確保している。

また、2016年以来取り組んできたWebサービス事業についても、2019年3月期第2四半期と第3四半期に連続してエンパワープレミアム株式の減損処理を実施した。同事業は、立ち上げ当初は連結子会社イメージワン ゼロットで展開していたわけだが、現在は出資比率を39.7%に抑えた関連会社エンパワープレミアムが運営する形態となっている。とはいえ、エンパワープレミアムの株式評価額は2018年9月期末の399百万円から2019年9月期末の65百万円まで減損されており、同社のWebサービス事業に対するコミットメントは相応に低下していると考えられる。むろん、筆頭株主としての支援は継続されようが、追加出資等の積極投資については見送られる蓋然性が高いとみてよいだろう。なお、既存事業における「集中」については、医療画像システム関連商品の次世代病院システムへの進化や旧GEOソリューション事業の主力プロダクトであるPix4D製ソフトウェアによる成果物提供への取り組みが中心になると考えている。

3. パートナー戦略の活用で、新規事業の垂直立ち上げを実現
同社は、事業領域での競争力確保を主目的とする資本業務提携契約を始め、主力製品の安定調達を確かにするための輸入代理店契約、新たな事業領域進出における共同開発や合弁契約、効率的な開発を目的とする外部委託の活用、自社による営業拠点展開(東京、仙台、名古屋、大阪、福岡)を補完する医療機器メーカー等との協業など、これまでもプロダクトとマーケティングの両面でバリューチェーンを強化するためにパートナー戦略を推進してきた。そして、2019年3月に公表された新中期経営計画では、「M&A・業務提携への取り組み」が経営改革の柱の1つに掲げられている。

実際、新経営陣はパートナー戦略を一気に推進、新規事業の垂直立ち上げを実現している。具体的には、太陽光発電領域での(株)ユニ・ロットとの業務提携・合同会社設立、電子カルテ領域での(株)アックスエンジニアリングとの総販売代理店契約締結、再生医療領域での(株)RMDCとの業務提携などが既に実現、既存事業領域においても、医療被ばく線量管理システム「onti」の独占販売権を(株)RYUKYU ISGから獲得している。なお、ユニ・ロットは、太陽光発電システム開発において独立系としては国内トップクラスの規模を有する企業だが、同社の3.72%出資会社でもある。また、アックスエンジニアリングは大手メーカーの電子カルテシステムの外注先として実績を持つ企業であり、同社との資本関係はないものの、同社の立花和幸(たちばなかずゆき)取締役はアックスエンジニアリングの代表取締役との兼務である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)



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