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アジア投資 Research Memo(1):20年3月通期(従来連結基準)は株式売却等により大幅な営業増益見込む


■要約

1. 会社概要
日本アジア投資<8518>は、日本とアジアにまたがる独立系の総合投資会社として、プライベートエクイティ投資(以下、PE投資)や再生可能エネルギー等のプロジェクト投資を手掛けている。1981年に(公社)経済同友会を母体として設立され、豊富な投資経験とブランド、ネットワーク、人材、事業パートナーなどの事業基盤に強みがある。革新的な技術やビジネスモデルを持ち、高い成長力を有するベンチャー企業及び中堅・中小企業等への投資や成長支援を通じて、日本とアジアの両地域における産業活性化や経済連携の拡大などに貢献をしてきた。同社グループが管理運用等を行っているファンド運用残高は15,948百万円(10ファンド)、同社グループの自己資金及び運用ファンドによる投資残高は14,678百万円となっている(2019年9月末現在)。PE投資事業については、VC業界を取り巻く環境が変化するなかで、新たなファンド設立に苦戦しており、ファンド運用残高の縮小とともに、投資残高も減少傾向にある。ただ、足元ではプロジェクト投資が順調に積み上がってきたほか、プロジェクト投資のパートナー企業への戦略投資(PE投資)でも成果を上げている。

2. 中期経営計画
同社は、2019年3月期より3ヶ年の中期経営計画を推進中である。環境変化への対応や課題解決に向けて、投資方針(本体投資分)の抜本的な見直しを行い、収益拡大に向けた足掛かりを築く内容となっている。特に、ファンドでの投資は、現状のファンドの投資方針を継続する一方、本体投資は、取り組むべき事業テーマを明確に持ち、そのテーマを軸に「企業への投資」(PE投資)と「事業への投資」(プロジェクト投資)を組み合わせる戦略的投資を推進する方針である。すなわち、今後は事業テーマに基づくプロジェクト投資(再生可能エネルギーのほか、スマートアグリやヘルスケア)の積み上げにより、安定収益の確保と財務バランスの強化を図るとともに、PE投資(本体投資分)についても、事業テーマに関連するパートナー企業への戦略投資にシフトする方向性と言える。

3. 2020年3月期上期決算の概要
2020年3月期上期の業績(ファンド連結基準)※は、営業収益が前年同期比13.8%増の1,353百万円、営業損失が216百万円(前年同期は390百万円の損失)となった。

※同社は2007年3月期より、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」を適用し、同社グループが管理運用する投資事業組合等を連結範囲に加えるファンド連結基準に移行している。ただ、ファンド連結基準は同社以外の外部出資者の持分が含まれていることやファンドごとの財務方針が反映されるところに注意する必要がある。同社では、投資家からの要望に応じて従来連結基準も同時に開示しているが、弊社でも、より実態を示しているとの判断から従来連結基準による分析を行っている。


従来連結基準では、営業収益が前年同期比3.5%減の691百万円、営業損失が421百万円(前年同期は465百万円の損失)と減収ながら損失幅は縮小した(損失となったのは、前期同様、下期偏重の利益計画によるもの)。プロジェクト投資事業はプロジェクト資産の売却がなかったことで減収減益となったが想定内である。一方、PE投資事業については、予定していた株式売却の後ろ倒しが利益の下振れ要因となったものの、国内上場株式や海外未上場株式の売却により増収を確保するとともに、評価損の減少が大幅な損益改善につながった。また、中期経営計画の進捗についても、パートナー企業への戦略投資の実行に加え、植物工場(第1号案件)の販路開拓やアジアネットワークの強化などで成果を残した。

4. 2020年3月期の業績見通し
同社は、業績予想(ファンド連結基準)について、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きく、合理的な業績予想が困難である事業特性であることから公表を行っていない。ただ、2020年3月期については、ある一定の前提を元に策定した「従来連結基準による見込値」を参考情報として開示している。

同社の「従来連結基準による見込値」によれば、営業収益を前期比41.4%増の3,500百万円、営業利益を同350.9%増の800百万円と大幅な増収増益を見込んでおり、期初の見込値からの変更はない。第4四半期での株式売却などが大幅な増収及び営業増益に寄与する想定となっているが、同時に、株式市場や経済情勢の不確実性等に備え、プロジェクト資産の売却による収益の底支え(及び、成長のための再投資資金の確保)についても念頭に置いているようだ。

■Key Points
・2020年3月期上期(ファンド連結基準)は増収により損失幅は縮小。予定していた株式売却の後ろ倒しがあったものの、評価損の減少等により損益改善を実現
・戦略投資の実行や植物工場の販路開拓、アジアネットワークの強化などでも成果を残した
・2020年3月期通期(従来連結基準)は、第4四半期での株式売却等により大幅な増収及び営業増益を見込む(期初の見込値からの変更なし)
・3ヶ年の中期経営計画を推進中。事業テーマに基づく戦略PE投資への入れ替えやプロジェクト投資資産の積み上げにより財務基盤の強化を図る方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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