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Jオイル Research Memo(5):大きな進展があった構造改革


■中期経営計画

4. 構造改革の進捗
(1) 坂出事業所の売却
J-オイルミルズ<2613>は坂出事業所(香川)及び100%子会社で事業所のオペレーションを担当する坂出ユタカサービス(株)を売却することを決定した。坂出事業所は、穀物サイロ、定温倉庫や普通倉庫などの不動産を所有し、倉庫業、不動産業を行っている。構造改革の観点から事業譲渡し経営資源を海外などの成長分野に振り向けることにした。つまり、資産の効率的運用と言うことができる。最終引渡予定日が2019年12月25日のため、発生する譲渡益1,300百万円(譲渡価額は2,000百万円)は2020年3月期下期の特別利益に計上される見込みである。

(2) 配合飼料事業の再構築
同社は2020年9月末を目途に、静岡事業所で行っていた配合飼料の生産を外部へ順次移管することにした。静岡事業所では、様々な種類の配合飼料製品を製造して北関東や東北を中心に出荷しているが、今後は需要家に近いエリアで外部に委託生産する方針である。需要家の要請に迅速に対応すると共に高騰する物流コストの効率化を図る一方、今後の設備投資の負荷(投資効率)を考慮した結果である。

(3) 日清オイリオとの業務提携
国内の人口は少子高齢化による減少が見込まれ、国内における油脂とミールの需要も長期的に減少が予測されている。また、TPPなど貿易協定の進展や食資源確保における国際競争の激化など、グローバルな競争環境が変化している。同社としては、国内での供給の安定化という企業責務に加えて、輸入製品に負けないよう国際競争力を維持向上させる取り組みが必要になってきた。これは日清オイリオグループの置かれている状況も同様で、このため両社は、独自性と健全な競争環境を維持しながら、特に川上領域の搾油工程までの業務に関して提携する協議を開始することになった。業務提携基本契約の締結は2020年3月末を目途としている。業務提携の範囲は、1)両者の搾油設備を活用した受委託、2)油糧種子や原料油脂の共同配船、3)原油とミールの工場間での等価交換、4)供給に問題が発生した場合に協力する体制の構築の4つである。最大のライバル関係にあった日清オイリオと、一部とはいえ提携するということで大きな話題になったが、資本提携の検討はしないもようである。国内で集約や専門化が進まなかったため国際競争に乗り遅れた電機業界のようにならないためには、協力すべきは積極的にする一方、ライバルとして研鑚すべきはしっかりすることが重要だろう。


環境や社会にも貢献する
5. ESG経営の取り組み
同社は企業の社会的使命としてESG※1経営に取り組んでいるが、SDGs※2の観点からも有益な経営方針となっている。

※1 ESG:環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)のことで、企業の長期的成長のために必要と言われる3つの観点。
※2 SDGs:持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)。「誰1人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、国連で2030年までに達成を目指している17の目標。


(1) 「長調得徳®」の価値を深掘りする
業務用長持ち油「長調得徳®」の価値を深掘りすることで、様々な社会課題や顧客が抱える課題の解決を目指す。「長調得徳®」の環境価値としては、油が長持ちすることで穀物の使用量を減らし、原料から販売までのサプライチェーンを抑制してCO2を削減、また、使用後の油の廃棄量を削減することである。社会的価値としては、油の交換回数を減らすことで調理現場の人手不足に対応、臭いを抑えることで調理場の環境を改善することができる。SDGsの観点からは「つくる責任 つかう責任」、「陸の豊かさも守ろう」としての目標となる。

(2) 環境・人財への取り組み
環境に関しては、プラスチック使用量削減に向けた取り組みとして、「AJINOMOTO®から揚げの日の油®」にサトウキビ由来の植物性プラスチックを採用してエコマークを取得、一部商品のキャップシールに生分解性プラスチックを使用、パッケージング委員会を組織して「容器包装に関する指針」を策定した。SDGsにおいては「つくる責任 つかう責任」、「海の豊かさを守ろう」に対する目標となっている。人財に関しては、労働時間や管理職比率、多様なキャリアコースが評価され、女性活躍推進法における「えるぼし(2段階目)」を取得した。今後は、上司向けの意識改革、男性社員の育児サポートやネットワークの拡大などに取り組む方針である。SDGsの観点からは「ジェンダー平等を実現しよう」、「人や国の不平等をなくそう」への対応になる。

(3) 伊豆オリーブみらいプロジェクト
東急<9005>及び伊豆急ホールディングス(株)と業務提携し、伊豆産オリーブのブランド化と地域の活性化を目指す「伊豆オリーブみらいプロジェクト」に参画した。東急と伊豆急HDが2013年に始めた取り組みで、オリーブを伊豆の特産品として育て、観光客の増加やミカン・茶栽培の減少による耕作放棄地の再生を目指している。同社は、オリーブオイルの評価や保管・充てんの技術、ミールの有効活用の知識、幅広い販売網を生かし、伊豆オリーブのブランド化に貢献する考えである。今後は、東急・伊豆急HDが運営するオリーブ農園近くの農地でオリーブを植樹し、3社共同で栽培管理を実施する予定である。SDGsでは「つくる責任 つかう責任」、「パートナーシップで目標を達成しよう」に当たる取り組みである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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