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アウトソシング Research Memo(1):2019年12月期上期業績も順調に拡大、事業構造変革が奏功


■要約

アウトソーシング<2427>は、メーカーの製造ライン向けに人材派遣及び業務請負を行う「国内製造系アウトソーシング事業」や、メーカーの研究開発部門及びIT、土木建築系企業向けに技術者派遣等を行う「国内技術系アウトソーシング事業」を展開するほか、米軍施設向け事業や海外展開にも積極的に取り組んでいる。M&Aを含め、独自スキームの構築による人材獲得に優位性を有しており、海外を含めた人材提供数(外勤社員数※1)は8万人超に上る(技術・製造系では国内業界最大の規模)。景気変動の影響を受けない事業構造への変革や今後の環境変化等を見据え、拡大するエンジニアニーズへの対応や公共関連サービスの強化、米軍施設向け事業の拡充など、グローバル規模で事業を拡大してきた。また、創業以来の「国内製造系アウトソーシング事業」においても、労働法改正に伴うニーズに対応した独自のPEO※2スキームのほか、ポテンシャルの大きな外国人労働者の管理業務受託の強化に取り組んでおり、同社ならではの成長戦略は順調に進展している。

※1 外勤社員とは顧客メーカーにおける現場作業従事者の総称で、稼働中の派遣契約社員も含む(同社の定義を使用)。
※2 Professional Employer Organization の略。


2019年12月期上期の業績(IFRS)は、売上収益が前年同期比27.7%増の177,585百万円、営業利益が同18.6%増の5,703百万円と計画を上回る増収及び営業増益となった。売上収益はすべての事業が順調に拡大。特に、「国内技術系」がKENスクール等を活用した技術者採用が奏功したほか、「国内製造系」も米中貿易摩擦の影響を若干受けたものの、PEOスキームの貢献等により堅調に推移。「国内サービス系」についてはグループシナジー創出により国内米軍施設向けが順調に拡大した。また、海外においても、前期M&Aが期初から寄与したほか、人材流動化スキームの確立や安定的な公共関連事業の伸びにより、「海外製造系及びサービス系」及び「海外技術系」がともに大きく伸びている。利益面でも、中長期目線で2ケタ成長を継続するための先行費用を投入しながらも、増収により吸収することで計画を上回る営業増益を実現することができた。

2019年12月期の業績予想(IFRS)について同社は、売上収益を前期比23.7%増の385,000百万円、営業利益を同29.5%増の19,000百万円と見込んでおり、引き続き過去最高の売上収益、利益を更新する見通しである。これまで同様、求職者が魅力を感じる、他社が進出していない領域での事業や、スクールを活用したキャリアアップ・キャリアチェンジの独自スキームをグローバルに展開していく方針であり、各事業ともに同業他社と差別化した人材ニーズ対応スキームにより、持続的な成長を実現する考えである。利益面でも、新たなM&A に係る費用(外部専門家費用のみ予算計上)をはじめ、更なる成長に向けた先行費用を織り込んでいるものの、増収により吸収することで増益を実現する見通しとなっている。

同社は、2020年12月期を最終年度とする中期経営計画を推進している。国内では成長性及び付加価値が高く、人材不足が課題となっているIT及び土木建築分野(技術系)や外国人活用関連ビジネス(製造系)、参入障壁の高い米軍施設向け(サービス系)、海外では公的サービスの民間委託分野などを大きく伸ばす方針である。特に、いかなる環境変化にも打ち克つ企業になるべく、製造分野と異なる景気サイクル分野の拡充や景気の影響を受けにくい公共事業のアウトソーシングの強化、グローバルな人材流動化への対応などに取り組む。2020年12月期の目標として、売上収益を4,410億円、EBITDAを344億円と意欲的な水準を掲げており、海外事業においては、引き続き、M&Aを重要な成長戦略の軸とする方針である。もっとも、足元の業績は計画を上回るペースで推移しており、計画の見直し(上方修正)の可能性にも注目していきたい。

また、国内人口が減少する一方、世界の人口は大きく拡大し、グローバルで人材の流動化が進むことが予想されるなかで、その成長機会(ポテンシャル)を最大限に取り込むためには、世界No.1を視野に入れた体制構築を早めることが重要であると認識しており、今後策定していく中期経営計画においては、その通過点として、営業利益700億円超の実現を目指す考えである。

■Key Points
・2019年12月期上期の業績も計画を上回るペースで順調に拡大
・これまでの事業構造変革が奏功し、米中貿易摩擦の影響などは限定的
・2019年12月期の通期業績を据え置き、過去最高業績を更新する見通し
・今後もM&Aを含む成長戦略の推進により、事業構造の変革及び進化を図りながら、世界No.1を視野に入れた体制構築に取り組む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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