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テラスカイ Research Memo(4):ソリューション事業が売上高の80%以上を占める


■クラウド市場の動向と事業内容

2. 事業内容
テラスカイ<3915>のセグメントは、ソリューション事業と製品事業の2つに分類される。2019年2月期における売上高構成比はソリューション事業が82.3%、製品事業が17.7%となっており、セグメント利益ではソリューション事業が92.6%、製品事業が7.4%となっている。セグメント利益率ではソリューション事業が14.0%、製品事業が5.2%と開きがあるが、これは製品事業ではまだ開発費用等の先行投資負担が大きいためで、減価償却費及びのれん償却控除前の利益率で見れば、ソリューション事業が14.8%に対して、製品事業が26.3%と逆転する水準となっている。製品事業についてはストック型のビジネスモデルとなっていることもあり、開発費が一巡し売上高が拡大していけば、利益率もさらに上昇していく構造となっている。一方、ソリューション事業については労働集約的なビジネスモデルとなっているため、収益性についてはプロジェクトの生産性をいかに向上していくことができるかがポイントとなる。

また、売上高構成比をプラットフォーム別で分けると2019年2月期はSalesforce関連が66%、AWS関連が34%となっており、ここ数年はAWS関連の比率が上昇傾向にある。AWS関連の売上高に関しては市場の拡大を追い風に2年間で約3倍増と急成長している。一方のSalesforce関連についても構成比率は低下したものの、売上高ベースでは20%台の高成長が続いていることに変わりはない。

(1) ソリューション事業
ソリューション事業では、クラウドを活用したシステムを顧客企業のニーズに応じて開発し、導入支援を行っている。具体的には、フロントシステムや基幹システム等の要件定義から設計・開発・テスト・運用・効果検証・改善策立案・システム化計画までを行っている。フロントシステムとしてはSalesforceでの開発が多く、セールスフォース・ドットコムとは、Salesforceのライセンス販売契約を締結している。

同事業については、Salesforceの開発・導入支援を同社とキットアライブ(主に北海道地区)で、また、AWSの開発・導入支援やSAPのクラウド化(AWSへの移行)をBeeXで展開している。Salesforceの導入支援やSAPのクラウド化では国内でトップクラスの実績を持つ。また、SalesforceやAWS等のクラウド導入案件に関するMSPサービスをスカイ365で提供している。

Salesforceの導入実績としては4,000件以上で、みずほフィナンシャルグループ<8411>や小田急電鉄<9007>グループ、KDDI<9433>など業種・業態・企業規模を問わず、多数の企業に導入されているが、SalesforceがCRM分野で強いことからサービス業などBtoC企業の比率が高い。

(2) 製品事業
同社は、SaaSベンダーとしてクラウドに特化したサービスの開発及び提供を行っている。具体的には、Salesforceの画面開発ツールである「SkyVisualEditor」、「SuPICE」、データ連携サービスの「SkyOnDemand」、「DataSpider Cloud」、ソーシャル・グループウェアサービスの「mitoco」、保険代理店向けサービスの「IAS」、コンタクトセンターソリューションの「OMLINE-I」「OMLINE-O」などがある。このうち、主力サービスは「SkyVisualEditor」、「DataSpider Cloud」などで全体の6割超を占める。国内ではシステム業務に合わせて画面やロジックなどの仕様をカスタマイズし、使い勝手を向上したいとのニーズが強く、特に「SkyVisualEditor」に関しては業界でデファクト製品としての地位を確立している。

製品事業は、同社と米国子会社であるTerraSky Inc.で展開しているが、米国子会社については主にマーケティング機能が中心であり、売上規模も小さく業績面への影響は軽微となっている。なお、「SkyOnDemand」については資本業務提携先であるNTTテクノクロスと国内総販売代理店契約を締結しており、主にNTTテクノクロスを通じて販売を行っている。


Salesforceの認定資格者数で国内トップクラス、クラウドインテグレーションの技術開発力と豊富な人材が強み
3. 強み
同社の強みは大きく3つにまとめることができる。第1に、豊富な導入実績により蓄積されたノウハウにある。2019年5月時点のクラウド導入実績で4,000件以上となっており、プロジェクト・マネジメントや品質管理なども含めて多様なノウハウが蓄積され、様々な顧客ニーズに対応できる。また、大型案件については受注できる会社が限られており、競争優位性がある。

第2に、クラウドを得意とするエンジニアの圧倒的な数と質である。これは、クラウドサービスの認定資格取得者数からうかがうことができる。2019年8月1日時点の発表資料によれば、SalesforceMVPは国内で13名しか取得していないが、うち2名が同社に在籍しているほか、認定テクニカルアーキテクトも11名中4名が在籍している。また、AWSの認定資格取得者数も多数在籍している。認定資格取得者数は受注能力にほぼ比例するため、同社がSalesforceの開発・導入支援で国内トップクラスの実績及び能力を持っていると言っても過言ではない。これら認定資格取得者数をいかに増やせるかが、今後の成長のカギを握るとも言える。

同社ではエンジニアの入社後は、こうした認定資格の取得を目指すため約半年の教育・研修を行い、実践部隊として現場に投入している。人材育成は企業が成長していくためのコア・コンピタンスとして位置付けており、同社の成長の原動力となっている。また、給与水準や労働時間などの労働環境も優秀な人材が在籍しやすいよう配慮しており、エンジニアの定着率も業界平均と比較して高くなっているものと見られる。

第3に、SalesforceやAWSなどクラウドの複数プラットフォームをカバレッジしている点も強みとなっている。複数のプラットフォームの開発が可能なため、顧客の多様なニーズに対応でき受注件数の拡大につながっている。

4. 事業リスク
事業リスクとしては、旺盛な需要に対応するだけのエンジニアの確保が挙げられる。人材採用については中途採用を中心に本社だけでなく地方拠点でも進めているものの、需要の拡大に追い付いていないのが実情で、エンジニアの採用・確保が予定どおり進まない場合は、売上成長が計画を下回るリスクがある。また、不採算プロジェクトの発生リスクについては、プロジェクト管理部門による情報の共有と進捗管理を徹底していることで、2017年2月期以降は発生件数が年間1件程度と極めて低くなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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