高千穂交易 Research Memo(6):2019年3月期は計画を下回るも増益。無借金経営が続き財務基盤は安定(2)
2. 2019年3月期のセグメント別状況
セグメント及びサブセグメント別の状況は以下のようであった。
(1) システム事業
システム事業の売上高は12,267百万円(前期比2.4%増)、営業利益は粗利益の改善、販管費の削減(のれん償却費の減少50百万円含む)などによって803百万円(同48.0%増)と大幅増益となった。サブセグメントの状況は以下のようであった。
a) セキュリティ
売上高は7,435百万円(同2.8%減)となった。国内では、オフィス向けは働き方改革支援につながる勤怠管理システムや入退室管理等が比較的好調であった。小売向けではGMS、ドラッグ向けは監視カメラが比較的好調であったが、それ以外のリテール向けは無人化・省人化投資が優先され、セキュリティ関連の投資は低迷した。前期に大手携帯キャリア向けにディスプレイセキュリティシステムの大型案件を獲得したモバイルは、その反動で減収となった。
海外ではTKFS※は防火システムに加え、リテール(小売)向け商品監視システムも好調に推移した。一方でGuardfireは、発電所案件に注力し大型の受注を獲得したものの、期中に売上げを計上するには至らず、海外の売上高はほぼ前期並みとなった。
※TKFS:Takachiho Fire, Security & Services(Thailand) Ltd.
b) その他ソリューション
売上高は2,002百万円(同20.0%増)となった。期待されていたRFID関連では、大手アパレル向けに新たな案件を獲得したが、売上計上が翌期にずれ込んだことから売上高は526百万円(同1.5%増)にとどまった。メーリングは、新機種のリプレース需要を取り込んだことなどから売上高は520百万円(同10.2%増)となった。ネットワークは引き続きクラウド型無線LANシステム(Meraki製)が自治体向けやオフィス向けに好調に推移し売上高は956百万円(同41.4%増)となった。
c) カストマ・サービス
ストック型事業であることから、売上高は2,829百万円(同6.3%増)と堅調に推移した。
(2) デバイス事業
デバイス事業の売上高は7,627百万円(同0.5%増)、営業利益は185百万円(同103.5%増)となった。電子プロダクトは減収となったが、産機プロダクトが健闘し、セグメントとしては前期並みの売上高を確保した。商品構成の変化により粗利率が改善、セグメント利益はほぼ倍増した。
a) 電子プロダクト
売上高は3,319百万円(同5.9%減)となった。向け先別売上高は、次世代移動通信「5G」向けが好調であった電源が484百万円(同379%増)、車載用機構部品が好調であったテレマティックス(TT)が515百万円(同75.8%増)と増収となったが、それ以外は低調に推移し、携帯電話向け等のデジタルアプライアンス1(DA1)は178百万円(57.6%減)、液晶テレビ向け等のデジタルアプライアンス2(DA2)は509百万円(同9.1%減)、インダストリーインフラ(II)は1,265百万円(同22.1%減)、ゲーム機向け等のアミューズメントは56百万円(同54.8%減)、その他は312百万円(同23.2%減)であった。
b) 産機プロダクト
売上高は4,307百万円(同6.1%増)と増収となったが、本格回復とまでは言えない。向け先別では、自動機が1,223百万円(同1.0%減)となったが、これは、これまで業績を牽引してきた中国のATM市場で自国製品へのシフトが進みつつあり、日本のATMメーカーの出荷が低減したことに連動したものである。さらに貨幣の電子化もATM需要の低迷に拍車をかけている。今後は、ATM以外のビジネスも推進することが課題となってくる。遊技機向け売上高は285百万円(同33.2%増)と回復したが、機種の入れ替えによる一時的な需要回復であり、中長期的にはこの市場は縮小すると予想され、新規需要の開拓が急がれる。それ以外は比較的堅調に推移し、住設の売上高は795百万円(同8.6%増)、OA/PPCの売上高は468百万円(同8.8%増)、 OFの売上高は630百万円(同3.3%増)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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