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リソー教育 Research Memo(8):主力のTOMASは、中堅駅に小規模校で進出する“サテライト校戦略”を展開


■中長期成長戦略と進捗状況

3. 学習塾事業の成長戦略と進捗状況
学習塾事業はリソー教育<4714>本体が運営する個別進学指導の「TOMAS」事業と、子会社のインターTOMASが担当している英会話スクール(サービスブランド名は会社名と同じ「inter TOMAS」)事業の2つから成り立っている。その内訳は開示されていないが、現状ではインターTOMASの売上規模は年間5億円程度で、学習塾事業の大半はTOMAS事業によるものと弊社では推測している。

TOMAS事業は進学指導を目的とした完全個別指導ということで、独自のポジションを築いている。一般的に、個別指導塾は学校の補習を目的としていることが多く、授業形態も1対2(もしくは3)の“凖”個別形式が多い。TOMASは指導目的と授業形態の両面で差別化を図り、授業料の高価格設定を実現している。

授業料の高価格設定はプラス・マイナス両面がある。プラス面は高収益の実現や講師の確保だ。特に講師の確保は人手不足の現在の社会情勢にあって、大きなアドバンテージとなっている。マイナス面は市場性の問題だ。高所得世帯が対象顧客となるが、その分布状況に鑑みて、現状ではTOMASの展開を1都3県に絞っている。

こうしたTOMAS事業の特性を踏まえて同社は、同事業の成長戦略として“サテライト校戦略”に取り組んでいる。これは、従来はターミナル駅において150~200坪の広さに200名~400名規模で教室を展開していたのに対して、周辺の中堅駅において50~60坪の広さに100名~150名の規模で教室を展開する戦略を言う。2019年2月期においては9校を新規に開校し、期末の校舎数は83校となった。今後も年間約10校のペースでサテライト校の新規開校を継続し、2019年2月期−2023年2月期の5年間で約50校上積みして120校体制の確立を目指す方針だ。

TOMASに関しては、サテライト校戦略に加え医学部受験に特化した個別指導塾「MEDIC TOMAS」の展開にも取り組んでいる。現役の難関大学医学部生チューターによる指導が特色だ。MEDIC TOMASはTOMASの地域特性・市場特性に応じた派生形態でTOMASの内数となるが、医学部合格実績はアピール力が強いと考えられるためTOMAS事業全体の底上げへの貢献が期待される。

英会話のinter TOMASについては、TOMASと連携して成長を目指す方針だ。背景には大学入試制度改革とそれに誘発された英語教育に対するニーズの変化がある。入試においてもより実践的な英語力が問われるようになったことで、英語指導を理由としてTOMASからの退会者が増えることを同社は潜在的なリスク要因として考えている。それへの予防・対抗措置がTOMAS教室と同一・隣接ビルへのinter TOMASの出店だ。それによってTOMASからの退会を防ぐだけでなく、inter TOMASからTOMASへの集客という流れも狙っていると見られる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)




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