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クオールHD Research Memo(11):新規事業として、医薬品の受託製造事業への進出計画を発表


■中長期の成長戦略と進捗状況

4. 医薬品製造事業について
クオールホールディングス<3034>は2019年3月期決算の決算説明に際して、従来から検討進めてきた新規事業の具体的内容として、医薬品の製造分野への進出計画を明らかにした。

これに関して同社が明らかにしていることはあまり多くはないが、概要は次のようなものだ。収益モデルとしては製薬メーカーからの製造受託に特化する方針とみられる。具体的な進出方法や形態としては、同社が新規に生産工場を建設することは計画しておらず、工場の取得や医薬品メーカーの買収もしくは一部出資といった方策を念頭に置いているとみられる。事業のスケジュール感としては、2020年3月期から実体的に動き出す方針とみられる。

同社がこのような決断に至った背景には、医薬品メーカーは新薬の研究開発にリソースを重点的に投下し、実際の生産は外注化するという流れにあるという見方が大前提としてある。その上で、同社が多数の製薬メーカーの出身の人材を抱えることや、彼らの有する医薬品メーカーの経営ノウハウを有することがあり、今回の決断に至ったとみられる。

同社の医薬品製造事業への進出について弊社では、比較的事業リスクは低い一方、軌道に乗れば存在感のある事業へと成長するポテンシャルがあると考えている。事業リスクという点では、まず製造受託に特化することがポイントとして挙げられる。これは研究開発負担を抑えることに貢献する。新工場を建設しないことも、設備投資に伴う減価償却費負担の発生を抑えることができるほか、生産立ち上げまでの時間の抑制にもつながる。M&Aや事業・設備の買収は“時間を買う”と表現されることが多いが、医薬品製造では工場建設期間とその後の医薬品生産工場としての許認可の取得を考えれば少なくとも2年のリードタイムが必要と推定されるため、このメリットが特に当てはまると言えるだろう。製造委託元の製薬メーカーの名前や数、製造品目などは当然ながら決定された事項は何もない状況だ。

今回の計画でのもう1つのポイントは、医薬品の受託製造であるがために販売活動は伴わないということだ。これもまた、事業リスク低減に寄与するとみている。ただし、このことは、保険薬局事業とのシナジーを見えにくくするポイントでもある。保険薬局事業とのシナジーがないと否定的に捉える向きもあるだろうが、まずはリスク抑制型の事業モデルである点を評価すべきと弊社では考えている。

医薬品製造事業の規模感についても現時点では何も示されていない。前述の中期業績目標(売上高3,000億円、営業利益250億円)の内訳として、新規事業が売上高300億円、営業利益85億円を占めることが掲げられている。医薬品製造事業は新規事業の中核を占めることになると考えられるため、まずはこの数字が中期的な目安になると弊社では推測している。一方で、医薬品受託製造事業において同社の売上高は委託元の製薬メーカーから見れば製造原価となり、製造する医薬品の種類(新薬か、ジェネリックか)にもよるが医薬品の販売価格としては600~800億円規模に相当することになる。したがって、決して低いハードルではないことは認識しておくべきだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)



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