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DEAR・L Research Memo(4):都市型マンション1棟売り事業とADRで効率的ビジネスモデルを構築(2)


■事業概要

2. セールスプロモーション事業
(1) 様々な不動産業務に女性を派遣
会社設立時から手掛ける不動産業界向けの人材サービス業は、足元の東京圏の不動産市況が活況なこともあり受注は順調に推移している。ディア・ライフ<3245>では、不動産事業を行っている経験を生かし、不動産現場で役立つ人材を養成し、派遣している。分譲・賃貸を問わず物件説明や案内を担当する営業サポート、総合受付や応接室管理などの受付業務、マーケティング、営業支援のモニター・調査・ポスティング業務、賃貸物件でのコンシェルジュサービスなど様々な業務分野への派遣を行っている。派遣スタッフはもとより同事業に従事する従業員が女性であり、女性の社会進出を支援しているという側面もある。2018年7月に、同事業は子会社である(株)ディアライフエージェンシーに移管された。本格的な人材関連事業の拡大に向けた取り組みを強化するとともに、当該事業部門の意思決定の迅速化と組織の自立性・専門性を高めることを狙ったものだ。

(2) きめ細かい指導で派遣先、派遣スタッフ両者からの信頼
派遣スタッフにはその実務に即した基本的な研修を実施した後に現場に派遣しており、派遣後も顧客である大手不動産会社からのフィードバックをもとに派遣スタッフへのきめ細かいフォローアップを施している。このような丁寧な仕事ぶりが、派遣先の不動産会社と派遣スタッフ両者からの信頼を得て当事業の好循環につながっている。優良な派遣スタッフを数多く抱える同社には、大手不動産会社からの継続的な需要があり、今後も堅調な業績が見込まれる。

(3) 業績推移
セールスプロモーション事業の売上高は、旺盛な需要に支えられ近年右肩上がりの傾向にある。一方で、セグメント利益は派遣スタッフ人件費の高騰などが影響し、伸びが鈍化する傾向にある。

3. 関連会社パルマ
(1) 成長性が高いセルフストレージ市場
セルフストレージ市場は潜在成長力の高い市場である。持分法適用関連会社で2015年に東証マザーズに上場したパルマは、この高成長が期待されるセルフストレージ事業者向けのサービスを多面的に提供しており、業界におけるサービスプロバイダーとしての第一人者である。上場を果たしたことで認知度・信用力がさらに高まったパルマは、今後もこの成長余地の大きいセルフストレージビジネスを支えるマーケットリーダーであり続けることが大いに期待される。

「セルフストレージ」とはレンタル収納スペースの総称であり、今後個人利用の大きな拡大が見込まれている。個人利用では主に家財・日常使用頻度の低い物品の保管などに利用される。遺品の保管や、都心の狭小住空間を補完する収納空間としての需要が増えてきており、また引越し・移転や離婚時の一時的な荷物保管としてのニーズも大きい。このように個人の潜在需要が大きく見込まれるため、物件供給やサービスの普及に合わせて市場の急拡大が予想されている。セルフストレージ市場は、ここ数年毎年6~8%の伸びで拡大しており、2018年度の市場規模は743.3億円と予想(出所:(株)矢野経済研究所「レンタル収納・コンテナ収納・トランクルーム市場に関する調査(2019年)」)され、これに前述の伸び率が続くと2020年度には800億円を超えると推計される。

(2) 競争力の高いセルフストレージ事業者向けサービス
事業の3本柱はビジネスソリューションサービス、ITサービス、ターンキーソリューションサービスである。

ビジネスソリューションサービス(別名「滞納保証付きBPOサービス」)は、セルフストレージのエンドユーザーからの問い合わせ・申し込み・解約を事業者に代わって受け付けるサービスである。日々の集金・決済手段提供、入金管理、滞納保証・管理はもちろんのこと、さらには物件の巡回清掃までの実務を一手に引き受けている。事業者は、数多くのエンドユーザーへの個別対応や、小口入出金の多い資金管理を一括してアウトソースできる。既に相応の受託シェアを有する同社のビジネスソリューションサービスは効率的なオペレーションを提供できていることから、競争力が非常に高く、順調に業績を拡大している。同社のBPOサービスの受託件数は77,905室(2019年9月期第2四半期)であり堅調に増加している。

ITソリューションサービスでは、予約決済在庫管理システム「クラリス」の運営とWeb集客サイト「クラギメ」の管理運営代行をしており、事業者の効率的な事業運営をサポートしている。いずれも国内最大級のITインフラとしてそのプレゼンスを高めて、セルフストレージ市場での同社の存在感はますます高まっている。

同社のターンキーソリューションサービスは、事業計画から物件開発、運営までのフルサービスを提供する。新商品を求める大手不動産事業者、ポートフォリオの多様化を図る不動産投資家、海外での先行事例を熟知している海外投資家などの多くの潜在投資家が日本のセルフストレージ市場への投資に関心を持っている。同社が提供する「新規開業に必要なサービスをパッケージにしたターンキーソリューションサービス(あたかも鍵を回すだけで運転可能な施設を提供するサービス)」の潜在需要は非常に大きい。

(3) 日本郵政グループの経営資源を有効活用し新たな発展ステージへ
2018年5月、パルマは日本郵政<6178>グループの100%子会社である日本郵政キャピタル(株)を割当先とする第三者割当増資を実施した。また、同社から日本郵政キャピタルへパルマ株式の一部を譲渡。一連の資本政策により、日本郵政グループのパルマ株式所有比率は20%、同社の所有比率は61.12%(連結対象)から43.32%(非連結)となった。パルマにとっては、信用力・財務基盤が強化されるとともに、日本郵政グループの保有資産の有効活用の一環としてセルフストレージ施設を供給するなど、大きな成長機会の創出が期待できる。日本郵政グループとしても全国23,953(2019年3月末)の郵便局施設を始めとした、保有資産の収益性・ 資産効率の向上が可能となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)



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