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富士ソフト Research Memo(5):財務体質の強化を経て、攻めの経営を再開


■業績動向

富士ソフト<9749>の2017年12月期の売上高は180,773百万円となり、リーマン・ショック前のピーク売上高(2006年3月期179,505百万円)を11年ぶりに更新した。2018年12月期決算は売上高が前期比13.0%増の204,329百万円、営業利益が同17.4%増の11,400百万円と2ケタ増収・増益を実現、過去最高の営業利益(2006年3月期12,078百万円)を射程圏に捉えている。ピーク売上高更新まで実に10年余り要したわけだが、その間にフロー利益の回復だけでなく、財務体質の強化と成長ポテンシャルの増強が図られていることは高く評価できる。

まず、財務体質の安全性を計る代表的な指標の推移を見ると、自己資本比率が2006年3月期末47.3%→2015年12月期末60.3%→2018年12月期末54.6%、流動比率が同96.4%→同199.7%→同161.8%、純有利子負債(有利子負債−現金及び現金同等物)が同21,285百万円→同−479百万円(キャッシュ超過)→同4,938百万円など、いずれも大幅に良化している。

また、2015年12月期以降の大量採用により、従業員数は2006年3月期末9,415人→2018年12月期末14,910人と1.6倍にまで拡大、その一方で、単体ベースの認定技術者比率(同社制度に基づく認定スペシャリストと認定プロダクトマネージャーの合計数が全従業員数に占める比率)は2014年12月末22.8%→2018年12月末29.2%と上昇しており、大量採用と新人材・若手人材の早期育成・成長の両立を実現している。

加えて、設備投資額は2014年12月期3,028百万円→2018年12月期22,608百万円、研究開発費は同712百万円→945百万円と先行投資も拡大させており、人材投資ともあいまって「挑戦と創造」に向けて成長ポテンシャルの増強が図られている。

ここで、財務指標と経営戦略の関係を見ると、大量採用と先行投資の拡大に踏み切った2015年12月期は、自己資本比率が60%台乗せを達成、流動比率が200%目前まで改善、純有利子負債はキャッシュ超過となる水準まで削減と、強固な財務体質を実現したタイミングであったことが読み取れる。

創業者を含む強いリーダーシップによる迅速な経営判断・実行力が同社の強みと言えるだろうが、躊躇せず「攻めの経営(先行投資の積極化)」に転じられたのも、業績低迷局面において「守りの経営(財務体質の強化)」を推進したからこそであり、事業環境の変化を的確に捉えた同社の冷徹な経営判断を高く評価したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)



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