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アンジェス Research Memo(5):研究開発費が先行し、営業損失が続く見通し


■業績動向

1. 2018年12月期業績の概要
アンジェス<4563>の2018年12月期の連結業績は、事業収益が前期比67.1%増の610百万円、営業損失が3,065百万円(前期は3,288百万円の損失)、経常損失が3,096百万円(同3,307百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失が2,996百万円(同3,764百万円の損失)となった。

事業収益の増加は、ムコ多糖症6型治療薬「ナグラザイム®」の売上が前期比4.9%増の382百万円となったのに加えて、研究開発事業収入227百万円(前期は0.1百万円)を計上したことが要因となっている。事業費用の内訳を見ると、売上原価は「ナグラザイム®」の販売増に伴い前期比5.7%増加し、販管費も租税公課が同50百万円増加したこと等により同8.2%増となった。

一方で、研究開発費は同2.3%減の2,539百万円と若干減少した。原材料の評価替えや廃棄に伴い研究用材料費が403百万円増加したが、HGF遺伝子治療薬の旧国際共同第3相臨床試験にかかる費用※が減少し、外注費が196百万円減少したほか、前期に計上した従業員に対する株式報酬型ストック・オプションの付与に伴う株式報酬168百万円がなくなったこと、主に子会社の人員減少により給与及び手当が119百万円減少したことなどが要因となっている。なお、2018年12月期は特別利益として投資有価証券売却益31百万円、新株予約権戻入益62百万円を計上している。前期は投資有価証券評価損476百万円、減損損失112百万円を計上していた。この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は前期比で768百万円縮小した。

※海外で2016年まで実施していた国際共同第3相臨床試験についての費用で、臨床試験は既に終わっているが、その後の施設の閉鎖費用や患者のフォローアップ費用等が残っている。


2. 2019年12月期の業績見通し
2019年12月期の事業収益は前期比45.1%減の335百万円、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失についてはいずれも2,800百万円となる見通し。事業収益については研究開発事業収入がなくなるほか、「ナグラザイム®」の売上も減少する見込み(BioMarinとの販売契約が、2019年3月末に終了)。一方で、国内におけるHGF遺伝子治療薬の条件及び期限付販売承認によって、田辺三菱製薬からのマイルストーン収入及び販売ロイヤリティ収入の発生を見込んでいる。「ナグラザイム®」については四半期ベースで安定的に100百万円前後の売上実績が、2019年12月期は第1四半期分に加え承継後の在庫分についてのみが売上計上されることになる(3月末の在庫分も販売は可能)。

事業費用については、HGF遺伝子治療薬の国内における市販後調査にかかる費用等の発生により、販管費が前期比で増加するが、売上原価が減少するほか研究開発費も前期に計上した研究材料費の評価減がなくなるため、全体では減少する見込みとなっている。以上から、営業損失は3期連続で縮小する見通しとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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