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オンコリス Research Memo(5):免疫チェックポイント阻害剤との併用療法での中間発表にも注目が集まる(2)


■オンコリスバイオファーマ<4588>の開発パイプラインの動向

(3) ウイルス製剤の競合状況とライセンス活動の状況
腫瘍溶解性ウイルス製剤の競合としては複数あるが、唯一製造販売承認されたものとして米Amgenの「T-VEC」(IMLYGICTM)があり、2015年10月にメラノーマを適用疾患として米国で承認されている。開発中のものではタカラバイオ<4974>の「C-REV(旧称HF10)」が国内でメラノーマを対象にチェックポイント阻害剤との併用による第2相臨床試験、膵がんを対象とした第1相臨床試験を実施しているほか、米国でもメラノーマ(第3/4ステージの切除可能なメラノーマ)を対象にチェックポイント阻害剤との併用療法による第2相臨床試験が進められている。

特に、ここ最近では臨床試験の結果から腫瘍溶解ウイルスとチェックポイント阻害剤との併用療法が有効との認識が広まっており、腫瘍溶解ウイルスの開発企業に対する企業買収や共同開発契約も活発化している。2011年に「T-VEC」の開発元である米BioVexをAmgenが1,100億円で買収したのを皮切りに、直近では2018年2月にMerckが「CAVATAK®」の開発元であるオーストラリアのViralyticsを423億円で買収している。「CAVATAK®」はメラノーマ、前立腺がん、肺がん、膀胱がんを対象に第1/2相臨床試験を進めるバイオベンチャーだ。

このため、弊社ではテロメライシンについても総額で数百億円規模のライセンス契約が締結される可能性が高いと見ている。食道がんを対象とした腫瘍溶解ウイルスの開発を進めているのは同社のみであるほか、アデノウイルス(=テロメライシン)ががんの転移原因となるがん幹細胞に対しても効果があること、放射線療法との親和性が高い※ことなど様々な長所を持つためだ。実際、岡山大学の臨床研究結果が発表されて以降、詳細なデータを確認したいとの要望が国内外の大手製薬企業から相次いでいる。なかでも、有力候補と目されるのはチェックポイント阻害剤の開発販売企業となる。併用療法で有力な腫瘍溶解ウイルスの開発販売権を握ることができれば、自社のチェックポイント阻害剤の市場価値を高めることにもつながるためだ。

※放射線療法はがん細胞の遺伝子を破壊することで、がん細胞を死滅させる治療法となるが、放射線照射後のがん細胞の表面が、アデノウイルスを付着しやすくなるように改質されること、また、がん細胞の遺伝子修復機能を抑制する働きを持つ「E1B遺伝子」をアデノウイルスのみが持っていることなどが、放射性療法との親和性が高い理由となっている。


メガファーマが交渉先となるため、データの精査や契約条件等に相応の時間を要すことが予想される。まずは、2019年3月末に米国の学会で発表予定の食道がん等の固形がんを対象とした第1相臨床試験の中間報告の内容が注目されることになる。また、欧米人のデータも確認するのであればコーネル大学が進める第2相臨床試験の中間報告(2020年春または秋)まで待つことになる。このため、中間報告の内容が良好であれば早くて2019年、遅くとも2020年内にはライセンス契約が締結できるものと弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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