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フェローテク Research Memo(3):事業内容(製品)は多岐にわたるが、主力は半導体等装置関連事業


■事業概要

1. 事業セグメント
前述のようにフェローテックホールディングス<6890>は多くの製品を自社開発・製造すると同時にM&Aによって多くの企業を子会社化してきたことから、事業内容は多岐にわたっている。現在の事業セグメントは半導体等装置関連(2018年3月期売上高比率48.7%)、電子デバイス(同14.0%)、太陽電池(同23.1%)、その他(同14.1%)に分けられている。

さらに、これらのセグメントは、次のようなサブセグメントに分けられている。

2. 半導体等装置関連
このセグメントは、さらに真空シール、石英製品、セラミックス、CVD-SiC、EBガン・LED蒸着装置、ウェーハ加工のサブセグメントに分けられる。

(1) 真空シール(2018年3月期対総売上高比率13.0%)
磁性流体を利用して、真空雰囲気内への回転導入機としての役割を担う部品で、半導体・FPD・LED・太陽電池等の製造工程で利用されている。同社の核となる製品で、主に半導体ウェーハのエッチングや成膜工程、FPDのパネル搬送用ロボットの回転機構部などに導入され、密閉空間を外部から隔離しつつ、加工に必要な動力を正確に伝えることを可能にしている。

主な販売先業種別シェア(2018年3月期)は半導体30%、LED10%、FPD21%、太陽電池18%、その他(主に受託事業等)21%となっている。

(2) 石英製品(同12.7%)
石英製品とは熱と化学変化に強い超高純度のシリカガラスで、同社の製品は主に半導体製造工程等で使われる。ウェーハの成膜生成や拡散プロセスなどで使われるほか、搬送や洗浄工程で治具、消耗品として使われており、微細化・高純度化が進む半導体製造プロセスの中で重要な役割を担っている。

主な販売先業種別シェア(2018年3月期)は、大手半導体メーカー向けを中心としたOEMが66%を占め、以下エンドユーザー(デバイスメーカー)23%、LED1%、PV2%、LCD1%、その他4%となっている。主なOEM先は、日本大手3社、米国大手2社、中国1社となっている。

(3) セラミックス(同9.6%)
高強度・高純度のセラミックスに同社が持つ素材技術、生産技術、精密加工技術を生かして様々なセラミックス部品を提供している。セラミックス製品は高強度・高純度・高耐熱性などの特性に優れたファインセラミックス製品(FC)と高度な機械加工が可能なマシナブルセラミック(MC)に分けられる。前者は主に半導体製造装置用の部品として使われているが、特にドライエッチング方式(プラズマエッチャー)では不可欠な部品となっている。後者は様々な加工を施すことで各種部品や治具として利用されるが、特に半導体の検査工程での治具(ウェーハプロバー用)として需要が高まっている。また近年では、その精密加工特性を生かして高度な医療用機器での利用も進んでいる。

セラミックス製品の主な製品別販売シェア(2018年3月期)は、MC半導体検査19%、MC国内一般5%、MC輸出7%、FC半導体装置用17%、FC輸出33%、その他23%となっている。

(4) CVD-SiC(同3.4%)
独自のCVD製造法による炭化ケイ素(SiC)製品で、超高純度・高耐熱性・高対磨耗性・耐腐食性を実現している。主に半導体製造工程で用いられるウェーハボートやチューブ、シリコンウェーハの代替となるダミーウェーハなど、主に高温で使用される治具として幅広く活用されている。

地域別販売シェア(2018年3月期)は、中国が41%、日本が28%、北米が20%、台湾が10%、欧州が1%となっている。

(5) EBガン・LED蒸着装置(同4.3%)
EB(Electron Beam)ガンとは電子銃のことであり、高機能なEBガンと高圧電源を心臓部とした米国製Temescal装置(精密蒸着装置)は、大学や研究所向けの小規模生産用タイプから、大規模生産用高スループットタイプまで幅広い製品群をそろえている。次世代通信などで利用が見込まれる化合物半導体での世界標準機として数多くの顧客に使用されており、現在ではLEDや通信チッププロセス等の導入が進んでいる。

(6) ウェーハ加工(同5.7%)
同社では半導体向けに6インチ以下の小口径シリコンウェーハを単結晶インゴットからウェーハ加工まで一貫生産している。バイポーラIC用、ディスクリート用、MEMS用の量産品を中心にグローバルな供給体制を築いている。また2017年から8インチウェーハの生産を開始し、後述するように今後は8インチウェーハの量産体制を構築する。

3. 電子デバイス
このセグメントは、サーモモジュールと磁性流体・その他の2つのサブセグメントに分けられる。

(1) サーモモジュール(2018年3月期対総売上高比率12.8%)
サーモモジュールは、2種類の金属の接合部に電流を流すと、片方の金属からもう片方へ熱が移動するという効果を利用した板状の半導体冷熱素子(べルチェ素子)。小型・軽量でフロン要らずの特長があり、自動車の温調シートを始め、冷却チラー、光通信、バイオ、エアコン、ドライヤーなど様々な家電民製品にも採用されている。

業種別販売先シェア(2018年3月期)は、自動車29%、自動車その他1%、半導体14%、光学5%、バイオ14%、通信機器6%、理科学3%、民生10%、パワー基板12%、その他7%となっている。

(2) 磁性流体・その他(同1.2%)
磁性流体とは液体でありながら、外部磁場によって磁性を帯び、磁石に吸い寄せられる機能性素材。1960年代のNASAスペースプログラムで、無重力環境の燃料輸送等の目的で開発された。現在では、スピーカーやアクチュエーター、センサー、分別リサイクル用途のほか、同社の主力製品の1つである真空シールにも利用されている。

その他の中には、パワー半導体基板などが含まれている。パワー半導体基板とは、サーモモジュール製造技術を応用して、アルミナ、窒化アルミニウムセラミックスに銅回路板を共晶反応によって接合した放熱用絶縁基板のことである。同製品は、電車や電動車両、エアコン、サーバー等の小型化・省エネ化に寄与しており、今後の需要増が期待される製品である。

4. 太陽電池
このセグメントはさらに石英坩堝、太陽電池用シリコン、シリコン結晶製造装置、セル・その他の4つに分けられる。

(1) 石英坩堝(2018年3月期対総売上高比率2.0%)
同社の石英坩堝製品は、半導体製造工程に不可欠な石英製品と同等の高純度の原料を使用し、単結晶シリコンの原料を充填する容器として使用されている。半導体用、太陽電池用などの単結晶シリコンを製造するメーカーが主な顧客である。今後の方針として、半導体顧客への比率を高めることで収益を確保していく。

(2) 太陽電池用シリコン(同14.4%)
原料のシリコンを高温で溶かし、その後徐々に冷やすことで結晶化されたインゴットを生成する。同社では原子配列が規則的で発電性能に優れた単結晶インゴットだけでなく、経済性、生産効率に優れる多結晶インゴットも自社生産設備で製造している。

これらのインゴットから固定砥粒ワイヤーソーで切り出し、薄くスライスした単結晶ウェーハも生産している。同社のウェーハはワイヤーの細線化に対応し、高変換モジュールに採用されている。

(3) シリコン結晶製造装置(同0.2%)
単結晶引上装置は、半導体工程で培った同社のコア技術を生かした単結晶シリコンインゴットの製造装置で、原料のポリシリコンを真空電気炉内で溶かしたシリコン融液を引き上げながらインゴット形状を作る。装置内には、真空シール、原料を高温で溶かすカーボンヒーターやその受け皿となる坩堝など、同社技術を生かした部品が多く使われている。

また同社は、高い生産性でインゴットを生成する多結晶製造装置も製造している。同社の製造装置は、多結晶材料やリサイクル材料の大量充填が可能で、多結晶インゴットの品質とその生産性に優れており、多結晶モジュールの高変換効率化に貢献している。

(4) セル・その他(同6.5%)
太陽電池用ウェーハに電気的な性質の異なる2種類の電極(p型、n型)の半導体を重ね合わせ電極を形成したものをセルと言う。同社では、単結晶・多結晶セルを生産し、太陽電池メーカーに販売している。

5. その他(2018年3月期対総売上高比率14.1%)
各種の受託作業や半導体製造装置用部品の洗浄作業などが含まれる。特に半導体製造装置用部品の洗浄は今後注力していく分野で、後述するように2019年3月期からはその他セグメントから分離され、半導体等装置関連セグメントに含まれている。

6. 特色、強み
(1) 無機系素材のパイオニア
同社は石英、シリコン、窒化ケイ素、シリコンカーバイド(SiC)など幅広い無機系素材の生成、加工などに長年携わってきた。そのため、同社内にはこれらの素材に関する多くのノウハウ(素材の性質、生成方法、加工方法等)が蓄積されており、これが同社の特色でもあり強みと言えるだろう。

(2) 製造装置も手掛ける
また同社は、単に素材だけでなく各種の製造装置も手掛けており、製造装置に関するノウハウも持っている。そのため顧客に対しては、素材、加工部品、最終製品、製造装置など様々な提案(ソリューションの提供)を行うことができる。

(3) ワンストップソリューションが可能
さらに同社の場合、半導体製造装置内の部品の洗浄(取り外し、洗浄、据付)や製造装置の組立等のサービス事業も展開しており、顧客にとっては素材の供給、部品加工、装置類の組立、部品洗浄などをワンストップで外注化(アウトソーシング)することが可能であり、これも同社の強みだろう。

(4) 大手顧客との信頼関係
前述のように同社の主要製品は、主に半導体製造装置向け及び半導体製造プロセスで使われるため、同社の主要顧客は世界でトップクラスの半導体製造装置メーカーが多い。ちなみに2018年3月期の売上高上位には、米国系製造装置メーカー2社、及び日本の製造装置メーカーが含まれる。同社はこれらの大手半導体製造装置メーカーに長年にわたり製品や部品を供給しており、これら顧客との深い信頼関係も同社の財産であり強みと言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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