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フォーバル Research Memo(6):ESG(環境、社会、ガバナンス)への重層的な取り組み


■中長期の成長戦略

1. ESG(環境、社会、ガバナンス)への重層的な取り組み
フォーバル<8275>は、ESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)を経営の重要課題と捉え、独自のアプローチで数々の取り組みを行ってきた。

(1) E:環境
同社は、太陽光発電システム、LED、蓄電池等の販売の事業活動を通じて環境問題に取り組んでいる。また、社内の取り組みとしても、自社オフィスでのLED化やサテライトオフィス・フリーアドレスデスクの導入、営業車両の削減などの施策を順次実行し、資源節約を推進している。

(2) S:社会
同社は、本業である中小企業の情報化支援を通じて、政府の方針である「Society 5.0(IoTやAIなどの技術革新を通じて社会課題が解決された社会像)」や「働き方改革」に貢献してきた。新たな仕組みやツールを商品化する場合、まずは同社社内で導入し、その効果の検証を事前に行うのが常である。働き方改革や生産性向上につながる取り組みの一例として、iPadを営業組織に導入(日本では先駆者)、営業でのGPS活用、RPAの導入などが挙げられる。

また、同社は過去から利益の一部を東南アジアの人材育成機関「CIESF」に寄付してきた。ベトナムの職業訓練校では2018年には600名前後の卒業生を輩出し、社員研修においては東南アジア4ヶ国で延べ1万人を超える人材を教育し“グローバルな人づくり”に貢献する。

(3) G:ガバナンス
ガバナンスにおいては、情報セキュリティの普及・教育、パワハラ・セクハラ等の研修及び相談対応を通じて、軽視されがちな中小企業のガバナンス向上を支援している。この分野においても、まずは同社社内で導入し、その効果の検証を事前に行ってきた。自社においては4つのオフィス安全管理措置を徹底する。具体的には、組織(規定、組織運用など)、人(セキュリティ教育など)、物理(監視カメラ、認証、施錠など)、技術(ファイアウォール、セキュリティソフトなど)である。

同社は、自身がESGを経営の根幹として実践するとともに、中小企業のESG推進の旗振り役になることをミッションとして事業活動を行っている。

2. M&A、資本業務提携により将来の成長への布石を打つ
同社のこれまでの成長にはM&Aが大きな役割を果たしてきた。2018年10月には、オフィス空間のプロフェッショナル集団である第一工芸社(本社:東京都港区)の全株式を取得し子会社化した。第一工芸社はオフィス空間のプロフェッショナル集団として、オフィス移転からレイアウトのデザインやリフォーム、オフィス家具の販売やOA機器の販売・保守サービスなどオフィス空間の様々な課題解決をサポートしてきた企業だ。創業は1947年に遡り、創業71年の老舗企業である。同社にとっては、今回の完全子会社化により約2,000社の顧客基盤を獲得することになり、仕入れにおけるスケールメリットのほか、同社のコアビジネスである各種経営コンサルティングの潜在顧客を得られるなどのメリットが見込まれる。また、第一工芸社としてもクロスセルによる売上拡大のほか、同社が培ってきたITを駆使した業務効率改善や先進のオペレーションを取り入れることによる生産性の向上が見込まれる。同社グループには、不動産仲介・オフィス移転支援サービス、OA通信機器の販売を行うフォーバル・リアルストレート<9423>があり、第一工芸社との相乗効果が期待される。

2018年10月には、企業が抱える課題とその解決策のマッチングプラットフォームを運営するファネルワン(株)(本社:神奈川県鎌倉市)の株式の一部を取得し、資本業務提携した。ファネルワンは、ビジネス上の課題を抱える企業がオンライン上にその課題を提示し解決策の提案を依頼すると、その課題に自社のソリューションがフィットすると考える企業が最適な解決策を提案するマッチングプラットフォームを運営している。プロセスをオンライン化することで、B2B取引の世界に圧倒的な効率化をもたらすイノベーションを目指している。 これまでも同社はクライアント先(約3万社)同士のマッチングで年間約8千件に及ぶ課題を扱ってきた。今回の資本業務提携により、同社のクライアント先以外も含めたより多くの企業の経営課題を可視化し、最も適切な解決策とのマッチングの事例を蓄積することで、独自の経営課題解決データベースを構築することを狙う。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)



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