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毎日コムネット Research Memo(3):首都圏中心に学生マンションの開発、サブリース等を手掛ける


■毎日コムネット<8908>の事業概要

1. 不動産ソリューション事業
不動産ソリューション事業は、学生マンションを開発し、オーナーから一括して借り上げてサブリースするサービスが主体となる。首都圏を中心に大学周辺のマンション195棟9,018戸(2018年5月期)を管理する。内訳としては、7,550戸(83.7%)をサブリース方式で借り上げ、701戸は管理受託、404戸が自社販売用、363戸が自社固定資産である。

市場全体に目を向けると、18歳人口は減少傾向だが、首都圏に限れば大学生・大学院生の数は安定的に推移しており、女子大学生に限定すれば増加傾向にある。2018年5月の大学生に占める女子の比率は45.1%(過去最高)にも上る。一方、学生マンションの供給量は少なく需給ギャップは解消されていない。学生マンションは主に地方の学生が居住し、女子学生の比率が高く、学生本人ではなく親が契約者の場合が多いという特徴がある。親(学生)のニーズとしては1)しっかりしたセキュリティ・管理体制、2)食事付き、3)大学周辺駅近の立地といった物件を希望する。同社の管理物件は、セキュリティを完備し、食事付きタイプもあり、駅までの平均徒歩時間は10分以内と利便性が良い。親(学生)のニーズを満たしているために入居率も高くなる。2018年4月時点の入居率は13年連続で100%と驚異的な高レベルを維持する。入居率の高さは、学生居住者の退去時期は事前に予測でき、募集に十分な時間をかけることができるという特殊性もあるが、同社の総合的なノウハウの結晶でもある。開発から募集、管理までを一気通貫で行うことにより、強靭なビジネスモデルが構築されている。

同社は首都圏に集中して学生マンションを展開してきた経緯があり、首都圏の学生専用マンションにおける推定シェアは約5割に達する。2017年5月期からは地方の国公立大学向け物件も展開し広島や京都などで実績を積み重ねており、今後も積極的に全国展開を図る考えだ。2018年5月期に開発されたカレッジコート経堂(首都圏立地、49戸)では、同社の様々なノウハウを垣間見ることができる。住宅街に建つこの寮は、容積率の制限が厳しく、前面道路も4メートルと狭いため、トラックなどの建設車両の出入りが制限される立地にある。同社では、自前の設計部隊が工夫を凝らし、コンパクトで魅力的なエントランスと、無駄のない部屋の配置を実現した。結果として、近隣の東京農業大学だけでなく、首都圏の様々な大学の学生に選ばれ、早期に満室稼働を実現した。

2. 学生生活ソリューション事業(人材ソリューション部門)
ワークス・ジャパンは、2010年に設立され、2015年に同社の連結子会社となった。大企業の人事部門向けに人材採用広報サービスや人材採用システムの提供を行っている。コンセプトは「つたえる、であう、つながる。」。「つたえる」は採用プロモーション、「であう」は採用イベント・キャリア支援、「つながる」は採用業務支援システムを意味する。具体的には、企業が学生を採用する際に活用するWebサイトやパンフレットの制作、説明会やイベントの開催、応募した学生とのやりとりを管理するシステムの提供などが業務となる。

また、(株)日本経済新聞社が行う「日経College Cafeアカデミー」の運営事務局を担っており、企業としての信用は格段に向上している。この取り組みは、学生を対象に、様々な分野で活躍する社会人講師により仕事の魅力を伝え、受講者の職業観を育成することを目指したものであり、イベント運営能力や学生集客能力が評価されて抜擢されたものだ。このほか、企業と学生の出会いの場として活用されている本社セミナールーム(神田)及び大阪セミナールーム(心斎橋)は、小規模な説明会などに活用されており高稼働が続いている。

ビジネスモデルは、企業側から収入を得るというもので、現在の顧客は1部上場クラスの大企業がほとんどだ。将来的には中堅企業への拡大も可能と考えられ、第2新卒や外国人の雇用などまだ開拓の余地があり、伸びしろは大きい。

人材ソリューション部門の業績は右肩上がりである。2015年3月にワークス・ジャパンを連結子会社化した後は、2017年5月期の売上高2,331百万円(前期比13.8%増)、2018年5月期には2,444百万円(前期比4.9%増)と着実に成長してきた。空前の売り手市場が続くなか、学生の集客及びマッチングの難易度は上がっているが、同社としては、ITとスマートフォンを駆使した新アプリ「Campusキャリア」(2018年9月リリース予定)や企業内OBと新卒人材をつなぐ新アプリの開発などを通じて学生の集客力を強化する方針だ。

人材ソリューション部門の業績は、企業や学生の採用・就職活動に密接に関わるため、季節変動が大きい。2019年4月新卒向けの就職プロセスは昨年同様、2018年3月に企業説明会解禁、2018年6月に選考開始となる(経団連加盟企業)。これらの時期の前に需要が高まるため、第2四半期まで(6月−11月)は閑散期、第3四半期以降(12月−5月)は繁忙期となる。四半期業績を評価する際には留意したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)



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