シャノン Research Memo(4):人件費の増加により若干の損失を計上するも、サブスクリプション売上は着実に増加
1. 2018年10月期第2四半期累計業績の概要
シャノン<3976>の2018年10月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比11.3%増の847百万円、営業損失で53百万円(前年同期は29百万円の損失)、経常損失で51百万円(同41百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失で51百万円(同32百万円の損失)となった。
売上高はMAサービス部門が前年同期比0.3%増の569百万円と伸び悩んだものの、EMサービスで2017年10月期途中から開始したイベントプロデュース関連の売上げが順調に推移し、同43.5%増の277百万円と好調に推移したことが増収要因となった。売上総利益は増収効果によって同7.7%増の469百万円となった。売上総利益率が同1.8ポイント低下したが、これは他の案件に比べて利益率の低いイベントプロデュース関連の売上構成比が上昇したことによる。
経常利益の増減要因を見ると、増収による売上総利益の増加で前年同期比33.4百万円の増益となったが、2017年10月期下期以降に人員体制の強化を進めたことで人件費が同57.9百万円増加したほか、教育訓練費の増加で4.0百万円、支払手数料の増加で5.3百万円の減益要因となった。採用費が同4.7百万円減少したほか、株式上場関連費用8.7百万円がなくなるなどその他の費用が減少したものの、人件費の増加分をカバーするまでには至らなかった。
(1) MAサービス
MAサービスの売上高は前年同期比0.3%増の569百万円と微増にとどまったが、同部門の6割を占めるサブスクリプション売上(月額定額+従量課金)については契約アカウント数の増加に伴って同1割増の350百万円前後となった。第2四半期末の契約アカウント数が353件と前年同期比で4.7%増となったことが主因だ。特に、新規契約件数は前年同期の29件から49件と5割以上増加した。前期後半から取り組み始めた中規模案件専門の営業組織体制が整備されたほか、営業スタッフ向けの営業ツールを初めて導入し、教育研修を実施したことで、新入社員の戦力化までの期間が短縮されたことが要因となっている。また、営業社員の評価モデルをサブスクリプション重視へ変更したこともアカウント数増加の一因となっている。
同社が重視するサブスクリプション売上の前年同期比での純増額を見ると、2017年10月期は第2四半期に大口顧客の解約もあり微増にとどまったが、2018年10月期第2四半期累計期間では約3百万円を積み上げたことになる。
なお、販売パートナーについては前期末比で7社増加し、連携サービスパートナー(サイボウズ<4776>、ソフトブレーン<4779>等)も含めたパートナー経由の売上高については徐々に増え始めている。まだ、全体に占める比率が数%と小さいものの、今後の契約件数増加に寄与する取り組みとして期待される。
一方、プロフェッショナルサービス売上に関しては、前年同期比で1割強の減収となった。大手金融機関等の既存顧客からの案件が縮小傾向にあるほか、新規顧客の開拓も遅れ気味となっていることが要因と考えられ、会社計画比でも下回る格好となった。ただ、同社ではサブスクリプション売上の積み上げによる収益成長を重点戦略としているため、同サービスの減収については許容範囲であり、今後の成長性に影響を与えるものではないと弊社では見ている。
(2) EMサービス
EMサービスの売上高は前年同期比43.5%増の277百万円と大幅増収となった。主力のイベントマーケティングシステムについては、リピート案件を中心に微増収となったが、2017年10月期下期から開始したイベントプロデュース関連の売上が2018年10月期第2四半期累計期間も順調に推移したことが増収要因となった。ただ、イベントプロデュース関連についてはプロデュース的な業務として手数料ビジネスのため、利益へのインパクトは大きくはない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
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