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鴻池運輸 Research Memo(5):2018年3月期は国内・海外ともに需要好調で増益を維持


■業績動向

1. 2018年3月期の業績概要
鴻池運輸<9025>の2018年3月期決算は、売上高276,761百万円(前期比7.1%増)、営業利益11,067百万円(同8.2%増)、経常利益11,536百万円(同7.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,042百万円(同3.7%減)となった。すべてのセグメントが増収増益であったが、主力の複合ソリューション事業は鉄鋼関連や空港関連が好調であった。国内物流事業はアパレルセンターでの取扱い量増加や西大阪流通センターの立ち上げコストの解消等により増収増益、国際物流事業においては海外現地法人(上海、ベトナム等)での輸送増により増収増益を確保した。

(1) セグメント別概況
売上高は複合ソリューション事業192,065百万円(前期比7.7%増)、国内物流事業49,028百万円(同1.9%増)、国際物流事業35,667百万円(同11.7%増)となった。また、セグメント利益は複合ソリューション事業14,014百万円(同4.3%増)、国内物流事業1,723百万円(同8.3%増)、国際物流事業970百万円(同63.0%増)、その他27百万円(前期は36百万円)となった※。

※2018年3月期より各セグメントの業績をより適切に評価するため、全社共通費の配賦方式を変更しているが、この変更は前期の数値にも反映されている。


複合ソリューション事業では、鉄鋼関連において工事案件の受注が堅調であったこと、またM&A効果もあり空港関連が伸びたこと、食品関連も取扱量の増加により堅調に推移したことなどから、増収増益となった。国内物流は、アパレルセンターでの量が増加したこと、第2四半期から受託を開始した西大阪流通センターの立ち上げコストの解消などが寄与し増益となった。国際物流事業も、電子機器類や航空貨物など取り扱い量が増加したこと、海外現地法人(上海、タイ等)が好調であったことなどから増収増益となった。

(2) 分野別概況
分野別では、鉄鋼関連はスポット業務の増加や海外連結子会社の寄与により売上高は63,709百万円(前期比6.9%増)と増収を維持した。食品関連では、飲料製造請負業務が堅調であったことから売上高は72,900百万円(同3.5%増)と堅調に推移した。メディカル関連は病院事業の増加により売上高は18,036百万円(同4.6%増)となった。空港関連も新規連結会社の寄与、地方空港での新規業務獲得により売上高は20,490百万円(同41.7%増)と大幅増収を達成した。生活関連(生活)は、オフィス用品等、生活用品取扱い業務の増加により売上高は16,928百万円(同2.5%増)と増収を維持した。生活関連(物流)の売上高は、取扱量の増加等により売上高は30,728百万円(同3.4%増)となった。食品関連(定温)では、不採算事業からの撤退などにより売上高は18,299百万円(同0.6%減)と減収となった。海外関連は、大型製造設備の輸送、据付業務獲得などにより売上高は35,667百万円(同11.7%増)と2桁増収となった。


財務状況は安定:自己資本比率は45.4%へ
2. 財務状況
2018年3月期末の財務状況は以下のようであった。流動資産は87,915百万円(前期末比2,695百万円増)となったが、主に現金及び預金の減少2,427百万円、受取手形及び売掛金の増加4,415百万円による。固定資産は123,893百万円(同4,458百万円増)となったが、有形固定資産の減少139百万円、無形固定資産の増加2,806百万円(主にのれん)、投資その他の資産の増加1,790百万円などによる。その結果、総資産は211,808百万円(同7,153百万円増)となった。

流動負債は53,467百万円(同3,484百万円増)となったが、支払手形及び買掛金の増加1,052百万円、短期借入金の増加789百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少1,264百万円などによる。固定負債は57,177百万円(同2,146百万円減)となったが、退職給付に係る負債の増加1,620百万円、長期借入金の減少258百万円、社債の減少3,000百万円などによる。この結果、負債合計は110,645百万円(同1,338百万円増)となった。純資産合計は前期末比5,814百万円増の101,162百万円となったが、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによる。この結果、2018年3月期末の自己資本比率は46.2%となった。

3. キャッシュ・フローの状況
2018年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは14,351百万円の収入であったが、主な収入は税金等調整前当期純利益11,333百万円、減価償却費7,420百万円、仕入債務の増加1,946百万円で、主な支出は売上債権の増加4,250百万円であった。投資活動によるキャッシュ・フローは9,989百万円の支出であったが、有形固定資産の取得による支出5,727百万円、子会社株式の取得による支出3,297百万円などであった。財務活動によるキャッシュ・フローは6,483百万円の支出であったが、短期借入金の増加による収入1,520百万円、長期借入金の返済による支出2,230百万円、配当金の支払いによる支出2,020百万円による。

この結果、期中の現金及び現金同等物は2,138百万円の減少となり、当期末残高は29,114百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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