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日本調剤 Research Memo(6):2018年改定の影響とつくば第二工場稼働に伴う費用増加により、増収減益見込み


■今後の見通し

● 2019年3月期の業績見通し
2019年3月期について日本調剤<3341>は、売上高253,893百万円(前期比5.2%増)営業利益6,318百万円(同40.3%減)、経常利益6,078百万円(同40.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,756百万円(同38.5%減)と、増収ながら大幅減益を予想している。

2018年3月期の過去最高益更新から一転して大幅減益が予想されているが、過度な懸念は不要というのが弊社の考えだ。減益の要因は調剤薬局事業における報酬改定の影響と、医薬品製造販売事業における新工場の立ち上がり負担によるものだ。前者については、前述にように同社は相対的な優位性をもち、中長期的には追い風に変えていくことが可能とみている。後者については費用負担の重さは今期がピークで、来期以降は費用の漸減とトップライン(売上)の拡大で、利益は好転してくると期待される。

事業セグメント別概要は以下のとおり。

調剤薬局事業は売上高213,133百万円(前期比3.9%増)、営業利益9,436百万円(同24.0%減)と増収減益を予想している。2018年改定の影響で技術料が大きく低下する見通しとなっている。既存店における処方箋枚数増加や新規出店による増収効果によって、売上高は前期比増収が期待されるが増収率は改訂の影響で例年(10%前後)よりも低くなっている。一方営業利益では、低下した調剤報酬を取り戻すには従来以上に時間を要することから、減益は避けられないと考えられる。

医薬品製造販売事業は売上高42,123百万円(前期比10.7%増)、営業利益51百万円(同95.7%減)と増収ながら大幅減益を予想している。2018年3月期中につくば第二工場が完成したことで、今期は減価償却費がフルに発生し、減価償却費の総額は34億円と前期の26億円から8億円増加する見通しだ。また研究開発費も前期比2億円増の29億円が予定されている。つくば第二工場からの製品出荷開始は12月が予定されており、それまでは立ち上がり費用が先行的に発生することになる。これらが利益を大きく圧迫して今期は大幅減益となる見通しだ。

医療従事者派遣・紹介事業は売上高13,500百万円(前期比12.8%増)、営業利益1,950百万円(同5.9%増)と増収増益を予想している。事業環境は前期までと同様、派遣、紹介とも高水準が続くと期待される。求人コストの増大や医師紹介など事業領域拡大に伴う先行投資費用の増加を吸収して、増益を確保する見通しとなっている。

■株主還元

日本調剤<3341>は株主還元について、配当によることを基本としており、配当額については成長のための内部留保とのバランスを取りつつ、経営成績に連動した形で利益還元を行っていくとしている。

2018年3月期については事前の予想どおり、前期比横ばいの年間50円配(中間配25円、期末配25円)の配当を実施した。1株当たり当期純利益が381.69円であったため、これに対する配当性向は13.1%となった。

2019年3月期については、前期比横ばいの50円(中間配25円、期末配25円)の配当予想を公表している。予想1株当たり当期純利益が234.84円のため、配当性向は21.3%となる。前述のように、2019年3月期は前期比約4割の大幅減益となるが、配当性向が20%台前半にとどまる利益水準であることから、配当の現状維持を決定したものと弊社ではみている。

同社は医薬品製造の新工場建設は一旦終えたが、調剤薬局事業におけるM&AやICT・人材への投資など、成長投資のための資金需要は旺盛な状況だ。過去の経営のトラックレコードに照らすと、目先の配当よりも成長投資に資金を投資するほうが株主リターンの最大化につながるという弊社の考えは従来から変更はない。


■情報セキュリティ
病歴という高度な個人情報を取扱うため、情報システムは自社開発・自社運用にこだわる
同社は調剤薬局事業において、個人の病歴という極めて重要な個人情報を多数取り扱っているため、情報セキュリティにはことさらに高い意識を持って臨んでいる。同社は漏洩リスクを少しでも軽減するために、社内に情報システム担当者を多数抱え、システムを自社開発している。また、蓄積した顧客データの管理・運用についても、外部に委託するのではなく自社管理・自社運用を行い、情報漏洩やサイバー攻撃に備えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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