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リソル Research Memo(4):多世代が楽しめる、多彩な施設と多様なサービス(2)


■事業概要

(3) 開発事業
リソルホールディングス<5261>にとって開発事業はグループ全体のシナジーを最大化する核たる事業である。開発事業では投資再生ビジネス、再生可能エネルギー、地方創生推進の事業を行っている。投資再生ビジネスは、ホテルやゴルフ場などのコンサルティング、デューデリジェンス業務、投資再生事業を行っている。ホテルやゴルフ場の運営で長年蓄積したノウハウにより、幅広い支援サービスを提供することができる。

a) 投資再生事業
投資再生事業は、立地や客層、社内ポートフォリオを考慮したうえで、ROIなど社内の厳しい基準に従って施設を取得、取得後は同社グループシナジーによってバリューアップ、マーケットの動向を的確に捉え運営を残したまま売却——という流れになっている。取得はバリューアップ後の売却と大きな意味でセットであり、資産は増やさずに施設を増やすという同社の考え方が反映されている。このように同社は、顧客企業のゴルフ場経営の合理化やホテル稼働率の改善、さらには保養所の活性化、別荘などの管理業務の効率化、土地の有効活用などをサポートしている。同社にとっても、運営する施設を確保しグループシナジー効果を最大化するという点で、開発事業がホテル運営、ゴルフ場運営の入り口にもなっている。

b) 再生可能エネルギー事業
同社は、東京オリンピック後のホテル需要減を見据え、ゴルフ場の土地や建物を利用した再生可能エネルギー事業の拡大を計画しており、将来的にグループ全体で41,550キロワットの売電体制を構築する考えである。2014年5月に熱海太陽光発電設備(50キロワット/大熱海国際ゴルフクラブの建物屋根)を皮切りにスタートした再生可能エネルギーによる売電事業は、2016年5月に瀬戸内太陽光発電設備(2,500キロワット/瀬戸内ゴルフリゾート隣接地)の稼動開始と中国電力<9504>への売電によって事業が本格化した。現在同社は、福島石川発電設備(39,000キロワット/福島石川カントリークラブ内)において、2019年秋以降の売電開始に向け準備を進めている。また、同社は「地球にやさしい」企業グループを目指すことも重要な取り組みの一つと捉えており、売電のみならず「リソル生命の森」において再生可能エネルギーによる地産地消事業に取り組んでいくことも検討している。

c) 地方創生推進事業(大学連携型CCRC)
CCRCとは「Continuing Care Retirement Community」の略で、米国で生まれた概念である。仕事をリタイアした人が第2の人生を健康的に楽しむ街(コミュニティ)のことで、元気なうちに地方に移住し、生涯学習や社会活動に参加するなどアクティブに過ごしながら、必要な時に医療と介護のケアを受け、住み続けることができる場所を指す。政府は、シニア世代が希望に応じて移り住むことを支援するため、「生涯活躍のまち(日本版CCRC)」構想を推進している。高齢者の地方移住を促すことで、首都圏の人口集中を緩和する一方、地方の活性化を図ることで地方創生を推進する方針である。

同社は、こうした政府の構想を背景にCCRCを事業に取り込み、緑豊かで自然に囲まれた多世代交流型リゾートコミュニティ「リソル生命の森」に大学連携型CCRCを作っているところである。「リソル生命の森」は、都心から50km圏内という絶好のロケーションにあるアーバンリゾートである。トップアスリートも利用する日本有数のスポーツ施設や多彩なレクリエーション施設が完備され、スポーツからカルチャーまで多種多様なプログラムを同社が提供している。また、スポーツ施設やクリニックを備え、専門スタッフ・健幸アドバイザーと協力して、従来より健康寿命を延ばすプロジェクトにも取り組んできた。このため既に約200名の定住者が住宅エリアに居住し、「リソル生命の森」に集まる多様な世代と交流しながら、人生を楽しみ安心に暮らせるコミュニティタウンを進化させていく過程が今まさに進んでいる。

また、同社の目指すCCRCは、単にアクティブに過ごすだけでなく、「学ぶ」ことの満足、「楽しむ」ことの豊かさ、「生きる」ことの充実が可能なコミュニティタウンにもなっていく。そのため、千葉大学と連携してカレッジリンク、公開講座、カルチャー教室などの特別プログラムによる生涯学習を拡充する方針である。また、千葉大学予防医学センターの近藤克則教授の研究成果に基づき、同社は「リソルウェルネスプログラム」を独自に開発、2017年4月同プラグラムを基に「ウェルネスエイジクラブ」を発足し、本格稼働させた。一般的なスポーツクラブと異なりカラダはもちろん、ココロの健康寿命を延ばすことも目標としており、入居者が“いきがい・絆・健康・くつろぎ”という4つのテーマ別に100を超える多種多様なプログラムを楽しみながら、心身両面の健康が保てるようにもなっている。また、地元の千葉県長柄町との連携では、住み替え支援や地域住民との交流、地域医療機関との連携など「地域との協働」を進め、医療・介護体制も整える予定である。このように、好立地の多世代型コミュニティと有力な連携先を背景に、日本では例のない大学連携型CCRCの事業化を進めている。そして「リソル生命の森」は、2025年に1,000人を超す定住者が暮らす、日本最大規模の本格的な大学連携型CCRCへと進化することが期待されている。

(4) 福利厚生事業
福利厚生事業では、「リソル生命の森」と連携してつくられるオリジナルプログラムを中心に構成された福利厚生サービス「ライフサポート倶楽部」を通して、企業の「健康経営®※」を応援し、働く人々の「こころ」と「からだ」の両面から健康と幸せづくりをサポートしている。健康増進プログラムやメンタルヘルスケアで健康維持促進を支援することが生産性向上や組織活性化の第一歩になるという考えだ。オリジナルプログラムの中で、生活習慣病予防および改善をサポートする「スマート・ライフ・ステイ」や仲間との“絆”構築に最適なチームビルディング研修・運動会が人気となっている。また、介護・育児やキャリアアップの支援では仕事とプライベートの調和をもたらすことで“いきがい”を充足し、リフレッシュとしての余暇支援で“くつろぎ”を提供している。健康経営®をサポートする事業は、これまで企業にとって「コスト」と考えられてきた福利厚生が「投資」へと生まれ変わらせるものとして大変評価が高い。現在、企業のニーズに応えるためのシステムやメニューの改革をおこなっており、将来、福利厚生が収益の柱のひとつとなることが期待されている。

※ 「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標

(5) リゾート関連事業
リゾート関連事業では、ゴルフ会員権やリゾート会員権の仲介、リゾートマンション・別荘・保養所など不動産の販売・仲介を中心に行っている。別荘や保養所などリゾート不動産は人気エリアにおける優良物件に厳選した仕入れを強化した。その中でも、保養所に特化したビジネスにシフトし、保養所の再生・活性化・転売などの取り扱い実績を伸ばしていく方針のようだ。また今後、宿泊スタイルの多様化に向け、長期滞在ニーズを捉えた別荘シェアリングの「リソルステイ」の開発やペットと泊まれるホテルの開発にも力を入れていくようである。

(6) リソル生命の森事業
以上のようなセグメンテーションでは捉えきれない事業が、多世代交流型リゾートコミュニティ「リソル生命の森」である。同社グループのランドマーク施設である「リソル生命の森」とは“いきがい・絆・健康・くつろぎ”をテーマに、都心から約75分の千葉県中央部に広がる大型複合リゾートである。東京ドーム約70個分に相当する総面積100万坪もの広大な敷地に各種スポーツ施設があり、厚生労働大臣認定健康増進施設の日本メディカルトレーニングセンターや同施設併設のクリニックもある。約500名を収容可能な宿泊施設は、全室スイートタイプのホテルと、ログハウスを用意している。そのほかにも、5つのレストランや研修施設、自然共生型アドベンチャースポーツ&パーク「ターザニア」など多彩な施設があり、幅広い年齢の多様なニーズに応えることができる理想のリゾートである。現在「リソル生命の森」の年間利用者は、ゴルフ場が約10万人、宿泊施設が約7万人、ターザニアが約5万人、厚生労働大臣認定健康増進施設日本メディカルトレーニングセンターが2,000人超となっている。このほか、分譲住宅に約200名の定住者がいるが、前述したように、2025年には1,000名の居住を目指している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)



<NB>

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