フジコー Research Memo(2):新たに開始した「森林発電事業」(バイオマス発電)が大きく拡大
フジコー<2405>は、建設工事現場で発生する木くず等の産業廃棄物など、各種廃棄物の中間処理(破砕、焼却等) を主力とし、白蟻防除及び老朽家屋等の解体工事も手掛けている。また、建設系廃棄物を原料としたバイオマス発電※にも取り組んでおり、2016年6 月からは岩手県二戸郡一戸町にて森林資源を活用した森林発電事業も展開している。
※バイオマス発電とは、動植物由来の有機性資源(石油などの化石資源を除く)を原料とした発電のことであり、CO2削減や循環型経済社会の構築に対する社会的要請が強くなるなかで、再生可能な自然エネルギーとして脚光を浴びている。
事業セグメントは、「建設系リサイクル事業」(建設系廃棄物を原料としたバイオマス発電を含む)、「食品系リサイクル事業」、「白蟻解体工事」のほか、新規事業である「森林発電事業」の4つに区分されている。これまでは主力の「建設系リサイクル事業」への依存度が高かったが、2017年6月期実績では、順調に立ち上がった「森林発電事業」が大きく拡大したことから、2本柱によるバランスのとれた事業構成になってきた。
事業別の概要は以下のとおりである。
1. 建設系リサイクル事業
首都圏近郊の廃棄物処理会社、ハウスメーカー、工場、倉庫、ショッピングセンター等からの委託を受け、木くず、紙くず、廃プラスチック類等の産業廃棄物及び一般廃棄物を受け入れ、同社が保有する施設において、焼却、破砕、リサイクル処理を行っている。また、発電施設では、受け入れた木くず等のバイオマス(生物資源)を原料とした発電により、CO2削減を推進し、自然エネルギーとして付加価値の高い電力販売を行っている。毎時1,800キロワット(1日43,200キロワット)の発電能力は、バイオマスによるものとしては非常に高効率と言える。併せて、住宅、アパート等の新築、改築時に発生する廃棄物を発生場所から処理施設まで運搬する収集運搬業務も行っている。
2. 食品系リサイクル事業
スーパーマーケットやレストラン、食品加工工場等から委託を受け、食品廃棄物のうち、リサイクルが可能な食品循環資源である産業廃棄物及び一般廃棄物を受け入れ、同社が保有する施設において、発酵分解による堆肥化、発酵による飼料化へのリサイクルを行っている。現在は、スペースや時間的な効率の高い飼料化(特に液状飼料)への集約を進めている。また、再生堆肥の品質向上を目的として、農作物の栽培試験及び農作物の生産販売を非連結子会社の(株)遊楽ファームで行っている。一方、液状飼料を利用した豚の肥育を実験的に行ってきた鉾田ファーム(自社保有の養豚施設)については、当初の目的(液状飼料の販売拡大)をおおむね達成できたことから2017年2月に事業譲渡に至った。
3. 白蟻解体工事
ハウスメーカー、工務店などの建築関連事業者からの依頼により、住宅及びアパート等の解体工事、白蟻予防工事の見積調査及び施工を主として行っている。併せて、リフォーム会社からの依頼により、既存住宅の白蟻防除工事、家屋害虫の駆除工事等も行っている。
4. 森林発電事業
森林資源である未利用木材、製材所から発生する製材くず等を購入し、同社が保有する燃料化工場((株)一戸森林資源)で破砕、粒度及び水分調整を行うとともに、製品化された燃料チップを原料として、同社が保有する発電施設((株)一戸フォレストパワー)において自然エネルギー電力の発電(バイオマス発電)を行う事業である。2016年6月から営業運転を開始したバイオマス発電施設(岩手県二戸郡一戸町)は、再生可能エネルギー発電設備の認定(固定価格買取制度の適用)を受けており、同社にとっては少なくても20 年間にわたる安定収益源と成り得る。また、発生した電力は自社のPPS※1(御所野縄文パワー(株)、御所野縄文電力(株))を通じて、地元の小中学校、役場等の公共施設、事業会社へ電力供給を行っているが、2017年6月からは低圧電力(一般家庭等)の小売販売も開始した。また、電力小売事業については、バイオマス発電施設の稼働前(2015年12月)から、地元の大志田ダム発電所(小水力電力施設)※2から電力を購入することにより、地元の公共施設等への電力供給も行っている。
※1 PPSとは、特定規模電気事業者(東京電力<9501>等の一般電気事業以外の電力供給事業者)のこと。
※2 農林水産省が設置したもので農業用水の供給を目的としている。
また、連結子会社には、森林発電事業の開始に当たって設立された一戸フォレストパワー、一戸森林資源、御所野縄文パワー、御所野縄文電力の4社が存在する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<MW>
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