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ケネディクス Research Memo(7):増益基調の継続により中期経営計画の達成を見込む


■業績見通し

中期経営計画の最終年度となる2017年12月期の業績予想についてケネディクス<4321>は、上期業績や足元の状況などを踏まえ期初予想を据え置いており、営業収益が前期比5.5%増の24,000百万円、営業利益が同14.4%増の10,900百万円、経常利益が同0.6%増の10,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.4%増の10,500百万円と増益基調が継続する見通しである。また、2017年12月末の受託資産残高を1兆9,000億円(前期末比11.6%増)まで大きく拡大するとともに、「ベース利益」についても4,000百万円(前期比30.2%増)へと大きく伸ばす計画であり、中期経営計画の達成を見込んでいる。

主力のアセットマネジメント事業の拡大が全体的な収益の伸びや「ベース利益」の大幅な増益に寄与する見通しである。特に、受託資産残高の伸びに伴ってアセットマネジメントフィーが順調に積み上がるとともに、物件取得によるアクイジションフィーも増加する想定となっている。また、不動産関連事業は横ばいで推移するものの、不動産投資事業についても非連結SPC(匿名組合)からの分配損益により増益を見込んでいる。以上から、「ケネディクスモデル」の標準的なP/Lの形がさらに顕著になるとの見方ができる。また、上期業績では前年同期と比べて出遅れ感のあった「不動産投資損益」についても、通期では前期と横ばいの8,700百万円で着地する見通しである。

弊社では、上期業績が順調に進捗していることに加えて、受託資産の拡大に向けた大型案件の獲得や物件供給パイプラインも順調に積み上げていることなどから、同社の業績予想、並びに中期経営計画の達成は十分に可能であると判断している。むしろ、中長期的な視点から、ヘルスケア分野やインフラ分野等、市場拡大の期待できる対象資産への取り組みや不動産関連サービスの拡大、海外展開など、2018年12月期以降の成長に向けた動きに注目している。特に、他社との協業による開発案件の取り組みについては、一時的な資金効率の低下を招くものの、魅力的な投資機会を自ら創出するうえでは合理的な戦略と考えられる。

また、不動産クラウドファンディング事業についても、「不動産の限りなき可能性を切り拓いてきた」同社ならではの取り組みと評価できる。新しい市場の創出であるがゆえに、将来的なポテンシャルが大きい上、業界標準プラットフォームを確立することによる先行者利益を享受できる可能性も高い。市場の立ち上がりや業績貢献への道筋など、現時点で未知数な部分はあるが、中長期的な目線で見守ることが必要だろう。

足元では物件取得が難しい状況(取得競争の激化、価格の上昇等)が続いており、同社の成長をけん引する受託資産残高の伸びやパフォーマンスへの影響を懸念する見方もあるが、将来を見据えた新規分野への取り組みが着々と進展していることから、同社の中期的な成長性に変調を来すものではないとみている。また、引き続き、潤沢なキャッシュポジションの使い道(不動産投資と株主還元のバランスなど)についてもフォローしていきたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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