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トーセイ・リー Research Memo(1):東京経済圏を中心とした総合型REIT 競合の少ない独自のポジショニング


■要約

1. 概要
トーセイ・リート投資法人<3451>は、東京経済圏を中心とした中小規模不動産(オフィスビル、商業施設、住宅、ホテル)を投資対象とする総合型REITである。対象不動産の裾野を広げ、取得競合が少なく、かつポテンシャルの高い物件への投資活動を通じて相対的に高い利回りを実現している。2014年9月に設立され、2014年11月に東京証券取引所の不動産投資信託証券(J-REIT)市場に上場した。決算期は年2回(4月、10月)である。スポンサーであるトーセイ<8923>は、不動産流動化(資産価値の低下した不動産の再生・販売)などに豊富な実績を持つ総合不動産会社であり、「目利き力」、「リーシング力」、「再生力」などに強みがある。

2. 特徴
同REITの最大の特徴は、「高い利回りが期待できる東京経済圏の不動産への投資」、「築年数にとらわれない投資」、「50億円以下の物件に分散投資」を基本方針とする独自のポジショニングにより、高い利回りを実現するところにある。また、それを支えているのが「トーセイグループによるスポンサーサポート」であり、流動化事業を通じた物件供給はもちろん、バリューアップやリスクコントロールの面でも大きな役割を担っている。2017年4月期末の運用資産は23物件、取得価格合計は361億円であり、J-REITの中ではまだ小さいが、当面の目標である資産規模500億円の早期実現を目指す。

3. 2017年4月期の業績
2017年4月期(2016年11月1日−2017年4月30日)の業績は、営業収益が1,616百万円(前期比20.8%増)、営業利益が791百万円(同23.1%増)、経常利益が658百万円(同21.2%増)、当期純利益が657百万円(同21.2%増)であった。2016年11月の公募増資により5物件(53億円)を取得したことで大幅な増収増益を実現し、1口当たり分配金も3,592円(同6.6%増)と増加した。また、業績予想に対しても上回る結果となっており、順調な運用成果を残したと評価できる。

4. 業績見通し
2017年10月期(2017年5月1日−2017年10月31日)の業績予想について同REITは、営業収益を1,590百万円、営業利益を734百万円、当期純利益を597百万円、1口当たり分配金を3,259円と見込んでいる。減収減益予想となっているのは、現時点で新規物件の取得を予想に入れていないことや、前期取得物件の固都税が費用化されることによる支出の増加、稼働率の前提を前期実績と比べて保守的な水準としていることが理由である。弊社では、保守的な前提条件などから判断して、同REITによる業績予想の達成は可能とみている。むしろ、過去の実績と同様、稼働率が高い水準を維持することにより業績が上振れる可能性もある。また、パイプライン(優先交渉権5物件)を確保していることから、新規物件の取得のタイミングによっては前提条件が大きく変化する可能性があり、今後の動向に注意する必要がある。

5. 成長戦略
同REITの成長戦略は、スポンサーサポートを中心とした高利回り物件の取得(外部成長)と、きめ細かいリーシング力などを生かした稼働率の向上(内部成長)を軸としたものである。弊社でも、同社が特化する対象市場には投資機会が豊富にある上、取得競合が比較的少ない(参入障壁が高い)ことから、潜在的な成長力は高いと評価している。一方、リスク要因については、他REITと同様、稼働率の低下や賃料単価の下落等が挙げられるが、前者については、物件やテナントの分散が図られている上、規模拡大に伴ってさらに安定性の向上が期待できる。また、後者についても、同REITの対象物件(ややグレードが劣るクラス)は、賃料単価の大幅な値上げが難しい半面、値下げのリスクも限定的である(最上級のグレードに比べて賃料単価の変動率が小さい)とみている。

6. ベンチマーキング
他の総合型REITと比較すると、分配金利回り※1やNAV倍率※2などから判断して同REITの投資口価格には明らかな割安感がある。したがって、今後、資産規模の拡大や流動性の向上はもちろん、同REITの知名度や特徴の理解が進むにつれて、投資口価格に調整が入る可能性は十分に高いと考えられる。

※1 分配金利回り=分配金/投資口価格。
※2 NAV倍率=投資口価格/1口当たりの純資産価値。


■Key Points
・独自のポジショニングにより高利回りを実現する総合型REIT
・不動産流動化に豊富な実績を持つトーセイグループによるスポンサーサポートに強み
・2017年4月期は資産規模拡大により増収増益を実現
・当面の目標として、資産規模500億円の早期実現を目指す
・分配金利回りやNAV倍率から判断して、現在の投資口価格には割安感がある

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)


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