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デジアーツ Research Memo(8):2018年3月期会社計画はやや保守的、上振れの可能性も


■今後の見通し

● 2018年3月期の通期業績見通し
デジタルアーツ<2326>の2018年3月期については、売上高が前期比10.7%増の5,600百万円、営業利益は同9.6%増の2,000百万円、経常利益は同10.4%増の2,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同10.2%増の1,240百万円と増収増益を見込む会社計画。海外事業の先行投資負担約3.2億円が発生するものの、国内市場においては、新市場に新製品を投入することなどにより、継続的・安定的な成長を見込むとしている。

同社では、売上高予算5,600百万円のうち、約48.5億円は既存製品の自然成長で達成できるとしており、残り約7.5億円を、新規市場・新規製品などの新規成長で達成するとしている。新規成長については、(1)企業向け・自治体向けにおける拡販、(2)重点施策による拡販、を掲げている。

(1) 企業向け・自治体向け拡販
企業向け・自治体向けに既存製品を拡販できるポテンシャルを見込み、推進する。

a) 企業向け市場における過去の平均的な新規成長率(直近4年平均22.41%)による新規獲得額を試算すると約4.3億円となり、企業向けで約4億円の新規獲得が可能としている。
b) さらに、既存のi-FILTER導入企業でm-FILTER未導入の企業に対しクロスセルを行うことで、ポテンシャルとして約21億円の開拓余地があるとみられる。
c) FinalCode未導入の自治体(都道府県・市)で計約41億円のポテンシャルがあると見ている。

(2) 重点施策
a) 新製品投入、b)法改正対応、c)公立小中高Wi-Fi整備計画対応、の3つを中心とする重点施策を推進するとしている。

a) 新製品投入
近年、情報セキュリティにおいて急増するインシデントで問題となっている外部からの標的型攻撃対策(Outside Security)として、同社のi-FILTER(Ver.10)とm-FILTER(Ver.5)の連携で提供するサービスを9月より提供する予定である。Webアクセス管理、メール無害化、ファイル暗号化など、同社の提供するサービスの連携により外部からの標的型攻撃から企業の重要情報を守るものである。ターゲットとする顧客は主に従業員数500名から1,000名程度の中堅企業や官公庁・自治体などとしている。販売価格等は未定のため、当該製品の当期における売上予測等は公表していないが、今後の同社の目玉製品としての位置付けになることは間違いないだろう。

b) 法改正対応
「電子帳簿保存法」※が求める電子データの保存や、その改ざん防止義務に対して、Final Codeなら電子保存要件・電子データの改ざん防止義務に対応可能としている。

※紙での保存が義務付けられている会計帳簿や取引書類を、電子データで保存することを容認した法律。


「改正個人情報保護法」※に対して、Final Codeで暗号化された電子ファイルは高度な暗号化された秘匿ファイルとなり、万一漏えいしたとしても、報告不要となり、ファイルの重要情報について実質的に漏えい防止が可能。

※個人データの漏洩等が発生した場合、個人情報保護委員会等への報告義務があり、企業に大きな負担となる。ただし、「個人データに高度な暗号化等の秘匿化が施されて」いれば、実質的に個人情報が外部に漏洩していないと判断され、漏洩事案の報告手続きが不要になる場合がある。


c) 公立小中高Wi-Fi整備計画対応
総務省が2020年までに全国の学校・公民館など約3万ヶ所に、防災対策も兼ねてWi-Fi環境の整備を計画。2017年度は31.9億円の予算を計上しており、この獲得を狙う。また、Wi-Fiルーターだけでなく、タブレット端末や関連ソフト(i-Filter)の申請も可能。

これらの新規成長により、売上高は企業向け、公共向け、家庭向けに加えて、海外市場の伸びを予想し、前期比で6億円の増加を見込む。

一方、売上原価は減価償却費が前期比微増にとどまるものの、開発コストの増加などで前期比14.2%増の1,150百万円を見込んでおり、売上総利益率は0.6ポイント悪化となる79.5%を予想している。一方、販管費は国内外での人員強化、広告宣伝費の増などにより、同10.0%増の2,450百万円を計画しているが、売上高並みの伸びを見込まないため、販管費比率は0.3ポイント改善する見通し。この結果、営業利益率は0.4ポイント低下するものの35.7%と30%を大きく超える予想となっている。

弊社では、1)同社の期初会社計画は保守的な数値となる傾向がある、2)企業向け市場で、前期やや伸び悩んだパートナーの拡販活動が今期復調する見込みで、企業向けにオーガニックに約4億円の新規獲得が可能である、3)公共向け市場で、自治体クラウドセキュリティ対応のフォローの風が依然と継続しており、まだ「Final Code」へのニーズのポテンシャルが十分ある、4)9月リリース予定の新製品を始め、製品のラインアップが充実し、個別サービスごとの未導入企業に対するクロスセルで拡販に勢いがつく、5)海外も米国に加え、アジアでの立ち上がりが期待できる、などを考慮すると、会社計画は保守的で上振れ余地があると見る。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田 秀樹)



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