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企業調査レポート(ESG統合版) アサヒ<2502>---ESG課題を織り込み企業価値向上経営への転換を推進


企業調査レポート(ESG統合版)は、企業の価値を評価するに重要なESG情報などを加味し、フィスコのアナリストが同社の公開資料及び独自取材に基づき作成した企業調査レポートです。

■要約

アサヒグループホールディングス<2502>は、言わずと知れたアサヒビール(株)を傘下におさめるホールディングス会社で、主力の酒類事業ではビールの「アサヒスーパードライ」が有名。酒類事業にとどまらず、周辺事業を中心に事業を拡大している。中期経営方針にESGへの取り組み強化を新たに加え、より企業価値を重視した経営への転換を推進している。

1. 経済価値
同社の2015年12月期の連結売上高は1,857,418百万円、同営業利益は135,119百万円。中核の酒類事業の売上高は全体の52.4%、セグメント利益では87.9%を占める。過去8か年のセグメント利益の推移を見ると、酒類事業も伸びてはいるが、飲料、食品、国際、その他事業が既存の酒類事業以上に拡大しており、良い事業構造変化が起きていると言えよう。月次販売状況や財務情報など詳細な情報開示がされており、すべてのステークホルダーに対する説明責任は成されていると考える。

2. 環境価値
同社商品の多くは自然由来の原材料を使用しているため環境に対する意識が高く、基本理念と行動指針から成る環境基本方針を制定、実行計画である環境ビジョン2020の下、低炭素社会構築への貢献、循環型社会構築への貢献、生物多様性の保全、自然の恵みの啓発の4つの重点課題に取り組んでいる。具体的には、容器包装における容器の肉薄化・軽量化などで環境に配慮した製品・サービスの提供の他、燃料転換、コジェネレーション設備の導入、工場水源地の森保全活動などを行っている。国内グループ工場においては、廃棄物の再資源化100%を維持継続。

3. 社会価値
持続可能な水資源、人材育成・ダイバーシティ、サプライヤーとの関わり・CSR調達の推進、品質・保証、消費者への適切な対応・サポート、適正飲酒の啓発などに注力している。会社理念の中で「世界の人々の健康で豊かな社会の実現」を掲げている通り、ダイバーシティの推進によりイノベーションを生み、CSR調達を通じてサプライヤーを巻き込んで社会へ貢献し、品質を保証された商品の提供で人々の健康で豊かな社会の実現に努めている。また、社会との共生を念頭に持続的な水資源を、環境ではなく、人・社会に領域に分類している。

4. ガバナンス
同社は監査役会設置会社で、取締役会では社外取締役が全取締役10名中3名を占める。取締役会の実効性の分析・評価も自己評価ではあるものの、毎年実施されており、2015年は策定途中であったサクセッション・プランを除き、すべての評価項目を問題なくできていると評価。取締役会はこの結果を元に「おおむね有効であった」と結論付けた。社外取締役の田中氏は、取締役間で実効的な議論ができていることが同社の競争力の源泉でAB InBevとの欧州ビール事業の買収に生かされたと述べており、同社のガバナンスが適正に機能していると弊社は評価する。

(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)




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