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リプロセル Research Memo(8):自己資本比率は90%以上を維持し、財務面でのリスクなし


■財務状況と株主還元策について

(1)財務状況

リプロセル<4978>の2016年9月末の財務状況を見ると、総資産は前期末比866百万円減少の7,101百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金・有価証券が615百万円減少し、固定資産ではのれんが292百万円減少した。

一方、負債は前期末比125百万円減少の574百万円となった。前受金が123百万円減少したことが主因となっている。また、純資産は前期末比740百万円減少の6,527百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により利益剰余金が587百万円減少したほか、円高の影響で為替換算調整勘定が180百万円減少した。

なお、同社は2016年12月に第三者割当(メリルリンチ日本証券(株))による行使価額修正条項付き第12回新株予約権を発行した。当初の行使価額は449円だが、その後は効力発生日の前日終値の90%に相当する金額に修正され、下限行使価額は270円に設定している。新株予約権が100%行使されれば、発行株式数は5,802千株増加(希薄化率10%)することになる。また、当初行使価額で行使されれば約26億円を調達できることになる。

今回の資金調達の目的は、「ステムカイマル」の導入費用(マイルストーン費用、研究開発費用、上市後の売上高に応じたロイヤリティ費用等)で750百万円、残り1,852百万円を新たな細胞医薬品の治験費用に充当する予定となっている。新たな細胞医薬品としては、「ステムカイマル」を他の疾患で開発を進めていくケースのほか、他の企業から体性幹細胞を用いた細胞医薬品のライセンスを取得し、日本での開発を進めていくケースの両方を検討している。

経営指標を見ると、安全性を示す自己資本比率は90%以上を維持しており、手元キャッシュも40億円を超える水準を維持していること、新株予約権の行使による資金調達が見込まれること等から、当面は財務面でのリスクはないものと判断される。

(2)株主還元策

同社は設立以来、配当を実施しておらず、今後も再生医療分野の事業化に向けた研究開発費用等の資金需要が想定されることから、当面は内部留保の充実を最優先としている。今後、経営成績や財務状況が安定し、継続的な配当を行える内部留保が蓄積できた段階で、配当の実施を検討する方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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