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窪田製薬HD Research Memo(5):エミクススタトは糖尿病網膜症、スターガルト病などで開発を進める


■視覚サイクルモジュレーション技術について

自社開発品であるエミクススタトは窪田製薬ホールディングス<4596>が開発した視覚サイクルモジュレーション技術がベースとなっている。視覚サイクルとは、眼球の後部にある網膜内で外部から入ってくる光信号を電気信号に変換する一連の流れを指し、ここで変換された電気信号が脳で映像として認知されている。この視覚サイクルの中で、過剰な光を受け続けると網膜内に有害副産物が少しずつ蓄積され、それが視覚障害を引き起こす原因となることが様々な研究で明らかになっている。

同社はこの視覚サイクルの働きから、有害副産物の蓄積を軽減するためには、網膜細胞のエネルギー消費を抑制することが重要との仮説を立て、検証を進めてきた。そこで網膜にしか存在しないタンパク質に選択的に作用する化合物を使って光に対する感度が高い杆体細胞を休ませることで、視覚サイクルの動きを調節(モジュレーション)し、網膜の細胞層を保護する技術を開発、これを視覚サイクルモジュレーション技術と命名した。

この視覚サイクルモジュレーション技術をベースに開発した化合物が、エミクススタトとなる。エミクススタトの特徴は、網膜のみに作用することである。これまでに、一時的に夜盲症や色視症が出る例はあったが、重篤な全身的有害事象は確認されていない。経口剤となるため患者の身体的負担も少ない。また、エミクススタトは新規化合物であり、非臨床試験において有害副産物の蓄積、光障害により生じる網膜変性、新生血管の増殖を軽減することが証明されている。地図状萎縮を伴う後期のドライ型加齢黄斑変性患者を対象とした臨床第2b/3相試験では、プラセボ投与群との比較において地図状萎縮の病変進行に統計学的有意差が得られなかったものの、異性化酵素であるRPE65の働きを阻害していることは確認された。このため、血管新生の抑制効果が期待される糖尿病網膜症、あるいはスターガルト病などでの開発を進めていくほか、加齢黄斑変性についても中期の患者に対して病変の進行を抑制するための治療薬としての開発の可能性を検証していく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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