後場に注目すべき3つのポイント~米株反発は織り込み済みで買い戻し進まず
・日経平均は小幅に8日続落、米株反発は織り込み済みで買い戻し進まず
・ドル・円はもみ合い、中国指標の下振れで根強い円買い
・値下がり寄与トップは、ファーストリテ<9983>、同2位はセコム<9735>
■日経平均は小幅に8日続落、米株反発は織り込み済みで買い戻し進まず
日経平均は小幅に8日続落。15.99円安の21051.24円(出来高概算7億8000万株)で前場の取引を終えている。
14日の米株式市場ではNYダウが207ドル高と反発。トランプ大統領が6月下旬に開催予定の20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせ中国の習近平国家主席と会談する意向を示したほか、貿易協議の合意に自信を示したことで市場の懸念が後退した。本日の東京市場でも米株高を好感した買いが先行し、日経平均は45円高からスタートしたが、寄り付き直後にはマイナスに転じた。米中摩擦解決はなお見通せないとの見方から上値を追う動きは限定的だった。中国・上海総合指数の反発スタートを受けてプラス圏に値を戻す場面もあったが、買いは続かなかった。東証1部の値下がり銘柄数は1065、対して値上がり銘柄数は992
となっている。
個別では、前日に決算発表した武田薬<4502>、日産自<7201>が揃って7%安と急落。武田薬は同業シャイアー買収の関連費用などから今期赤字になる見通しで、日産自も大幅減益を見込んでいる。その他売買代金上位ではファーストリテ<9983>、トヨタ自<7203>、NTT<9432>、ソフトバンク<9434>などがさえない。また、LINK&M<2170>がストップ安水準まで売られたほか、トリドール<3397>、TBSHD<9401>、H2Oリテイル<8242>なども東証1部下落率上位に顔を出した。一方、ソフトバンクG<9984>、任天堂<7974>、ZOZO<3092>などはしっかり。ソニー<6758>は2%超高と堅調ぶりが目立った。決算とともに自社株買い実施を発表した三菱地所<8802>や丸井G<8252>は商いを伴って急伸。また、じげん<3679>、イマジカG<6879>などはストップ高水準まで買われた。セクターでは、医薬品、鉄鋼、海運業などが下落率上位。反面、不動産業、繊維製品、精密機器などが上昇率上位だった。
14日の米NYダウは207ドル高となったが、前の日に617ドル下落した後の反発としては力強さに欠くとの見方が多い。また、前日の日経平均は安値(20751.45円)から終値(21067.23円)まで315円ほどの戻りを見せており、米国株の反発を見越した買い戻しがかなり入っていたことが窺える。本日の東京市場では一段の買い戻しの広がりは見られず、上値では戻り待ちの売りが出て伸び悩む展開となっている。トランプ氏が米中貿易協議に関し時おり楽観的な見方を示すものの、追加関税の応酬で早期解決は遠のいたとの見方も増えており、主力株に積極的な買いが入る状況とは言えない。
アジア株高が下支え要因となるだろうが、後場の日経平均も上値の重い展開になるとみておきたい。まずは21000円台を維持できれば、徐々に底堅さが意識されてくる可能性もある。また前日も指摘したとおり、業績面で安心感のある銘柄、とりわけ相場全体の地合いの影響を受けにくい中小型株に物色が向かいやすい状況だろう。慎重に銘柄選別したうえで取り組みたい。
■ドル・円はもみ合い、中国指標の下振れで根強い円買い
15日午前の東京市場でドル・円はもみ合い。中国の経済指標が予想を下振れ、根強いリスク回避的な円買いがドルをする場面もあった。
ドル・円は、日経平均株価が2万1000円の大台を回復すると円買いは後退し、ドルは109円60銭台で底堅い値動きとなった。ただ、中国の小売売上高など経済指標は低調で、リスク回避の円買いは根強く、ドルは失速。
ランチタイムの日経平均先物はプラス圏で取引され、目先の日本株反転への期待感から円買いはやや弱まった。また、上海総合指数や米ダウ先物の堅調地合いで今晩の株高が見込まれ、現時点でドルの大幅安は想定しにくい。
ここまでの取引レンジは、ドル・円は109円52銭から109円69銭、ユーロ・円は122円69銭から122円98銭、ユーロ・ドルは1.1201ドルから1.1209ドルで推移した。
■後場のチェック銘柄
・図書印刷<7913>やニチリョク<7578>など、11銘柄がストップ高
※一時ストップ高・安(気配値)を含みます
・値下がり寄与トップは、ファーストリテ<9983>、同2位はセコム<9735>
■経済指標・要人発言
【要人発言】
・デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「その他の先進国に比べ労働参加率が低い点が疑問の1つ」
「金融危機や少子高齢化の状況下で米国経済の回復や拡大が停滞しているとはみえない」
・黒田日銀総裁
「国債引き受けで財政ファイナンスを行うとハイパーインフレになる」
【経済指標】
・日・4月マネーストックM3:前年比+2.2%(予想:+2.1%、3月:+2.1%)
・中・4月鉱工業生産:前年比+5.4%(予想:+6.5%、3月:+8.5%)
・中・4月小売売上高:前年比+7.2%(予想:+8.6%、3月:+8.7%)
<国内>
特になし
<海外>
・15:00 独・1-3月期GDP速報値(前年比予想:+0.7%、10-12月期:+0.9%)
<HH>
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