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白金価格の上昇につながる「供給不安」の元とは~もっと知りたい商品先物取引


みなさんこんにちは!フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。前回のコラムでは白金(プラチナ)価格が上昇しうる要因についてご紹介しました。例えば世界経済の先行き見通しが明るくなることなどです。なぜかというと白金は自動車の排ガスを浄化する際の触媒として主に使われているので、景気が良くなると売れ行きも良くなる自動車と一緒に需要が伸び、価格が上昇することが見込まれるからです。今回は、これ以外の白金の上昇要因について紹介します。

■白金の供給は主に2国に限られることで価格が不安定になりやすい
白金は南アフリカ(南アフリカ共和国)とロシアの2国だけで全体の9割近くが供給されています。そのため供給元でトラブルが起こったりすると価格が大きく動きやすい傾向にあります。例えば今、南アフリカの国営電力会社エスコムが経営危機に陥っていることが注目されています。エスコムは国内電力全体の9割以上を供給しているのですが、経営危機のため電力供給が不安定になっています。最近では2月に5日連続で大停電が発生しました。白金の採掘にあたっては、鉱山会社は大量の電力を要します。エスコムの電力供給が不安定になれば白金の供給も不安定になり、価格が上がりやすいとみることができます。

■賃金交渉による供給不安というケースも
また、2019年には南アフリカで3年ぶりの白金鉱山の賃金交渉があります。賃金交渉が起こる年は白金価格が上がりやすいというデータもあります。交渉が難航すると最悪の場合、鉱山が閉鎖されることもあるので、こういった供給不安が価格上昇につながるケースもあります。

■下げられない失業率、上げられない人件費
南アフリカの失業率は27%と非常に高い状況です。そんな失業率がいまよりも上がらないように、南アフリカの保守政党ANC(アフリカ民族会議)は雇用の動向に対して敏感になっています。なぜならANCは前回の地方選で初めて負けてしまったため、次回5月の選挙に向けて失業率のこれ以上の悪化を絶対に避けたい状況だからです。一方で、白金鉱山での賃金交渉により鉱山会社が人件費を上げざるを得なくなった場合、コスト増加分を人員の削減で乗り切る可能性もあり、そうなると失業率が上がってしまいます。人員削減に対するストも想定されるでしょう。どちらに転んでも混乱が生じやすく、供給不安から白金価格も上昇しやすいという予想も成り立ちます。

今回ご紹介した、南アフリカの9割の電力を担うエスコムが5日連続も停電したというお話を聞くと、日本で日常生活を送っているとなかなか思いつかないような要因が影響しているので、学んでいて興味深いですね。

フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ




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