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すぐ始めたい人のための「商品先物取引入門」~TOCOMでTSR先物取引が始まります~その3(高井ひろえ)


こんにちは! フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。東京商品取引所(TOCOM)で10月9日に取引が始まったばかりの天然ゴム先物“TSR”についてお伝えします。ゴムシリーズ最終回となる今回は、TSRオープニングセレモニーの見学記です。

○ 取引開始を告げる鐘

10月9日午前8時45分、TOCOMビルの1階にあるTOCOMスクエアに、天然ゴム先物取引TSRの取引開始を告げる鐘の音が響きました。それと同時にモニター画面に映し出されたのは、たったいま、まさに誕生したばかりのTSR先物の“価格たち”です。

未来の価格を“いま”決める先物取引では、月単位で複数の価格が生まれ、それが瞬時に更新されていきます。どれほど未来の価格を決めるのかは商品によって異なりますが、TSRの場合は6ヵ月先までの価格を1ヵ月ごとに決めていくシステムです。その各月を限月(げんげつ)と呼びますが、それは取引の最後の日を含む月のことで、取引をしている人はそのあらかじめ決められた日までに取引を終了しなければなりません。

〇 世界の中でのTSR先物取引

取引の終了とは、一般的な投資家なら、勝った人は売る、売っていた人は買い戻すことです。しかし、TSRを取引するのは、私たちのような投資家ばかりではありません。当業者(とうぎょうしゃ)と呼ばれる、ゴムのビジネスに携わる産業界の人々もTSRを取引します。この人々は、ゴム先物を買っておいて現物を売り方から引き取る、あるいは逆にゴム先物を売っておいて買い方に現物を渡すことで取引を終えるケースがあります。

実は、TSRはこの受け渡しに特徴があります。それは受け渡しが主産地のタイ王国の港で行われることです。もう少し厳密にいうと“本船渡し条件”という方式で、売り手はタイ王国にあるあらかじめ決められた港で、停泊している船にTSRの現物を積み込むことで受け渡しを終えます。貿易英語でいうと“Free on Board”すなわちFOB契約なのです。

TOCOMのもうひとつの天然ゴム先物取引RSSは、TOCOMが国内で定める倉庫で受け渡しをする決まりになっています。外国で受け渡しできるようにするために、TOCOMは現地の人とともにたくさん汗を流したということです。

これに関連して、オープニングセレモニーにお祝いの言葉を寄せたタイ王国のクリッサダー・ブンラート農業・協同組合大臣は次のように述べています。

「受け渡し場所がタイとなった今回のタイ産TSR取引が、高品質なTSRの使用を望む事業者の新たな選択肢となりました。日本国内はもちろん、消費の拡大を続ける中国など、各国のバイヤーを引き付けることを期待しています」

タイ王国は年間330万トンの輸出量を誇る天然ゴム輸出大国です。クリッサダー・ブンラート氏は、タイ王国のゴム生産者、関連事業者、サプライチェーンに携わる人々の代弁者ともいえるでしょう。そんな大臣の言葉には重みを感じずにはいられません。

〇 天然ゴム取引戦略

さて、一番取引量の多いTSR先限(2019年4月限)の記念すべき初値は1キログラムあたり163円50銭でした。もう一方のRSS先限(2019年3月限)の始値は169円40銭で、TSRが若干低くなっています。TSRがRSSよりも安いのは製法の違いによるものです。用途はほぼ同じで、何かを作るのに必ずRSSでなければならないとか、どうしてもTSRでなくてはいけないということはないと、ゴムの専門家が書いていたのを読みました。つまり、TSRとRSS価格は同じ変動要因でタンデム(同方向)に動き、しかし一定の価格差があるというのです。

そこで取引開始の9日から3日間にわたり、TSRとRSS先限の終値と価格差を調べてみました。

9日 (RSS=172.0円、TSR=160.0円、価格差12.0円)
10日(RSS=172.7円、TSR=158.8円、価格差13.9円)
11日(RSS=169.2円、TSR=153.0円、価格差16.2円)

残念ですが、3日だけでは“適切な価格差”を見つけることはできません。しかし、これをしばらく続ければ一定の傾向が見えてくるかもしれません。そして、価格差が適正な値から離れたら、いずれ適正な値に戻ることを期待して“割高な方を売って割安な方を買う”スプレッド取引(サヤ取り)も可能になるはずです。

2銘柄になったTOCOMの天然ゴム先物取引、これからも見守っていきたいですね。

フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ




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