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すぐ始めたい人のための「商品先物取引入門」TSR上場目前講座~TOCOMでTSR先物取引が始まります~(2)高井ひろえ


こんにちは!フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。前回に引き続き、東京商品取引所(TOCOM)で10月9日(火)から取引が始まる天然ゴム先物“TSR”についてお伝えします。今回は、なぜTSRなのか、そしてTSR取引に必要な投資資金などについて考えてみます。

○ なぜTSRが必要なの?

10月9日にTOCOMゴム市場でTSR(ブロック状ゴム)の取引が始まると、従来のRSS(シート状ゴム)と合わせて2種類の天然ゴムが並行して取引されることになります。それでは、なぜTOCOMはTSR取引を始めることにしたのでしょうか? それは、時代の変遷に伴ってRSSとTSRの生産・需要が変化したからです。

TOCOMがRSSの取引を始めたのは1952年。66年前のことでした。日本は天然ゴムの供給を100%輸入に頼っています。国内のゴム工業界、とりわけ大手タイヤメーカーは昔からシートゴムを使用する傾向が強く、このため米国など他の消費国と比べてRSSへの依存度が高いという特徴がありました。

1980年代に入ると、世界の潮流はRSSよりもTSRにシフトしていきます。それでも日本のRSS指向は簡単に衰えません。1990年代に入っても国内需要はRSSが約7割を占めていたのです。しかし、日本にも変化が訪れます。TSR産地の供給体制の整備、タイヤメーカーなど利用者側の技術改良が、ついに日本のTSR普及を促したのです。2000年に6対4だったRSSとTSRの輸入割合は2002年に拮抗し、昨年2017年にはついにTSRの輸入量はRSSの4倍にも達しています。

〇 世界で使われるTOCOMのゴム先物価格

世界には主に3つのゴム市場があります。シンガポール、中国、そして日本のTOCOMです。このうちシンガポール市場は、近年になって回復しつつありますが、数十年にわたり取引が低迷しています。また、新興の中国市場は、取引量こそTOCOMを上回るものの、海外には十分に開放されていません。

このため東南アジアでは、TOCOMのRSS先物価格がベンチマーク(指標価格)としての認知を確立しているのです。すなわち国内にとどまらず、東南アジアのゴム生産者・輸出業者や、国外の消費者、輸入業者の多くがTOCOM市場の価格をビジネスの参考としていますし、価格変動リスクを回避するツールとして用いているのですね。TOCOMは天然ゴム先物価格を世界に発信することにより、社会に貢献しています。そして、その機能を今度はTSRでも発揮できるようになるのです。

〇 ゴム先物取引を投資に使う

TOCOMゴム市場は投資家のための市場でもあります。時々刻々と変化するゴム価格には収益獲得の可能性が秘められているからです。

ゴム先物取引で収益を上げる方法には、(1)安い時に買って高くなったら売る、(2)高い時に(持っていないゴムを)売って安くなったら買い戻す——の2通りがあります。「持っていないものを売る」のは感覚的にわかりにくいかもしれませんが、現物を引き取るつもりがないゴムを買うのと理屈は同じです。「買った」または「売った」商品(ゴム)は、その逆の行為をすることで価格差分の利益を得られる仕組みなのです。FX取引と一緒ですよね。

〇 4万円で80万円の取引

具体的な数字を当てはめてみましょう。ある日のTOCOMの相場表に表示されているTSR先物価格が166.5円(166円50銭)だったとします。この価格でTSR先物を1枚(単位)買いました。そして数日が経ち、TSR先物価格が178.5円になった時に「逆の行為」で売ったら・・・。差額の13円をゲット?

いえいえ、違います。TSR先物は5,000キロ単位の取引だからです。つまり13円を5,000倍した6万5,000円が正しい答えです。表示価格が166.5円なら、実際には83万2,500円もの取引をしていることに注意してくださいね。

ではTSR先物を取引するにはいくらの資金を用意すればよいでしょうか? 商品先物取引はFX取引と同じ証拠金取引(=レバレッジ取引)です。つまり、ゴム5,000キロを買うことができる金額(仮に83万2,500円)の一部を担保(証拠金)として商品先物会社に預けることで取引はスタートします。そして、10月9日取引開始当初の最低証拠金の額は4万円と発表されています。ただし、先物会社によっては裁定証拠金以上の額を求める場合も、TOCOM(の清算機関)が取引のリスクに応じて額を変える場合もあります。

それから、どうしてもお伝えしたいことがあります。取引口座の残額すべてを証拠金に使うことは絶対にお勧めしません。取引資金にはつねに余裕を持たせてください。実はこれって、投資家が自分の心がけ次第でできる、リスクコントロールの基本なんですよ。

第3回は10月9日に取引が始まってから実際の価格を見てレポートします。楽しみにしていてください。

フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ




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