来週の相場で注目すべき3つのポイント:ジャクソンホール会合、米韓合同軍事演習、中小型株への資金シフト
■株式相場見通し
予想レンジ:上限19800-下限19000円
来週はお盆休み明けから国内機関投資家の動きが出てくるとみられるが、海外投資家については9月4日のレイバーデー明けまでは休暇を取る動きが意識されやすく、引き続き商いの膨らみづらい需給状況になりそうだ。また、北朝鮮を巡る地政学リスクについては、米国防総省は米軍と韓国軍が定例の合同軍事演習を21日から実施するため準備を進めていることを明らかにしている。北朝鮮の反発が警戒されるなか、外部環境の動向を睨みながらの相場展開になろう。
また、今週はカンザスシティー連銀が8月24日から26日に開く経済シンポジウム(ジャクソンホール会合)が注目される。今年はECBのドラギ総裁が3年ぶりに参加する見込みである。この講演でECBがユーロ圏経済に対する自信を深めていることや、同経済の金融緩和策への依存度低下を示唆するとみられている。ジャクソンホール会合での講演を利用して、投資家に9月の政策転換の準備をさせることができるとの見方が市場のコンセンサスである。
米イエレン議長については25日に講演を予定している。利上げ時期には踏み込まないのがメーンシナリオであろうが、ジャクソンホール会合への思惑が長期金利の上昇につながり、これが為替相場では円安へ反応する格好となり、株式市場への下支えとなる展開が期待されやすい。もっとも、ドラギ総裁がジャクソンホールで金融政策に関する新たなメッセージを発することはない見通しとも伝えられるなか、イベントを見極めたいとの思惑が高まりやすく、結局のところは方向感の掴みづらい相場展開を意識しておいた方が良さそうだ。
物色の流れとしては国内機関投資家の動きが出てくることから、インデックスに絡んだ主力大型株の商いがやや膨れる可能性がある。一方で、米トランプ政権の運営リスクのほか、北朝鮮を巡る地政学リスクへの警戒、さらに欧州でのテロ事件等によるリスク回避姿勢がくすぶるようだと、次第に新興市場の中小型株への資金シフトが強まろう。先週末こそ中小型株の多くが利益確定売りに押される格好となったが、資金回転が速い分、需給整理の進捗も早いため、仕切り直しの資金が向かいやすいだろう。外部環境の不透明要因から、リスク回避的にITやゲーム、ビットコインといったリスクを受け難いテーマ株等への関心も高まりやすいとみておきたい。
■為替市場見通し
来週のドル・円は、トランプ米大統領は側近であるスティーブン・バノン首席戦略官兼大統領上級顧問を更迭し、差別主義者との強い批判を交わす姿勢を見せた。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ継続方針に対する市場の懐疑的な見方は変わっていないものの、カンザスシティ連銀主催の経済シンポジウムでのイエレンFRB議長の講演内容を点検し、利上げ継続の方針が改めて表明された場合、ドルに対する弱気な見方は多少払拭されると予想される。トランプ政権内のキーパーソンが相次いで辞任したが、トランプ大統領がバノン氏を更迭したことによって経済政策停滞への懸念は多少和らぐとの見方も浮上している。
市場関係者の多くは、今週24-26日に米ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティ連銀主催の年次シンポジウムに高い関心を寄せている。シンポジウムではイエレンFRB議長やドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁など主要国の金融当局者が講演を行う。イエレン議長は25日に金融安定に関して講演する予定だが、市場関係者の間では金融政策の詳細には踏み込まず、緩やかな利上げ継続とバランスシートの9月縮小開始などの方針を強調するとの思惑が広がっているようだ。
ドラギECB総裁も講演を行うが、資産買入れプログラムの縮小などの金融緩和策縮小に関する言質を与えないとみられている。17日公表されたECBの7月議事要旨によると、金融当局者は過度のユーロ高リスクを懸念していることが判明しており、ドラギECB総裁が金融政策について具体的に言及しなかった場合、ユーロ売り・米ドル買いが広がり、この影響でドル・円の取引でもドル買いがやや優勢となる可能性がある。
■来週の注目スケジュール
8月21日(月):全産業活動指数、百貨店売上高、米韓合同軍事演習開始など
8月22日(火):全国スーパー売上高、中景気先行指数、米FHFA住宅価格指数など
8月23日(水):独製造業PMI、米新築住宅販売件数、ユーロ圏総合PMIなど
8月24日(木):米中古住宅販売件数、ジャクソンホール会合など
8月25日(金):消費者物価コア指数、独IFO景況感指数、米耐久財受注など
<TM>
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