日本周辺空域を巡る認知戦 − 探知による抑止 −【実業之日本フォーラム】
2020年度と比較すると、ロシア機が258回から266回と微増であったのに対し、中国機が458回から722回に増加している。昨年度からの増加分はほとんどが中国機に対するものであった。更に、従来中国機の活動海域は東シナ海が中心であったが、2022年度は沖縄と宮古島の間を通過し、西太平洋における活動が増加している。西太平洋における活動の一部は、バシー海峡を越え、台湾東部を経由し、日本の防空識別圏(ADIZ)に近接飛行した中国機も含まれている。中国人民解放軍の活動が数及び活動海空域の両面で拡大しつつあることを示す数字である。
緊急発進は自衛隊法第84条の「領空侵犯に対する措置」で規定された自衛隊の任務の一つである。条文では「外国の航空機が国際法規又は航空法その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入した際、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるために必要な措置を講じることができる」とされている。緊急発進は、わが国領空に侵入する危険性のある航空機の動向を確認するとともに、警告を発することを目的とする行動である。警告を無視し、領空に侵入した航空機を撃墜することも国際的には認められている。防衛省が公表した資料によれば、1967年以降わが国に対する領空侵犯は45件であり、ソ連を含むロシアが42件、中国が2件、台湾が1件となっている。中国の2件は尖閣諸島の領空を侵犯したものである。1987年12月に沖縄において領空侵犯を行ったソ連Tu-16偵察機に対して行われた警告射撃が、わが国唯一の実力行使であった。
緊急発進は、相手に対し、自らの警戒監視、対応能力を示すとともに国家意思を誇示することを目的とする。防衛省が、緊急発進や日本周辺海域における監視活動の実績を公開するのも、国の内外に日本としての即応体制を誇示し、領土、領海及び領空を守り抜くという国家意思を明確に示す目的がある。これはいわゆる「探知による抑止」である。自衛隊がこの能力を維持することが極めて重要である。
2021年3月、台湾国防部は緊急発進を毎回は実施せず、対空ミサイルによる監視を行うことを明らかにした。その理由は、中国機による台湾防空識別圏への侵入があまりにも多く、空軍の他の任務を阻害しているためとしている。同国防部は、2020年9月から2021年8月までの1年間に554回の緊急発進が行われたことを明らかにしている。同国防部は緊急発進が無いことが、中国に中国機の行動を台湾側は把握していないとの誤解を生み、より過激な行動に移ることを危惧し、緊急発進は無くても対空ミサイルで追尾していることを明らかにすることにより、中国をけん制したのであろう。しかしながら、台湾空軍の対応能力の限界を示したことになったことは間違いなく、台湾としては苦渋の選択であったと想像できる。
わが国が行っている緊急発進の数は台湾をはるかに超える数である。また、令和3年度防衛白書によれば、中国が保有する第4、第5世代の戦闘機の数は、1146機と航空自衛隊の313機の3倍以上である。中国が、台湾同様に自衛隊の疲弊を狙って防空識別圏への侵入を激増させる可能性は否定できない。その場合、日本として台湾同様に選択的対処とすることはできない。「探知による抑止」の崩壊につながるからである。
このような状況下で4月21日に自民党安全保障調査会が、今年見直しが進められている「国家安全保障戦略」等の3文書改訂への提言書において、防衛費GDP比2%以上を念頭に「5年以内に防衛力の抜本的な強化を目指す」としている。AI技術やロボティクスの発達により、無人で対応できる分野は拡大しつつあり、今後その傾向はさらに拡大するであろう。防衛費の増額は、これら先端技術の開発や宇宙・サイバー・電磁波領域での安全保障に充てられると見られる。
しかしながら、人間が対応すべき分野は依然として残されている。緊急発進に対応する戦闘機パイロットは高度な操縦技量、瞬時の判断力と状況把握能力が求められる。少しの判断ミスが国際的問題を引き起こしかねない。戦闘機の調達やパイロットの育成は一朝一夕にできるものではない。少子高齢化という問題もある。防衛費の増額は、単にハードウェアの増強だけではなく、無人化できる任務とできない任務を峻別し、新たな戦いに備えた陸海空兵力の最適配分まで視野に入れる必要がある。
日本の防空識別圏に中国機が侵入しても自衛隊の対応が無い場合、中国は日本の対応能力が低下したと認識するであろう。さらに、そのような状態が継続した場合、日本の国土防衛への意思が弱まったと判断するであろう。緊急発進を継続して実施する事は、相手に誤った認識を与えないという認知戦の一環でもある。ロシアがウクライナへの軍事侵攻を決断した背景には、ウクライナ政権の抵抗意思が弱く、軍事力による抵抗も少ないと誤判断したのではないかという事が指摘されている。緊急発進は、「探知による抑止」であり、それを粘り強く継続することが、相手の誤判断を防止する手段であることを認識する必要がある。
「サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄
防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。
写真:防衛省/ロイター/アフロ
■実業之日本フォーラムの3大特色
実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。
1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム
・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する
・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う
2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア
・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く
・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える
3)「ほめる」メディア
・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
<FA>
ジェネリクス、2025年版Gartner®Magic Quadrant™倉庫管理システム(WMS)部門に7年連続で選出
【日本代表】初選出の東京MF俵積田晃太「驚きとうれしさ」「武器であるドリブルを」
鶏むね肉とキャベツの塩けいちゃん
「一番カンテレに近いアイドル」なにわ男子藤原丈一郎が地上波連ドラ初単独主演「すごく光栄」
乃木坂46の6期生、18歳小津玲奈が学業専念で活動休止「絶対にまた戻ってくるので」
【超便利!スマホで簡単アルコールチェックできる!】「アルコー楽」10%OFFキャンペーン実施
【カルディ】今週の感謝セール&周年セールはどこでやってる?何が安い?対象店舗をチェック♪
【阪神】森下翔太ド根性タイムリー 前日膝痛めるも「全力は当たり前」不死身の3番が窮地救う
「加害男性からの手紙届かず」神戸児童殺傷遺族・土師守さん手記全文
「ジムマスター」のレインアウターと刺しゅうTシャツで、夏フェス気分を“ハッピー”に!
後藤真希、“衝撃を受けたアイドル”を聞かれズバリ実名告白「誰もが衝撃を受けたと思う」
二階堂ふみが結婚!?お相手が衝撃的過ぎてネット民「マジか・・・」
小泉進次郎農相、就任一夜明け「コメ5キロ2990円」記事ポスト「仕事はやっ!」ツッコミ多数
父が再婚の丸山隆平(36)現在の家族関係がとんでもないことになっていたと話題に
石井亮次アナ「ゴゴスマ」で生謝罪 「辞任」もほのめかす
5人組アイドルBrainBeatにーなさん死去「不慮の事故により永眠いたしました」公式X
「コメないなら、ライスを」小泉進次郎“コメ大臣”農相就任で「進次郎構文」大喜利 X盛況続く
太田光が本音「犬猿の仲」芸人と「一生分かり会えないと。バチバチやってたから」禁断の共演実現
多部未華子(30)結婚の裏事情あまりにも恐ろしすぎると話題に!
大手アダルトメーカー秘書課社員がAV出演へ 昨秋に中途入社「モノづくりの輪に入りたい」
父が再婚の丸山隆平(36)現在の家族関係がとんでもないことになっていたと話題に
二階堂ふみが結婚!?お相手が衝撃的過ぎてネット民「マジか・・・」
多部未華子(30)結婚の裏事情あまりにも恐ろしすぎると話題に!
小澤征悦と再婚した桑子真帆アナ(34)黒い過去が流出、衝撃の過去にネット騒然
後藤真希、“衝撃を受けたアイドル”を聞かれズバリ実名告白「誰もが衝撃を受けたと思う」
関ジャニ錦戸亮、登場人物が全員クズだらけの不倫劇もメディア沈黙で批判殺到
「名探偵コナン」最大の謎、蘭姉ちゃんのあの角の正体がついに判明
ガーシー、佐野ひなこの暴露を示唆でネット騒然「ファンだったのに」
【おすすめアニメ50選】完結済み!定番から最新作まで!
浜崎あゆみ、バスト丸見えの投稿にネット騒然「巨乳すぎて不自然」

ジェネリクス、2025年版Gartner®Magic Quadrant™倉庫管理システム(WMS)部門に7年連続で選出
【日本代表】初選出の東京MF俵積田晃太「驚きとうれしさ」「武器であるドリブルを」
鶏むね肉とキャベツの塩けいちゃん
「一番カンテレに近いアイドル」なにわ男子藤原丈一郎が地上波連ドラ初単独主演「すごく光栄」
乃木坂46の6期生、18歳小津玲奈が学業専念で活動休止「絶対にまた戻ってくるので」
【超便利!スマホで簡単アルコールチェックできる!】「アルコー楽」10%OFFキャンペーン実施
【カルディ】今週の感謝セール&周年セールはどこでやってる?何が安い?対象店舗をチェック♪
【阪神】森下翔太ド根性タイムリー 前日膝痛めるも「全力は当たり前」不死身の3番が窮地救う
「加害男性からの手紙届かず」神戸児童殺傷遺族・土師守さん手記全文
「ジムマスター」のレインアウターと刺しゅうTシャツで、夏フェス気分を“ハッピー”に!