ロシア非難決議も棄権…対中最優先のインドが「ロシアの中国傾斜」を絶対に避けたいワケ【実業之日本フォーラム】
外交・安全保障の協力体制であるQUAD(日米豪印4か国戦略対話)は、インド太平洋地域における中国の影響力拡大に対抗する枠組みとして2019年に発足した。当初は外相間の対話の枠組みであったが、2021年に首脳会談に格上げされ、議題も、「ワクチンパートナーシップ」、「気候作業部会」、「重要・新興技術作業部会」等、インド太平洋における外交・安全保障を超える分野での協力も進められていた。
しかしながら、QUADの一国であるインドは2022年2月、ロシアのウクライナ軍事侵攻に対し、2月25日のロシア軍即時撤退を求める安保理決議及び3月3日の国連総会緊急特別会合におけるロシア非難決議のどちらも棄権している。インドのロシアに対する姿勢は、QUADの協議に不協和音を生じさせている。
2月11日にメルボルンで行われた第4回日米豪印外相会談において、ウクライナ情勢に関し意見交換は行われたものの、共同声明にウクライナ情勢は一切触れられていない。また、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、3月3日に行われた四カ国首脳テレビ会談では、「力による現状変更を、インド太平洋地域において許してはならない」、という点では一致をみたものの、ウクライナ危機に関して共同声明で述べられているのは、それぞれ対処、対応する中で人道支援・災害救難メカニズムを構築するとされているのみである。
外交安全保障の枠組みとして期待されていたQUADであるが、ロシアのウクライナ軍事侵攻という国際法違反に、明確なメッセージを伝えきれないという限界を露呈した。
● インドがロシアとの関係を切らないワケ
本年2月、「軍事技術が世界覇権争いの武器に?インドが、QUADの一員なのに『ロシアとの関係を切れない』切実なワケ」という記事を投稿した。インド軍装備武器のロシア依存度は極めて高く、中国及びパキスタンと国境を巡り対立関係にあるインドにとって、ロシアから最新装備武器を調達することは安全保障上重要である一方で、軍事技術の違いがアメリカとのデカップリングを進める可能性があることを指摘したものである。
インドの主要装備であるSu-30、Mig-29戦闘機、タラワール級フリゲート、S-400対空ミサイル等の調達、メンテナンス及びスペアパーツの確保等はロシアに大きく依存している。また、インド洋における対中国用として、キロ級潜水艦のみならずアクラ級原子力潜水艦のリースも重要な課題である。
ロシアと共同開発した対艦ミサイル「ブラモス」のフィリピンへの輸出も、ロシアとの協力なくして実現し得ない。インドの2010年装備武器購入費の約79%がロシアからであったが、2020年には約35%に低下しており、徐々にロシアへの依存度を低下させてはいるが、ロシアとの関係を急に切ることはできない。国際社会のロシアに対する非難と距離を置いた理由は、インドのプラグマテックな計算に基づく判断だと考えられる。
● インド、避けたい「ロシアの中国傾斜」
今後、この情勢を大きく変える可能性があるのが、ロシアに対する経済制裁の影響である。ウクライナ軍の抵抗を受け、ロシア軍の侵攻速度が遅いのは事実であるが、ウクライナ軍にロシア軍を完全に撃退する軍事力はない。
プーチン大統領がウクライナの非軍事化、中立化という侵攻目的を追求する限り、ロシア軍の撤退はあり得ず、戦闘は長期化するであろう。その場合、ロシアへの経済制裁の影響が拡大してくることは不可避である。
中国はロシアへの経済制裁を批判しており、「引き続き正常な貿易協力を行っていく」としている。インドにとって、ロシアが中国への依存度を高めることは、ロシアをつうじてインドに中国の影響力が及ぶ可能性が有るという観点から好ましい事ではない。
更には、ロシアからの武器輸入代金をどのように決済するかという問題もある。中国経由の決済を利用することによる中国の発言力向上は、インドにとって認めがたいであろう。このため、ロシアへの経済制裁の長期化は、インドにとってロシア製武器への依存度を一層低下させるインセンティブになり得る。
● 「インドのロシア離れ」が始まる?
QUADの国際的な影響力を過大に考えてきた人々にとって、今回のロシアのウクライナ軍事侵攻に対するインドの態度は、期待外れと受け取られるであろう。しかしながら、QUADは、あくまでも「インド太平洋における対中ヘッジ」が主目的であることを再認識する必要がある。第1回首脳会談でワクチン、気候問題や新興技術等というインド太平洋を越える問題に関する合意がなされたのも、対中という色彩が濃いことを忘れてはならない。
一方で、インドにとって、西欧諸国がロシアの脅威への対応に傾注することは、インド太平洋方面における対中牽制力が弱まることを意味する。QUADを強化し、対中牽制力として維持発展させることはインドの国益に合致する。また、インドは装備武器以外、ロシアとの貿易額は少なく経済的結び付きは薄い。長期的には、今回のロシアのウクライナ軍事侵攻が、インドのロシア離れを助長する可能性は高いと考えられる。
ロシアのウクライナ軍事侵攻に関し、QUADが一致した姿勢を示すことができなかったことをもって、QUADの役割りを過小評価することはできない。インド太平洋方面におけるQUADは、依然として効果的な枠組みであることには変わりはない。さらに、長期的視点に立てば、QUADをより強化する観点から、インドが装備武器のロシア依存度を低下させるように、アメリカを中心に働きかけていく必要がある。今回の試練を乗り越えれば、QUADはさらに強固な枠組みとなることが期待できるであろう。
サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄
防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。
写真:ロイター/アフロ
■実業之日本フォーラムの3大特色
実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。
1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム
・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する
・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う
2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア
・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く
・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える
3)「ほめる」メディア
・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
<FA>
白血病克服の43歳女性タレント、51歳俳優夫のSNSで近影公開に「かわいい」の声
深川麻衣、大好きな梅干しを食べて「死にそうになった」その理由とは
風間俊介「小ざかしい」リアクション絶賛され「分かる気する」足立紳監督の失言?にツッコミ殺到
和田アキ子、長嶋茂雄さん妻から「あきこって強いのよ」と声かけられた思い出
タモリさんは「たまごです」12年ぶり出演ユニットがド緊張 共演女性歌手に相談すると…
【中日】チーム最年長39歳大島洋平、約1年ぶりの盗塁成功 今季3度目のスタメン起用
【楽天】浅村栄斗、死球で倒れ込みスタンド騒然 治療後に一塁ベースへ「頑張れ浅村」コール
大谷翔平をゲッツーに打ち取った継投ズバリ「マッチアップ信じた」カージナルス・マーモル監督
スタンフォード大・佐々木麟太郎、かつてジャッジら在籍のサマーリーグ参戦 6月15日開幕
【阪神】救急搬送の石井大智、医師の指示で自宅静養 球団が発表 「脳振とう特例」で抹消へ
長嶋一茂、「家族としてお許しいただきたいけれど…」妹・三奈さんらとの病室での会話明かす
二階堂ふみが結婚!?お相手が衝撃的過ぎてネット民「マジか・・・」
ヒカル、浮気相手とのLINE流出にドン引きの声「キモすぎる」「吐きそう」
小倉優子、不自然な“二重ライン”にネット騒然「やっぱり整形?」
藤本美貴、夫・庄司智春がしていたら「結婚しなかったと思う」“習慣”を発表
武田鉄矢、昨年死去した大物俳優をライバル視していた「1人だけ、ライバルと思った人がいた」
あのちゃん実名告白「めんどくさい芸能人」が台本と違いスタジオ騒然
西田ひかる「なんとかならなかったのかな」コンビニ備蓄米視察で小泉農相「大きなうねり」発言に
大谷翔平の長女へ、ロバーツ監督がピンクの〝ポルシェ〟プレゼント 昨年は大谷がミニポルシェ贈る
37歳女性タレント、元交際相手から送られてきた“写メ”にドン引き「デリカシーなさすぎ」
父が再婚の丸山隆平(36)現在の家族関係がとんでもないことになっていたと話題に
二階堂ふみが結婚!?お相手が衝撃的過ぎてネット民「マジか・・・」
ヒカル、浮気相手とのLINE流出にドン引きの声「キモすぎる」「吐きそう」
多部未華子(30)結婚の裏事情あまりにも恐ろしすぎると話題に!
ガーシー、佐野ひなこの暴露を示唆でネット騒然「ファンだったのに」
【おすすめアニメ50選】完結済み!定番から最新作まで!
「名探偵コナン」最大の謎、蘭姉ちゃんのあの角の正体がついに判明
浜崎あゆみ、バスト丸見えの投稿にネット騒然「巨乳すぎて不自然」
長嶋一茂、「家族としてお許しいただきたいけれど…」妹・三奈さんらとの病室での会話明かす
小澤征悦と再婚した桑子真帆アナ(34)黒い過去が流出、衝撃の過去にネット騒然

白血病克服の43歳女性タレント、51歳俳優夫のSNSで近影公開に「かわいい」の声
深川麻衣、大好きな梅干しを食べて「死にそうになった」その理由とは
風間俊介「小ざかしい」リアクション絶賛され「分かる気する」足立紳監督の失言?にツッコミ殺到
和田アキ子、長嶋茂雄さん妻から「あきこって強いのよ」と声かけられた思い出
タモリさんは「たまごです」12年ぶり出演ユニットがド緊張 共演女性歌手に相談すると…
【中日】チーム最年長39歳大島洋平、約1年ぶりの盗塁成功 今季3度目のスタメン起用
【楽天】浅村栄斗、死球で倒れ込みスタンド騒然 治療後に一塁ベースへ「頑張れ浅村」コール
大谷翔平をゲッツーに打ち取った継投ズバリ「マッチアップ信じた」カージナルス・マーモル監督
スタンフォード大・佐々木麟太郎、かつてジャッジら在籍のサマーリーグ参戦 6月15日開幕
【阪神】救急搬送の石井大智、医師の指示で自宅静養 球団が発表 「脳振とう特例」で抹消へ