新型コロナパンデミック:緊急事態宣言解除(東京慈恵会医科大学 浦島充佳)(2)【実業之日本フォーラム】
7月に入り日本、特に東京においてインドで発見されたデルタ株が急速に蔓延しはじめた。デルタ株は感染力(※4)と重症化率(※5)が高く、若干ではあるがワクチンも効きにくい(※6)。その影響で今までのどの波よりも感染拡大のスピードが速い。瞬く間に医療はひっ迫し、肺炎による低酸素症があっても入院できないコロナ患者が市中にあふれた。4回目の緊急事態宣言を発出するもむなしく、人流抑制にはほとんど効果がない。8月中旬、飲食・娯楽への人流が僅かに減っているが、これは今までにない患者数の増加を目の当たりにしたことにより、人々の行動が抑制されたと推察する。患者数急増が原因で人流抑制が結果ということだ。そんな中、東京2020オリンピックパラリンピックが7月23日より無観客ではじまった。世界250か国より数万人規模でアスリート、大会関係者、メディアが日本に入国したのである。火に油を注ぐ格好だ。
しかし、オリパラの影響はほとんど無かった。患者数はオリンピックがきっかけで増えたというよりは、開始前より増え始めていた。そして、オリンピック中も同じペースで増え続けた。しかし、8月中旬、オリンピックとパラリンピックの狭間で5,534人をピークに突然減少に転じたのである。8月24日よりパラリンピックが始まったが、それとは無関係に減少の一途をたどった。そして9月末には日々の感染者数は200人前後、病床ひっ迫も急速に改善され、緊急事態宣言は解除された。
[結]
ワクチン接種が第五波を抑えたのは誰の目にも明らかだった。第三波のときは感染者に対し死亡者の山が大きいが、第五波では感染者の波の大きさに比し死亡者の波が小さい。これには、7月末までに希望する高齢者に対してワクチン接種がほぼ終了していたことが大きい。何故ならコロナで死亡リスクの高い高齢者をまずワクチンで守ることができたからである。また8月に入り、職域接種を導入したことで中年や若い世代にもワクチン接種が拡大したことも患者数のピークアウトに貢献した。7月12日に緊急事態宣言が発出されたが、第五波では第一波や第三波のときほど人流は減っていない。人々の不安や恐怖の閾値が上がってきたからに他ならない。それにもかかわらずピークアウトしたということは、やはり緊急事態宣言が有効だったとは考えにくい。ワクチン接種がギリギリ間に合った格好だ。
それではワクチン接種が広まれば緊急事態宣言は不要でマスクも必要ではなく、コロナ前の生活に戻れるのだろうか?私はそうは思わない。
日本は9月29日時点で2回接種が60%、少なくとも1回接種が70%に達した。最近、アメリカを追い抜いた(2回接種が55%、少なくとも1回接種が64%)。アメリカは患者数減少により、かなり早い段階でマスクなどの規制を緩めた。ところが、6月以降のデルタ株流行で人口100万人当たりの発症率、死亡率共に急増し、今大変なことになっている(Our world in data(※8)のワクチン接種先進国の発症率、死亡率の推移を参照)。マサチューセッツ州郊外で開催された夏のイベントで469人の集団感染があり、346人(74%)はワクチン接種済であった(※7)。幸い亡くなった人はいなかったが、入院した5人中4人はワクチンを2回接種して14日以上経っていた。2回のワクチン接種では不十分と気づいたときは「時遅し」であったのだ。
イスラエルやイギリスもワクチン接種が早期より進みコロナを収束させつつあったが、デルタ株の出現で状況は振り出しに戻った。発症率は増え、アメリカほどではないが死亡率も増えたのである。イスラエルでは8月のオーバーシュートを受け、3回目のブースター接種を開始した。9月半ばよりおそらくブースター効果で発症率が、続いて死亡率も減り始めた。
シンガポールでは2回接種が77%、少なくとも1回接種が79%であるが、患者数、死亡率は9月に入って急増しており日本を追い抜いた。患者数が増えれば、ワクチンで重症化をある程度抑えることはできるが、死亡をゼロにできるわけではない。そのため患者数が急増すればワクチン接種率が仮に8割あっても重症者や死亡者もある程度増えることが予想される。第五波を超える高波が来れば再び病床はひっ迫する。前回も書いたが、感染症数理モデルに基づき計算するとデルタ株に対してはワクチン接種率が9割を超えないと集団免疫が効き難い。シンガポールはその証左と言えよう。
日本のワクチン接種の現場にいると、接種率が減速する兆しが見えてきている。そのため、11月に入ると接種のペースは急に鈍ることが予想される。おそらく8割を超えることはあっても9割に達することはないであろう。そうであればシンガポールの今は日本の冬を映し出しているのかもしれない。ワクチン接種により6か月は免疫が維持されるという報告(※9)(※10)はあるが、マサチューセッツのアウトブレイクは6か月以内に発生した。8カ月を待たずして、例えば11月より医療従事者、高齢者施設スタッフからはじめ高齢者には3回目のブースター接種をはじめるべき。私はそのように考える。
9月29日(水)、自民党総裁選挙の結果、岸田文雄前政務調査会長が河野太郎規制改革担当大臣を抑えて新しい総裁に選出された。10月4日に国会で行われる総理大臣指名選挙を経て、第100代の総理大臣に就任する見通しだ。岸田氏はコロナ対策4本柱の1つに「感染症有事対応の抜本的強化」を掲げ、公衆衛生上の危機発生時に、国・地方を通じた強い司令塔機能を有する「健康危機管理庁(仮称)」と「臨床医療」、「疫学調査」、「基礎研究」を一体的に扱う「健康危機管理機構(仮称)」を創設し、公衆衛生分野の危機管理能力を抜本的に強化する方針を示している(※9)。
私は国が緊急事態宣言発出による人流抑制にこだわり過ぎ、ワクチン接種開始が遅れたことが現状を引き起こしたと考える。緊急事態宣言は「伝家の宝刀」で、これをめったなことで使うべきではない。頻繁に使えば、効果が無くなる。新しい政権に大いに期待したい。
※4:https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/variants/delta-variant.html
※5:Twohig KA, Nyberg T, Zaidi A, Thelwall S, Sinnathamby MA, Aliabadi S, Seaman SR, Harris RJ, Hope R, Lopez-Bernal J, Gallagher E, Charlett A, De Angelis D, Presanis AM, Dabrera G;COVID-19 Genomics UK (COG-UK) consortium. Hospital admission and emergency care attendance risk for SARS-CoV-2 delta (B.1.617.2) compared with alpha (B.1.1.7) variants of concern: a cohort study. Lancet Infect Dis. 2021 Aug 27:S1473-3099(21)00475-8. doi: 10.1016/S1473-3099(21)00475-8.
※6:Lopez Bernal J, Andrews N, Gower C, Gallagher E, Simmons R, Thelwall S, Stowe J, Tessier E, Groves N, Dabrera G, Myers R, Campbell CNJ, Amirthalingam G, Edmunds M, Zambon M, Brown KE, Hopkins S, Chand M, Ramsay M. Effectiveness of Covid-19 Vaccines against the B.1.617.2 (Delta) Variant. N Engl J Med. 2021 Aug 12;385(7):585-594. doi: 10.1056/NEJMoa2108891.
※7:Brown CM, et al. Outbreak of SARS-CoV-2 Infections, Including COVID-19 Vaccine
Breakthrough Infections, Associated with Large Public Gatherings —
Barnstable County, Massachusetts, July 2021. Morbidity and Mortality Weekly Report. https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/pdfs/mm7031e2-H.pdf
※8:https://ourworldindata.org/coronavirus
※9:Doria-Rose N, Suthar MS, Makowski M, O'Connell S, McDermott AB, Flach B, Ledgerwood JE, Mascola JR, Graham BS, Lin BC, O'Dell S, Schmidt SD, Widge AT, Edara VV, Anderson EJ, Lai L, Floyd K, Rouphael NG, Zarnitsyna V, Roberts PC, Makhene M, Buchanan W, Luke CJ, Beigel JH, Jackson LA, Neuzil KM, Bennett H, Leav B, Albert J, Kunwar P;mRNA-1273 Study Group. Antibody Persistence through 6 Months after the Second Dose of mRNA-1273 Vaccine for Covid-19. N Engl J Med. 2021 Jun 10;384(23):2259-2261. doi: 10.1056/NEJMc2103916.
※10:Thomas SJ, Moreira ED Jr, Kitchin N, Absalon J, Gurtman A, Lockhart S, Perez JL, Pérez Marc G, Polack FP, Zerbini C, Bailey R, Swanson KA, Xu X, Roychoudhury S, Koury K, Bouguermouh S, Kalina WV, Cooper D, Frenck RW Jr, Hammitt LL, Türeci O, Nell H, Schaefer A, Unal S, Yang Q, Liberator P, Tresnan DB, Mather S, Dormitzer PR, Sahin U, Gruber WC, Jansen KU;C4591001 Clinical Trial Group. Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine through 6 Months. N Engl J Med. 2021 Sep 15:NEJMoa2110345. doi: 10.1056/NEJMoa2110345.
※11:https://kishida.gr.jp/sousaisen/
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