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NYの視点:貿易戦争が新たな成長リスクに


米国はフランス、ドイツ、スペイン、英国からの31億ドル相当の輸入品に新関税を検討しており新たな貿易戦争に繋がりかねない。対象となるのはオリーブ、コーヒー、チョコレート、ビール、ジンや一部の機械、トラックなどで、最大で100%の関税率を課すことを検討していると、USTRが23日に公表した書類で明らかになった。7月26日までが公示期間となる。

欧州の大手航空機メーカー、エアバスと、米国の航空機メーカー、ボーイング助成金を巡る米国とEUの長期にわたる論争が背景にある。世界貿易機構(WTO)は昨年10月に、ドイツ、フランス、スペイン、英国によるエアバスへの助成金を違法との判決を下した。米国の訴えを認め、75億ドル規模の欧州輸入品に関税を賦課することを承認した。WTOはさらに昨年12月EUが違法な助成金を終了していないとし、米国に対欧州製品にさらに関税を課すことを容認した。

一方、EUは米国によるボーイングへの助成金を巡り対米商品112億ドルへの関税発動をWTOに申請している。さらに、EUはウイルスにより強化されていた渡航規制を緩和する中、対象国として米国を除外する方針だ。

米国はEUに加え、中国政府が香港に「国家安全法」を導入したことへの報復で、新たに対中関税を発動する可能性もある。中国による米国農産物の購入も米中第1段階貿易協定にまだ見合わず。さらに、米国はカナダのアルミニウムに10%関税を検討している。

2020年の世界経済はウイルスパンデミックによる景気への影響で深刻なリセッション入りが警戒されている。国際通貨基金(IMF)は2020年の世界経済の見通しを4月時点での予想−3%から‐4.8%へ一段と引き下げ。米国は‐8%と、従来の‐5.9%から下方修正された。ユーロ圏は−10.2%と、−7.5%から引き下げ、英国は‐10.2%と、−6.5%から下方修正された。唯一中国は+1.0%とプラス成長予想。

感染第2波のリスク、雇用の低迷など景気見通しにかなりの不透明感広がる中、貿易戦争勃発リスクが一段と回復を遅らせる可能性が警戒される。米国株式相場が危機前の水準を上回り過去最高値付近で推移する中、IMFのチーフエコノミストは回復には長期間要する可能性があり、「市場は速やかな回復に楽観的過ぎる」と警告している。





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