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NYの視点:米4月JOLT、労働市場の脆弱さが表面化、金融危機時下回る


米労働省が発表した4月JOLT求人件数は504.6万件と、3月601.1万件から急減し、2014年12月以降で最小となった。おおよそ、2100万人が失業しており、1つの求人に対する倍率は4.6倍。3月の1.2倍から急伸し2011年1月来で最高となった。前回の景気後退時2009年7月の6.4倍に近づく勢いとなった。

4月の解雇者数は770万人と3月の1120万人から減少も依然高水準。退職(173万人)や解雇(770万人)を含む離職(separation)は989万人。ウイルスによる経済閉鎖を受けて、過去最大を記録した3月の1464万人からは減少したものの過去2番目に高い水準となる。4月解雇率(Layoffs/discharges rate)も5.9%と、3月7.6%に続き高水準となった。

労働市場の健全性を見極める上で重要な退職率は1.4%と、3月1.8%からさらに低下し2011年4月来の低水準となり、労働者市場の脆弱さが明るみに出た。昨年同月の2.3%、2008年の金融危機前の 2.1%も下回っている。労働市場が最善の状況だった年初は過去最高を記録していた。

採用者数は352万人と、3月の511万人から減少。採用率は2.7%と、3月3.4%からさらに低下し、それぞれ過去最低を記録した。5月長期失業率(15週以上)は10.7%と、2019年36.2%に比べ低い。ただ、5週から14週の失業率は70.8%と、4月の30.4%から跳ね上がった。昨年5月時点は26.9%。今後、長期の失業者が増加するとさらなる懸念材料となる。

米5月雇用統計では失業率が予想外に低下したほか、非農業部門雇用者数が予想外に増加するポジティブサプライズとなり、V字型回復への期待も広がった。しかし、パウエルFRB議長も懸念している通り、長期の雇用が増加するリスク、経済が再開しても企業の業績が振るわずまたは破綻などで、第2次解雇のリスクも存続し労働市場の回復を確認するまでにはまだ時間がかかりそうだ。

米連邦準備制度理事会(FRB)が開催する連邦公開市場委員会(FOMC)を前に経済専門局のCNBCが実施した調査で、対象となったエコノミスト、ファンドマネジャーなどは景気の回復には1,2年と長期間かかると見ていることが明らかになった。米FRBは10日まで2日にわたるFOMCを開始。この会合では実質ゼロ金利や無制限の資産購入策が維持される見通し。米連邦準備制度理事会(FRB)は10日まで2日にわたる連邦公開市場委員会(FOMC)を開始。FRBはこの会合で実質ゼロ金利や無制限の資産購入策を維持する見通し。パウエル議長は、労働市場や成長を支援する追加措置が必要となる可能性を再度、強調する可能性が強い。

■雇用たるみダッシュボード

◎金融危機前に比べ状態が改善                 金融危機前の水準と比較
5月雇用者数(Nonfirm payrolls):+250.9万人(4月-2068.7万人) +16.18万人
5月長期失業率(15週以上):10.7%(4月7.7%、2019年36.2%)    19.1%
4月求人率(Job openings rate):3.7%(3月3.8%、昨年4.6% )    3%

◎金融危機前に比べ状態悪化
4月採用率(Hiring rate):2.7%(3月3.4%、昨年4.0%)      3.8%
4月退職率(Quits rate):1.4%(3月1.8%、昨年2.3%)       2.1%
4月解雇率(Layoffs/discharges rate):5.9%(3月7.6%)       1.4%
5月失業率(Unemploynent rate):13.3%(4月14.7%)        5%
5月広義の失業率(U-6):21.2%(4月22.8%)             8.8%
5月労働参加率:60.8%(4月60.2%)                  66.1%





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