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NYの視点:中国が米国に対する報復で通貨安を利用VS米トランプ大統領はドル高をけん制


中国の人民元は対ドルで6.7867元まで下落し、2017年7月以降1年ぶりの安値を更新した。中国当局は米国など世界の圧力を受け、貿易競争において有利になる自国通貨を人為的に引き下げる行動を控え、より現実的な水準に戻しつつあった。しかし、米国との貿易論争の勃発で、レバレッジに乏しい中国は、通貨という重要な手段を利用することが確実になったと見られる。米国のトランプ大統領が、2000憶ドル規模の中国の輸入品に追加関税を計画していると発表して以来、人民元は対ドルで5%下落した。

万が一、トランプ政権が警告通り、中国からの全輸入品に追加関税を賦課した場合、中国には、3つの選択肢がある。
1)対米輸出の減少を受け入れる
2)利益率の圧縮を受け入れる
3)対ドルで人民元を引き下げることでドルでの価格を引き下げ、人民元ベースでの利益率を保つ

トランプ米大統領はCNBCとのインタビューで、「米連邦準備制度理事会(FRB)による金利の引き上げに必ずしも同意しない」「高い金利は米国にとり不利になる」「中国の人民元は急落した」と、難色を示した。ただ、中央銀行が独立機関であることもあり、「FRBが最善と考えることをさせる」と加えた。

この発言の背景には11月の中間選挙を意識し、金利をできるだけ低く据え置きたい考えがあるほか、米国の利上げがドル高につながり、人民元の価値を引き下げ中国の輸出に有利に働くことを避けたい意向がある。人民元の下落は、中国の貿易の競争力を高める。中国との貿易戦争に勝つためにもドル高は避けたいと見られる。ただ、連邦準備制度理事会(FRB)は独立機関であり、政治にかかわりは持たない。大統領が実際に、利上げを引き留めるような行動を起こしたり、FOMCが大統領の意見を考慮するとは考えられない。FOMCが利上げ軌道を修正する可能性は極めて少なく、ドルは押し目買いが奏功すると見る。




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