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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆公益事業の見直しは起こるか◆


〇公益事業関連株の安定拡大を評価する流れか〇

軟弱な展開となった昨日の日本株のなかで、前日比、前週比、前月比、半年前比、前年比、全てプラスになっているセクターが二つある。「電気・ガス」と「空運」。日本株は東証空売り比率が40%超となると(昨日は4月の45.3%以来の43.2%)、軟弱な展開が強まるが、今のところ、公益インフラ事業(定義はないが、電力・ガス、水道などのライフライン、鉄道、航空などの交通インフラなどの総称)はその対象になり難いと考えられる。
公益インフラ事業投資にいち早く動いた大富豪がいる。戦後の香港経済を牽引してきた李嘉誠(レイ・カーセン)氏だ。2012年(習近平就任の年)に中国大陸に保有する(天安門事件後、大規模投資を行い小平、江沢民から深く感謝された)ほぼ全ての不動産物件を売り、香港も対象とした。資金を振り向けた先は、法律や規制が共通する英国圏が中心。11年のノース・アーバイイン・ウォーター(4230億円)、12年のウェールズ&ウェスト・ユーティリティ(1230億円)を皮切りに、電力、ガス、水道などの公益インフラ企業を買収した。16年は豪デュエット集団(6800億円)、独イスタ・ルクセンブルグ(6200億円)と規模が拡大し、6年間の累積投資は2兆8500億円と伝えられる。

公益インフラ企業は、低成長・配当利回り株の位置づけで、金利連動カ株のような見方が多かったが、大きな構造変化局面に位置している可能性がある。一つは財政の制約から、民営化、規制緩和などで参入障壁が低くなりつつあること、第二はIoT、AI、ドローン、ビッグデータなど最新技術の導入で効率化(採算向上)余地が大きいと見られている点、第三は世界規模での経済成長にインフラ投資の拡大が必要で、大規模投資が必至と見られている点などだ。災害の巨大化で、広域管理の必要性も迫っている。

トランプの1兆ドルインフラ投資構想は暗礁に乗り上げているが、8月7日のASEAN+3外相会議で、河野外相がASEANインフラを中心に、今後5年間で約2000億ドルの資金供給を表明するなど、成長地域を中心としたインフラ投資は活発に行われる見込みだ。株式市場に流入し続ける年金資金などの長期性資金との親和性も高いと思われる。

日本企業の動きも活発化している。例えば、JR東日本と三井物産は英国の旅客鉄道事業の運営権を取得、三菱地所、大成建設のグループは高松空港の運営権で国交省と基本協定(国内空港は関西・伊丹、仙台などに続く。福岡空港では5企業グループが入札に参加)、経産省はPFI(民間資金を活用した社会資本整備)を導入しやすいよう自治体の負担軽減に乗り出す。米GEはIoT技術で病院支援事業を日本で本格開始、双日と空港ビルデングはパラオ国際空港の運営に参画、三菱UFJリース社長は、鉄道、航空機を中心に海外インフラ事業強化を表明、などのニュースが相次いでいる。

従来はインフラ建設が注目されがちだったが、運営事業が脚光を浴びているのが特色だ。株式市場の業種分類がそれに適合していないので(業種を超えた動きなので)、全体の動きを捉え難いが、株式市場乱調場面での投資戦略の一つとして有効と考えられる。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/8/22号)



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