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対面営業を生かした投資家の育成。セミナーは年700回を超す。コメの商品先物取引にも注力を



岡安商事株式会社【近畿財務局長(金商)第304号】
取締役社長 姫野健一

岡安商事の前身は、1952年に穀物商として事業を始めた真下商店である。その後、東京穀物商品取引所(現東京商品取引所)の仲買人として登録して商品先物取引の世界へと事業を展開していった。1991年に社名をハーベストフューチャーズに変更した後、外国為替証拠金取引(FX)を始めたのは、外為法が改正され、個人にもFX取引が開放された1998年の翌年(1999年)である。当時は、店頭FX取引(OTCFX)だったが、商品先物取引業者のなかでは非常に早い段階でFX事業に取り組み、現在の取引所為替証拠金取引(取引所FX)「くりっく365」の取扱いを開始したのは2006年からで、「くりっく365」が東京金融取引所に上場されてから1年後のことである。まさに「くりっく365」と共に歩んできたといってもいい岡安商事の取締役社長である姫野健一氏に話を聞いた。

■対面営業の強みを生かす

店頭FX取引を止めて、「くりっく365」一本に絞ったのはどうしてか。姫野社長は次のように答える。
「『くりっく365』は24通貨ペアと取扱い通貨ペアも多く、スプレッドも狭い。さらに、マーケットメーカーが充実しているので、価格も安定している。スリッページはほぼないし、約定力も高い。さらに、東北大震災のような大災害が起きた時でも、バックアップ体制をしっかり構築しており、システムがシャットダウンするようなリスクがない。店頭FX取引(OTCFX)に比べると、さまざまな利点があります。しかし、取引所為替証拠金取引(取引所FX)のもっともいいところは、直接、お客様にFX取引のご案内ができることです」
どういうことか? 話は今から10年前に遡るが、2007年、FXトレードを行っていた個人トレーダーの70%から80%の人が、利益をあげていた。しかし、2008年にリーマンショックが起きた時は、まったくその逆で、70%から80%の人が損失を出してしまい、なかにはFX市場からの撤退を余儀なくされた人も少なくなかった。そんな状況を見て、姫野社長は次のように思ったという。
「私たちが個人投資家の皆さんに、FXトレードについてのアドバイスを直接できていたら、こんなに多くの人が損失を出すことはなかっただろうにと、残念でなりませんでした。だから、投資家の皆さんがそんな損失を出さないように、しっかりと当社がアドバイスできる体制や仕組みの対面取引を、他社に先駆けていち早くつくりたいと思いました」

■FXは3つのコースにわかれる

そして、その思いを行動に移した結果、当時、営業部をFXとCX(商品先物取引)のふたつにわけていたが、それをひとつにまとめ、ひとりの営業マンがFXもCXも対応できるような仕組みに変えた。
さらに、FXの取引コースを3つに分類した。「スタンダードコース」と「サポートコース」「セルフコース」である。
「セルフコース」は、FX投資に関する情報の収集も、取引もすべて個人の裁量で行っていただくというコース。そのかわり、取引手数料はゼロ円である。「サポートコース」は、FX投資に関する情報の提供やアドバイスは、岡安商事が提供するが、FXの注文入力と口座管理はお客様ご自身で行ってもらうというコース。取引手数料は最低取引単位当たり500円と有料ではあるが、お客様が直接、発注するぶん低めの設定となっている。そして、「スタンダードコース」は、FX投資に関する情報や取引のアドバイス、パソコンの操作のアドバイスも、岡安商事で行うが、さらに、注文自体もそのお客様の指示のもと、岡安商事の営業マンが代行して行うというコース。取引手数料は最低取引単位あたり1000円でサービスを受けられる。
「当社で重点をおいてきたのが経営者や自営業の方へのご案内です。資金や時間にも余裕があって、資産運用を行うには、もっともいい条件に恵まれています。ただ、パソコンの操作が苦手だったり、FXトレードを行いたいのだが、どうしてやったらいいかわからない、迷っているという人がたくさんいます。そこで、当社の営業マンがFXトレードに関していろいろなアドバイスを行ったり、パソコンの操作に関するセミナーなども開いて、お客さまに資産運用やFX投資について理解を深めていただく。そして、お客さま自身が成長していただき、『スタンダードコース』から、自分ひとりでトレードができる『セルフコース』へと移っていただく。そうやって、お客さまにはどんどん成長していって欲しいと思っています」
現在、FXのユーザーは、スタンダードコースとサポートコースの対面が4割、6割がセルフコースとなっている。岡安商事は、2011年に小林洋行から、2013年にはエース交易から、取引所為替証拠金取引の口座移管を受けて、ユーザー数を増やしている。
岡安商事では、「くりっく365」以外にも、「くりっく365ラージ」も取り扱っている。最低取引数量が10万通貨からである。姫野社長はいう。
「取引所のなかでも、当社の『くりっく365ラージ』の扱い高は、多いと思います。ユーザーは法人が多いですね。手数料は経費として計上できますし、スプレッドは狭いですから、法人のユーザーには魅力的だと思います」

■徐々にFXへシフト

現在の売上高は、2016年度でいえば、FXとCXはほぼ五分五分だという。姫野社長にいわせると、それが理想的な形でFXが伸びてきているからだという。
「FXと商品先物取引を比べると、取引手数料に関しては、商品先物のほうが高い。しかも商品先物には限月があります。最長でも1年後には決済をしなければならない。ところが、FXには期限がないし、そのうえ、スワップポイントがつくのは、ユーザーには魅力的です。さらに、FXの仕組みもわかりやすいし、営業マンもお客さまに勧めやすい。そのうえ、商品先物取引は、不招請勧誘が禁止されて、当社の強みである対面営業ができなくなりました。時代の流れもあって、徐々にFXにシフトしているという感じです」
FXの取引システムは、フラクタルシステムズ社がFXトレード用に開発した「U-FOREX1」(インストール型)をユーザーには提供している。オールインワンで、一画面にチャートや価格、テクニカル指標が表示でき、発注もできる。FX取引が一画面で完結する。スマホアプリもあり、搭載しているテクニカル指標も充実している。お客様からも使い勝手の良さから高い評価を受けているシステムだ。

■今年度は800回のセミナー開催を目指す

ところで、岡安商事ではセミナーを開催しているが、その数が半端ではない。2016年度は700回を数えた。セミナーを担当している部署は「インターネットセミナー事業部」。そのなかの責任者が、個人投資家の間では大人気だそうである。姫野社長はこう語る。
「オンラインセミナーではなく、会場セミナーで、1年365日行うというのが当社のモットーです。2017年度は800回を目指しています。『ちょいワル』って聞いたことがありませんか?青山にあるワールドインベスターズTVにも、毎週月曜日出演しています。彼の人気がものすごく高くて、40名から50名の会場だと、すぐに席が埋まります。でも、ここまで人気がでるのに6年から7年はかかっていますが……。その『ちょいワル』を中心に『ちょいワル』ファミリーをつくっておりまして、彼らがセミナーを引き受けています。今回、大阪本社にも、『ちょいワル』の一番弟子を送り込んで、インターネットセミナー事業部を設立し、名古屋から以西でのセミナーを担当します」
岡安商事では、年に1回、「経済講演会」と称して、4月前後に大規模なセミナーを開催する。その第一回目のゲスト講師が、前人未到の国内3000本安打の記録を持つ、現在プロ野球解説者の張本勲氏だった。元プロ野球選手が社員にいる関係から、張本氏との親交は続いているそうだ。
さらに、1日4回(10時、13時、16時、19時)、自社でセミナーを開催している。FXをよく理解してもらいたい、広めたいという意識の高まりがそこにある。

■AIなどの自動売買システムに興味を

では、今後のFX市場やFX業界については、どんな見方をしているのか。姫野社長は次のように語る。
「私どもは、AI(人工知能)を使った自動売買取引に興味があるのですが、今後、市場の規模拡大ではなく、取引の中身が変わっていくような気がしています。いろいろな取引システムが登場する可能性はあるんじゃないでしょうか」
岡安商事では「くりっく株365」の取扱いについても、今年の経営計画には盛り込んでいるとのこと。営業マンの95%が証券一種の資格試験に合格し、姫野社長自身もその資格を取得している。すでに、準備は万端に整っているのだ。

■知名度の向上を望む
東京金融取引所への要望は何か?

「私たちのように、FX取引業界にいる者には、東京金融取引所はすでに馴染みがありますが、一般の人たちにはあまり知られていない。一頃、テレビCMなどもやられていましたが、ああいった販促活動を積極的に行ってもらいたいですね。FXという金融商品を公の取引所がやっていることがもっと知られるようになれば、東京金融取引所の掲げる、安心、安全、透明というメリットも浸透し、一般の人たちももっともっと、『くりっく365』に関心を持つようになってくると期待をしています」

■コメの商品先物取引に注力

岡安商事の経営理念は、「共客栄耀」である。お客さま、社員、会社という、これら3つが共に栄え、幸せになる“スリープロフィット”を目指している。そして今、岡安商事が注力しているのは、コメの商品先物取引である。試験上場して、すでに6年の歳月が過ぎようとしているが、今年の8月には本上場になるかどうかが決まる。社内ではコメの商品先物取引部門も、コメが試験上場された時に設立した。
「コメの商品先物取引の対象となるのは、新潟コシヒカリ、業務用の東京コメ、一般消費者向けの大阪コメの3つとなります。商品先物取引業界としても非常に注目をしています」


【ニュース提供・エムトレ】




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