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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆次は6月8日の攻防◆


〇米金利攻防、債券ロング派優勢の展開〇

先週末から思っていたより強めの日経平均2万円展開となっている。主因はドル建て日経平均が足取り軽く上昇したことだ。2日の東京市場終値は180.86ドル、5日の早朝は182.3ドル(CME2万150円、ドル円110.50円)。以前、150ドルの壁、170ドルの壁と言っていたことを思うと、軽さが目立つ。ただ、ドル円110円の攻防のままだと、日経平均20500円到達には186.36ドルが必要になる。110円割れを意識する場面もあると思う(企業収益懸念につながれば、ドル建て日経平均の上昇にもブレーキが掛かると考えられる)ので、米国情勢を睨みながらの攻防になると考えられる。

週末の米雇用統計は米債ロング派が優勢となる結果だった。失業率は16年ぶりの低水準となる4.3%に低下したが、非農業部門雇用者数増は13.8万人に止まり、過去1年間平均(18.1万人)を大きく下回った。3,4月分も6.6万人減額された。時間当たり賃金は前年同月比+2.5%。想定(2.5-3.0%)の下限にとどまった。販売が低迷する自動車で早くも1500人減、店舗閉鎖が続く小売は4ヵ月連続マイナスの6100人減、政府は9000人減などが足を引っ張った格好。それにしてもADP民間雇用報告は当てにならない。

6月13-14日のFOMCでの利上げ観測はほとんど変わらず9割強の確率だが、下期の利上げシナリオが後退。米国債利回りは長期債が約7ヵ月ぶりの低水準(10年債2.1591%、30年債2.8100%)。2年債利回りは一時1.266%と2週間ぶりの低水準。つれて、ドルは主要通貨に対し7ヵ月ぶりの安値、対円で2週間ぶり安値水準。利上げシナリオには、インフレ率、貿易収支なども影響する。WTI原油相場は70セント安の47.66ドル/バレル。週間で4.3%安とOPEC減産延長合意の効果は剥落している。4月米貿易収支は赤字額が前月比5.2%増の476.17億ドル。輸出は0.3%減、輸入は0.8%増。対中貿易赤字は12.4%増の276.32億ドル。ドル高抑制思惑に働く内容だった。米株は3指数揃って、2日連続の最高値更新。ハイテク株、工業株が牽引した。債券市場の利食い資金が回ってきている可能性も、支えている要因と思われる。ただ、秋以降の利上げシナリオ後退で金融株は一時0.9%安、原油下落でエネルギー株は1.18%安。トランプ大統領の「パリ協定」離脱宣言は、シェール生産を拡大させ、価格低迷につながると受け止められている様だ。

今週のヤマ場は8日(木)に集中する。英総選挙、ECB理事会、コミ—前米FBI長官の議会証言、5月の中国貿易統計などが集中する。国内では5月景気ウォッチャー調査、1-3月GDP改定値が発表予定。翌9日がメジャーSQ(先物・オプション決済日)だけに、思わぬ需給波乱の有無が焦点になる。日経平均は2万円台を回復してきたことで、15年6月高値20868円の攻防に向かうと考えられるが、NY市場と為替の動向を睨みながらの綱引きと想定される。


以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/6/5号)




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