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NYの視点:ドルの見通し分かれる


ロイター社がアナリストを対象に今週実施した調査で、ドルの見通しが分かれていることが明らかになった。56人の回答者のうち23人は上方リスクを指摘。27人は下方リスクを指摘したという。1月時点では上方リスクを指摘する意見が大半を占めていた。直近ではトランプ米大統領が公約している財政刺激策の実施が来年に先送りされる可能性がドルの下方リスクにつながるとの見方が目立つ。

一方で、3月FOMCでの利上げ観測が強まったことはドルの先高感につながる。米労働省が発表した最新の週次新規失業保険申請件数は1973年3月以降ほぼ44年ぶりの低水準で、雇用の底堅さを確認。3月の利上げをより確実なものにした。ドル高や世界経済の低迷が影響して低迷が長期化していた製造業にも回復の兆しが見られ、成長を支援する。米供給管理協会(ISM)が発表した最新2月ISM製造業景況指数は市場予想を上回り2014年8月来で最高となった。3日には、2月ISM非製造業景況指数(総合)の発表が予定されており、米国経済の7割を占める消費動向を探る。そのほか、イエレンFRB議長やフィッシャー米FRB副議長が経済見通し、FRBの金融政策決定についてそれぞれ講演を予定しており、3月の利上げの可能性をさらに探ることになる。

ドルの見通しが分かれているひとつの理由にはトランプ政権によるドル政策がまだ明らかになっていないことが挙げられる。トランプ米大統領は選挙中、製造業支援のために弱いドルを好む姿勢を見せていた。ムューチン財務長官は強いドル高は政府の政策への投資家に自信をあらわしており、長期にわたるドル高は良いことだと言及。同時に、短期的には成長を抑制する可能性も指摘している。

税制改革の詳細も明らかになっておらず、ドル高の鍵を握る国境税の行方も不明確。ポールライアン下院議長が推進している国境税に関し、米国家経済会議(NEC)のコーン委員長は反対。一方、スティーブ・バノン首席戦略官、上級顧問は国境税支持を表明しており、行方は混とんとしている。





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