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コラム【アナリスト夜話】:日米対話と“不気味の谷”リスク(マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那)


先週末の安倍首相とトランプ米大統領の会談は友好的に終了しました。話された詳細な内容は不明ですが、少なくとも今回の2日間という滞在期間は、会って二回目の外国人同士にしては異例の長さと言えます。安倍氏の“つかみ”の成功に市場は安堵したことでしょう。

この対談に絡めた海外メディアの特集で、ソフトバンクの人型ロボット“ペッパー”がカリフォルニア・オークランド空港内で働き始めたことが取り上げられていました。旅行者に道を尋ねられ、少し間違えながらも回答する様子を、道行く人々が楽しげに取り囲んでいました。今のところペッパーの業務は、iPhoneのSiri等と変わりません。それでも人気なのは、「かわいい機械がこんなことまでできるの!?」という、ポジティブ・サプライズのなせる業でしょう。

ロボットの世界には、「不気味の谷」という現象があります。機械っぽい形から徐々に人間の形に近づくと、“ロボットの割に人間っぽい”というポジティブ・サプライズで、好感度は上がります。ところがある一線を越えると、“やっぱり何かが違う”というネガティブな感覚に変わります。その後、人間とそっくりになれば、また別の親近感が生まれます。その間に挟まれた好感度の谷間が“不気味の谷”です。

人間関係にも、似たようなポイントがあるかもしれません。心理学的にも、最初の10回くらいは、とにかく会えば会うほど好感度が上がるという“単純接触効果”というものがあります。しかし、どこかのタイミングで、会ってもお互いの期待を上回ることが少なくなります。むしろ、思っていたことと違う状況が生じた瞬間に、好印象から不愉快という感情に変わってしまうこともありえるでしょう。

今回の日米対談も、まだ初対面から日も浅いので、接することで好感度が高まるのは、ある程度自然な流れです。実質的な議論はこれからです。特に、今回は頭出しで終わった麻生氏とペンス氏の経済財政の分野では、多かれ少なかれ利害が対立することは避けられません。主張すべき点は主張しつつも、感情に“谷間”ができないよう、慎重な政策運営を期待したいと思います。

マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那

(出所:2/13配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)





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