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経済の先行き懸念も「過度に悲観」か疑問


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;27618.27;-203.16TOPIX;1940.83;-5.57


[後場の投資戦略]

 名実ともに新年度相場入りした本日の東京株式市場だが、日経平均は連日で200円あまりの下落となっている。なお、東証の現市場区分における最後の売買でもあり、週明け4日から新市場区分がスタートする。日経平均の日足チャートを見ると、27400円台に位置する75日移動平均線水準で下げ渋る一方、5日移動平均線が下降に転じ上値の重さも拭いづらい。業種別では海運業などの市況関連セクターが下落率上位に並び、東証1部下落率上位にシチズンHD<7762>が顔を出しているあたり、上海市西部でロックダウン(都市封鎖)が始まったことにより中国経済への懸念が強そうだ。前引けの日経平均が-0.73%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は-0.29%。ここまでの東証1部売買代金は1兆4000億円あまりと前日よりやや多い程度だ。

 新興市場ではマザーズ指数が-0.12%と4日ぶり小幅反落。下値で押し目買いが入り下げ渋るのは前日と同様で、期末配当絡みの需給イベントを通過し、個人投資家の物色が小型株にシフトしている印象を受ける。米金融引き締め観測で大きく株価調整した中小型グロース(成長)株は手掛けやすいということもあるのだろう。もっとも、プラス圏で積極的に上値を追う動きは見られない。個別では売買代金トップのJTOWER<4485>が反発し、時価総額トップのメルカリ<4385>は小じっかり。

 さて、前日の米株の下落は月末や四半期末特有の売りによるものという面もあるだろうが、金融市場を見渡すとインフレ高進やそれに伴う金融引き締め、中国や欧州の景気悪化などへの懸念が感じられた。10年物国債利回りが2.34%(-0.01pt)に低下する一方、金融政策の影響を受けやすい2年物は2.33%(+0.02pt)に上昇し、景気後退のサインとされる「逆イールド」が再び発生する場面もあったという。石油備蓄の放出が発表されて原油先物相場が急反落する一方、金相場は安全逃避的な買いで続伸した。米金融大手ゴールドマン・サックスのストラテジストなど「米株がさらに大きく反発することはない」との市場関係者の見解が相次ぎ出ていた。

 一方、「過度に悲観に傾き過ぎている」として先行きに強気な声も少なからず聞くが、こうした見方には疑問がある。全米個人投資家教会(AAII)が実施している個人投資家のセンチメントに関する週間調査では、「株に中立」との意見が2020年1月以来の水準に上昇すると同時に、「弱気」との意見が21年11月以来の水準に低下したという。個人投資家の悲観が後退してきているのは、マザーズ銘柄に根強い押し目買いが入る日本でも同様と考えられる。この点はかねて当欄で「今後の経済・株式相場の見方は大きく割れている」と指摘しているとおりだ。株式相場は上にも下にも振れうる位置とみておいた方がよいだろう。

 2月の米個人消費支出は物価変動の影響を除く実質ベースで減少し、物価の伸びは一段と加速。3月の日銀短観では大企業・製造業の業況判断が市場予想ほどではなかったにしろ悪化に転じた。こうした流れを受け、今晩の米国で発表される3月の雇用統計やサプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数も注目を集めるだろう。また前日の当欄で触れたが、日経平均構成銘柄の入れ替え(4日付で新生銀<8303>からオリックス
<8591>に変更)に伴い、本日の引けで既存の構成銘柄にリバランスによる売り需要が発生するとみられている。足元で円相場が下落しており、これに伴い日経平均は後場下げ渋る可能性もあるが、重要経済指標の発表や需給イベントを前に戻りは鈍いとみておきたい。
(小林大純)
<AK>
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