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米金利低下と海外株安で懸念増幅も


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;27473.21;-644.82TOPIX;1882.85;-37.47


[後場の投資戦略]

 既に前日までの2日間でおよそ525円下落していた日経平均だが、本日はそれを大きく上回る下落幅で前場を折り返した。筆者も含め、上場投資信託(ETF)の分配金捻出に絡んだ売り一巡後の短期的な反発に期待していた向きにとっては、その前に28000円割れという手痛い洗礼を受けることになってしまった。日足チャートを見ると27000円台半ばに位置する200日移動平均線、あるいは5月安値27385.03円あたりでの底堅さ発揮に期待したいところだが、一方で5月安値と6月安値27795.86円を結んだラインを割り込み、三角もち合いを下放れるような格好となったのは強気派にとって嫌な流れかもしれない。

 アジア市場では中国・上海総合指数が軟調で、韓国総合株価指数(KOSPI)はやや下げがきつい。前日大幅安となった香港ハンセン指数は下げ渋っているが、一時マイナスに転じるなど不安定な動きとなっている。

 米経済指標の鈍化や日本のワクチン普及遅れ、新型コロナ感染状況がクローズアップされがちで、「健全な調整」「いずれ解消される」とみる強気派が多かったが、ここにきて米長期金利の低下が止まらず、株安が各国市場にも広がっていることから、世界経済の減速懸念が否応なく意識されているようだ。個別株でも郵船や日本電産、ファナックの下げの大きさにこうした懸念が顕著に表れている。

 まず米長期金利だが、従前より景気回復による債券価格の下落(利回りの上昇)を見込んだヘッジファンドのショートポジション(売り持ち)がかなりたまっているとの指摘があった。かねて当欄で指摘しているとおり、10年債利回りの推移などを見るとこうした「リフレトレード」は3月ごろがピークだったと考えられるが、足元の利回り低下を見る限りまだまだショートポジションは多く残っているのだろう。一方、利回り水準の低下とともに押し目買いも入りそうなところだが、既に夏季休暇に入っている市場参加者が多く、手控えムードが漂っているもよう。目先は長期金利の本格的な反転上昇は期待しにくいかもしれない。

 ショートカバー(買い戻し)の引き金を引いたのは7日に開示された6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録だったとみられている。巷では金融緩和の縮小を急がないというハト派的内容だったと解説されているが、むしろ住宅価格の上昇圧力の高まりで、複数の委員から「不動産担保証券(MBS)の買い入れ減額を先行するのが望ましい」との発言があったことの方が市場参加者には注目されているようだ。

 また中国でも、当局が否定しているとはいえ、不動産バブル抑制のために金融政策は引き締め方向にあるとの懸念が根強いようだ。IPO(新規株式公開)したばかりの中国配車アプリ最大手、滴滴出行(ディディ)に対する米中政府からの風当たりの強さ、それに同社株の下落を見るにつけ、米中対立の悪影響への懸念も拭えない。ソフトバンクGは5月以降、調整基調が続いている。

 そもそも日経平均29000円~30000円水準でアップサイドへの期待と顕在化しつつあるダウンサイドリスクのどちらが大きいか、冷静に判断すれば十分に警戒できたと思うが、そうした解説は乏しかった印象を受ける。

 さて、本日もETF分配金に絡んだ売り観測があり、海外市場を睨みつつの神経質な相場展開が続きそうだ。また、引け後には安川電<6506>などの決算発表が予定されているため、注目しておきたい。
(小林大純)
<AK>
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