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【中国の視点】トランプ氏公約:製造業の米国回帰、一段の米ドル高なら挫折も


トランプ次期米大統領が選挙時に掲げた「製造業の米国回帰」公約は、米ドル高の進行で挫折する可能性が高まっている。

中国の専門家は、米ドルは直近2カ月で独歩高となっていると指摘。トランプ氏の当選に加え、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ観測が背景にある。米ドル高がインフレ率の上昇などに寄与するほか、米国資産への投資も増加すると期待されている。
また、米ドル高が米国民の購買力を高めるため、小売業の伸びや消費者信頼感の上昇にも寄与できると強調されている。

一方、米製造業は米ドル高の進行で厳しい環境にさらされている。多くの米製造企業は売上予想などを下方修正しているほか、コスト削減も実施している。

直近10年の米ドルはほかの通貨に対して下落していたため、米国の輸出額が堅調な伸びを示した。2010年末には米国の輸出額が過去最高を更新した後も右肩上がりに上昇し、2014年には5980億米ドルまで拡大。これは同国製造業の雇用拡大につながった。

専門家は、トランプ氏が掲げていた製造業の米国回帰について、米ドル高が一段と進行するなら米国内の生産コストが上昇するため、同計画が挫折する可能性が高いとみている。

なお、世界最大の航空宇宙機器の開発・製造会社ボーイングはこのほど、米ドル高が同社製品の販売環境を悪化させるほか、市場競争を一段と激化させると発言。同社は今年すでに従業員数の8%に相当する人員削減を実施したほか、来年もリストラを実施する計画を示した。また、米労働省が発表したデータによると、2015年1月から2016年11月までに製造業の就業者数は5万1000人減少したという。


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