
退職金にかかる税金の計算方法
退職金の税額は、給与などほかの所得と合算せず、退職金だけをもとに計算するのが特徴です。
さらに、退職金には勤続年数に応じた退職所得控除があります。税金の対象になるのは、退職金からこの控除額を差し引き、残った金額をさらに2分の1にした部分だけです。
計算式にすると「(退職金-退職所得控除額)×2分の1」で、所得税と住民税はどちらもこの金額をもとに計算されます。
控除額は、勤続20年以下なら1年につき40万円で、最低80万円、勤続20年を超えると、800万円に、20年を超えた1年ごとに70万円を加えた額になります。
税金がかかる場合であっても、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を出しておけば、税金は退職金の支払時に差し引かれ、原則として確定申告は必要ありません。
勤続年数別の税額シミュレーション
では、退職金2000万円を一時金で受け取ると、税金はいくらになるのでしょうか。
申告書を提出している前提で、所得税と復興特別所得税、住民税の合計額を2026年分の税率で試算しました。
・勤続20年:控除額800万円/税金約139万円/手取り約1861万円
・勤続30年:控除額1500万円/税金約41万円/手取り約1959万円
・勤続40年:控除額2200万円/税金0円/手取り2000万円
勤続40年になると、控除額の2200万円が退職金を上回るため、税金がかかる部分が残りません。そのため、40年働いて受け取った2000万円の退職金には、所得税も住民税もかからないのです。
退職翌年の住民税とご褒美の目安
給与にかかる住民税は、前年1年間の所得をもとに計算され、翌年の6月から納める仕組みです。退職すると給与からの天引きがなくなるため、市区町村から届く納税通知書で納めます。
例えば、2026年12月末に退職すると、2027年6月から納める住民税は、2026年1年分の給与をもとに計算されます。所得割の税率は10%のため、課税所得が300万円なら約30万円です。
では、ご褒美にはいくらまで使えるのでしょうか。65歳で退職し、退職金のほかに老後資金の蓄えがない夫婦を前提に考えます。
総務省の家計調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯は2025年平均で、毎月の支出が収入を4万2434円上回っていました。仮にこの不足が95歳までの30年間続くと、約1528万円です。2000万円から住民税の約30万円と不足分を差し引くと、ご褒美に回せる目安は約442万円になると試算できます。
まとめ
勤続40年で受け取る退職金2000万円には、所得税も住民税もかかりません。
翌年に届く納税通知書で支払う税金は、退職金ではなく前年の給与にかかる住民税です。ただし、退職金で老後の生活費の不足も補う場合、ご褒美の目安は約442万円と試算でき、750万円のレクサスはこれを約308万円上回ります。
差額の約308万円を退職金以外の蓄えでまかなえるかどうかを、夫婦で判断してみてはいかがでしょうか。
出典
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
